114 追撃④
「くそっ・・・そういう事かよ・・・ 」
部下に道案内をされたグレンは、眼前に広がる光景に思わず悪態をついた。
「見事にやられたね、隊長」
「うるせえ喋んな」
「ひどい」
グレンの目に映るのは、戦闘の末に討たれた亡骸と、捕縛された山賊団こと北方軍第六師団の兵士たちだった。
彼らは待ち伏せを受けたのだ。
森林地帯を抜けたこの開けた地で、息を潜め隠れていた第三中隊の急襲を受けた彼らは、散々に討ち取られた。
生き残りは二百人ほどだろうか。
誰一人として無事な者は居ない。
「それで・・・あの人は何処だよ?」
「奥にいるそうです」
「奥?」
部下の指差す方向を見ると、古ぼけた山小屋のようなものが見えた。
「あの廃屋か?」
「あの中で敵の頭に尋問をしているそうです」
「げッ、行きたく無いんだけど俺。そんな凄惨な事件現場に」
「でもさっきディッセンバー隊長がお呼びでしたよ」
「聞かなかった事にして帰りたい」
「そのまま大隊長に報告されますね、どっちが良いですか?今行くか、後で大目玉食らうか」
「何で俺、中隊長にもなってこんな修羅の二択を突きつけられてんのよ・・・」
「運命でしょ、そういう星の下に生まれ落ちているんですよ、隊長は」
「爆発して消え去れそんな星」
「とりあえず早よ行ってください、お待ちですから」
「あ~こんな時に限ってエレナいねえんだよなぁ・・・」
「あの人連れてったら収集つかなくなりますよ」
「だからだよ」
ブツクサとつぶやきながら、グレンはディッセンバーの待つ廃屋へと向かう・・・




