116 尋問②
「お邪魔しま・・・」
「いらっしゃい」
扉を開けたグレンの目に飛び込んできたのは、ディッセンバーの顔面ドアップだった。
「お邪魔しました」
「帰るな、待てグレン」
ディッセンバーは、ガッチリとグレンの手首を掴む。
「掴まんで下さい・・・力強いな!ホントに病み上がりか!?」
「待て待て、冗談だ落ち着け」
「只でさえこれからアンタの加虐趣味に付き合わにゃならんかと思うと気が重いに、糞下らんギャグ挟むの止めて貰えます?」
「俺が居ない間に随分言うようになったじゃない・・・」
「アンタの感想はどうでも良いわ、で?敵の頭は?何処で何も引き出さない尋問をされるんで?」
「あ~・・・こっちだ」
「仕事中に遊ばんで貰えます?」
グレンはディッセンバーの背中を追う。
一人の男が椅子に座っていた。
明らかに盗賊が身に付けるような粗末な装束ではない。
年は二十代後半から三十代前半
肩まで伸びた茶髪を後ろで簡単に纏め上げている。
普段ならさぞかし女受けするであろう精悍な顔つきだが、現在は目に力は無く、髪も顔も血で塗られている。
後ろ手に両腕を背もたれに縛られた彼は、胡乱な瞳で二人を見つめている。
「コイツが頭だ」
「とりあえず五体満足そうで安心しましたよ」
「お前は俺を何だと思ってんだ?」
「真性キチガイサディズム」
「おい一応先輩だぞ俺!」
「今は私が大隊の二番手ですよ」
「あんたら、私に聞くことが有るんじゃないか?」
自らの目の前に居ながら、何をするでもない二人に耐えかねたのか、盗賊頭の男が口を開いた。




