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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
103/137

95 配置遅延

「中隊長、配置完了です」


「ヴォルゲンの方は?」


グレンの部下が、前方部隊の配置が完了したとの報告を上げに来


た。


「まだですね、上からの指示はありません」


違う部下が崖上を見上げるが、特に動きはない。


「アイラがゴネまくってましたからね、遅れてんじゃないスか?」


「それがホントに原因なら、アイツしばらく夕飯抜きだわ」


「うへ、厳しッ」


「アイツにはこれが一番堪える」




「おいアイラ、急げ」


「お腹空いた~」


グレンに指示された予定時刻を超過しているが、後方部隊の配置は


かなり手間取っていた。


グレンの予想通り、アイラがやる気を出さずひたすら駄々をこねて


いるからだ。


「終わったら幾らでも食や良いだろ!まずやることやれ!」


「ヴォルゲンそれは違う」


「何が」


「人間いつ死ぬかわからない」


「......そうだな、それで?」


ある言葉を飲み込んだヴォルゲンは、アイラに続きを促す。 


「だから死ぬとき公開しないように、今すぐお腹一杯食べたい!」


「お前食ったら寝るだろ!バカ!」


突入まで、まだしばらく掛かりそうだ。


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