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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
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121 待ち人の人となり


「そちらの大将はどんな人間何だ?」


馬車に詰め込まれ、連行されているクルツは正面に座るディッセンバーらに、ヴィルヘルムの人柄について質問をぶつける。


連行中とは言え、特に拘束などはされず、ごく普通に扱われている。


一見すれば容易く逃げられそうに見えるが、クルツにその考えは無い。


逃げた所で、何か当てが有る訳でも無い。


そもそも眼前の二人からまともに逃げ果せる気は、砂粒程の自信も無い。


それを見越してか、ディッセンバーらも特に何をするでも無く、ごく普通にクルツを席に座らせている。


「まあ、兎に角掴み所のない人だな」


ディッセンバーがその質問に答えた。


「ああ、それは何となく分かるよ」


「何で」


「合戦中の敵を、わざわざ生け捕りにして人材登用するような人だからな」


「それに関しちゃあ、別にアンタが最初じゃないよ」


ディッセンバーの隣に座るグレンが口を挟んだ。


「他にも居るのか?」


「何人も、俺の中隊の小隊長にも一人な」


「ああ……あの赤髪のか?そういえば、あの子だけ容貌が浮いてたな…私が見た限りだか」


「随分と目ぇ良いな、そうだよ」


「あんなナリで、アンタらと殺り合ったのか」


「アイツには気をつけろよ」


グレンは右腕の袖を捲り上げ、クルツに見せる。


「何だ?その物凄い切り傷は……」


「アイツにやられた、首もな」


グレンは襟をめくり、首元の古傷をクルツに見せる。


「アンタよくその傷で生きてるな……」


「頑丈なのが取り柄の一つでね…ウチの大隊が五千人位居るが、あの馬鹿娘はその中でも三指に入る強者だ、そんな怪獣を無傷で退治したのが件の大隊長だ、俺は絶対に逆らわない様にしてる」


「怖いからな」


「はい」


「…口の利き方には気をつけるとしよう」


「そうして貰えると助かるね、せっかく苦労して生け捕りにした相手がよぉ、着くなり首だけになったら流石に俺も辛いからな…」



「そういう訳だ、大将の前ではちゃんと良い子にしてろよぉ?」



「とんでもない隊に捕まっちまったなぁ…」



続く…






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