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95 配置遅延
「中隊長、配置完了です」
「ヴォルゲンの方は?」
グレンの部下が、前方部隊の配置が完了したとの報告を上げに来
た。
「まだですね、上からの指示はありません」
違う部下が崖上を見上げるが、特に動きはない。
「アイラがゴネまくってましたからね、遅れてんじゃないスか?」
「それがホントに原因なら、アイツしばらく夕飯抜きだわ」
「うへ、厳しッ」
「アイツにはこれが一番堪える」
「おいアイラ、急げ」
「お腹空いた~」
グレンに指示された予定時刻を超過しているが、後方部隊の配置は
かなり手間取っていた。
グレンの予想通り、アイラがやる気を出さずひたすら駄々をこねて
いるからだ。
「終わったら幾らでも食や良いだろ!まずやることやれ!」
「ヴォルゲンそれは違う」
「何が」
「人間いつ死ぬかわからない」
「......そうだな、それで?」
ある言葉を飲み込んだヴォルゲンは、アイラに続きを促す。
「だから死ぬとき公開しないように、今すぐお腹一杯食べたい!」
「お前食ったら寝るだろ!バカ!」
突入まで、まだしばらく掛かりそうだ。