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99 後方隊突撃
「隊長!第二分隊が正門に取り付きました!」
「破城槌も到着の模様!」
「順調ですね隊長」
突撃隊の様子をグレンは後方から確認している。
部下の矢継ぎ早の報告を精査していくグレンだが、その表情は思わしくない。
「随分大人しかねえか…?」
グレンはいつの間にか津なりにいたエレナに聞く。
「隊長が仰ていた敵像とは、随分違うようですね」
「なんか変だの…」
嫌な予感がした。
なんとも言い表し難い悪寒のようなものが、グレンの背筋に走る。
「エレナ、お前ちょっと離れとくれんか?俺の手ェ握って無ェでよ」
「……はい」
グレンの言葉にエレナは渋々と従う。
”アイツのせいじゃ無ェな…何か見落としている?”
「前方隊、突撃開始です!」
「敵の集中砲火に晒されている模様!」
「こちらも動くぞ…いや待て」
部下の報告を受け、ヴォルゲンは直ちに突撃を始めようとしていて矢先。
何かが後門から出てきた。
「何だ?何か出てきたぞ!」
「あれは…」
「アイツ等あの時の騎兵隊だ!」
先日山中にて相対した、敵の精鋭騎馬隊。
それが後門の、ヴォルゲン隊の眼前から飛び出してきた。