109 追撃②
「どっちだよ…」
第一追撃隊のグレンらは、大きな岐路にぶち当たり、そこから動けずにいる。
「ん~?こっち、かな?自信ないけど」
馬から下りて、何やら地面を調査しているアイラは何とも言えないといった感じだ。
「今から二手に分かれて追撃掛ける余力はねえぞ」
グレンの口調から、苛ついているのがはっきり感じ取れる。
「…私の責任じゃ無いよ」
それが癇に障ったのか、いつもより冷たい声色でグレンに言葉を返すアイラ。
「まあ、そうだけどさ」
その声を聞いたグレンは少し寒気がしたのか、頑張って返事をした。
「ここまで綺麗に撒かれるとは思わなかった」
「とんでもねぇ相手だよまったく」
「どうだ?」
第二追撃隊のガランは、エリアに問いかける。
「全然分からん…」
「嘘だろお前!?」
「急に痕跡が分からなくなりました…」
「だいぶ迷いながらここまで来たからな…工作の時間は十二分に有った訳だ」
エリアの言葉をヴォルゲンが補足した。
「はい、三手にそれぞれ痕跡が有ります…どうなってんだ…」
エリア達の目の前には、三つに分かれた岐路があり、どれを行けば良いのか全く判断が付かなかった。
「この様子じゃ、隊長の方に賭けるしかないな…」
「そうですね…」
ヴォルゲンの言葉に、エリアは力無く呟いた。




