107 野盗団の行方
グレン達が大急ぎで追撃隊を編成している頃、野盗団の本隊は悠々と野山を駆けていた。
「あの連中、まんまと引っ掛かりましたねお頭」
「ああ、追撃してくるかもしれんから殿は注意しておけ」
「大丈夫でしょぉ、今さら何をした所で追い付けっこありません
や」
「何時まで野盗気分でいる気だ?そろそろ真面目にやれ」
「…失礼しました。中隊長」
部下に中隊長と呼ばれた男は、何故か気分が晴れなかった。
“何かおかしい”
砦に攻撃を仕掛けて来た敵は、確かに撒いた筈だ。
脱出してから既に二時間以上が経過している。
山岳戦闘は彼らの十八番であり、最も光輝く舞台だ。
“前回やり合った限りでは、奴等は明らかに我が隊よりも劣る…数人は使えるのが居たが、集団戦の大局に影響を及ぼすほどでは無い”
現にグレンはまんまと嵌められ、彼らは遥か遠くまで逃げおおせている。
“奴等では無い…?”
「それで、中隊長」
「何だ」
「これからどう動かれるので?」
「予定通り、本隊と合流する。ごっこ遊びは終わりだ」
「長い休暇でしたね」
「任務中だ、軽口はそこまでにしろ」
「はいはい」
「……」
何かが彼らを見つめている。
山岳戦闘に置いて、無類の精強さを誇る彼らに気付かれる事も無く
それ視線は確かに彼らを捕らえている。




