129 戦列に戻る
そうして、第二中隊のつかの間の休暇は終わりを告げた。
現在、彼らは前線へと歩みを進めている。
それぞれが思い思いの癒やしを求めた彼らの目には、再び闘志の炎が灯っている。
装備を整え、体力を整え、英気を養った。
前線へと向かう最中、馬上で第一小隊長のガランと第二章隊長のエレナが会話を交えていた。
「今回は平地で迎撃戦だって?」
「そう、増援で。どうも苦戦しているらしいわ」
「一難去ってまた一難だな。いい加減落ち着いて欲しいもんだが…」
「しょうが無いわよ戦争中だし」
「エレナさんはドライだねぇ…俺はとってもそんな風に割りきれんわ」
「敵は待ってくれないから、隊長もいつも仰ているでしょ?現実と時間との戦いでもあるのよ。
軍人なら受け入れなさいなガラン」
「はぁ…いつも思うんだがな」
「なにを?」
「グレンにしろエリアにしろ覚悟というか根性座り過ぎじゃないのか?二十歳そこそこだろアイツらあれがあの位の頃は…いやグレンに関しちゃもっと若かったか、俺らの頭になったのは。その頃よりは尖りは取れたが座り方は更に際立ってるな…」
「あの世代は戦時教育が行き届いているからね。その成果の賜物じゃないの?良いことなのかは…わからないけれど」
「最年少のアイラは、まあ出自の話にもなってくるから省くが、グレン達にはどうもそれだけじゃねえと思うんだがな。」
「開戦時に母君が戦死されているから、そこらへんが情操に影響があったんでしょうね…翌年に父君も病気で亡くなられているから。弱音を吐かずに周りを鼓舞する人格はそうやって育まれてきたのでしょう」
「…お前は良いように取り過ぎな気がするぞ…あまりグレンに妄信的になるなよ」
「ご忠告どうも」
前線へはあと数時間の距離での出来事…




