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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
101/137

93 予感的中

「随分と奥まで行ったな」


「もうじきです!」


グレン達はアイラ小隊の隊員に続いて山岳を駆け上がっていく。






「隊長、ここからは下馬で行きましょう」


「ああ」


隊員の案内に従い、グレンは乗ってきた馬を繋ぎ止め、更に山の森の奥地へと進む。


「まだか?」


グレンの側にいたガランが隊員に問う。


「もうすぐ見えて来ます…」


隊員は声を潜め、中腰で歩いている。


何かを強く警戒しているようだ。


「…ん?あれは、アイラか?」


グレンらの前方に、木の陰に身を潜めているアイラが見えた。


「アイラ」


「遅いよ隊長」


「こんな奥地に呼びつけといて第一声がそれか?」


「あれ見て」


グレンの抗議を軽く無視しながら、アイラは木の陰からある方向に指を指した。


「聞けよ………クッソ、おい何だありゃ?」


「敵のアジトでしょうね」


案内役とは別のアイラ小隊隊員が、グレンの問いに答えた。


「アジト?砦だろあれは」


「こないだの奴と比べれば大分劣りますがね…」


「比較対象を間違っとるぞ、冗談じゃねえぞ何だありゃホントに」


「隊長、敵は500人程度って言ってませんでしたか?」


「”最低でも”だよ、捏造すんじゃねえ」


「忘れました」


「…お前名前なんて言ったか?」


「レンセンです」


グレンに問われた隊員が名乗る。


「そうか…レンセン、お前あのアジトに突撃しろって言ったらどうする?」


「逃げますよ、冗談じゃないです」


グレンの問いかけに、一瞬の迷いもなくレンセンは応えた。


「俺の手下はこんなんばっかりか…」


グレンも流石にガックリと頭を垂れた。


「で?どうするグレン」


珍しくおふざけの蚊帳の外にいたガランが問う。


「山岳砲は有ったか?」


「麓にならな、ただの物見の延長だと思ったから持ってきて無い」


「だよな…」


「有った所で、ですよ隊長」


作戦概要を練る二人にエレナが加わる。


「ヴィクトル置いてきたのはミスったかな…」


「あんな情緒不安定連れてきたって混乱するだけだ」


「そうですよ隊長、まずは隊を集結させましょう」


「そうだな…ガラン」


「何だ」


「すぐにウチの大飯食らい共を集結させろ。エレナ、隊の衆にヴォルゲンを呼びに行かせろ」


「おお」


「はい」


「アイラ、お前はエリア呼びにいけ」


「は~い」


「あっそれとガラン、山岳砲を麓から運ばせろ。準備でき次第に仕掛けるぞ」


「…ディッセンバーに応援頼んだらどうだ?」


「あんな戦狂いを呼んだら、一体何されるか分からんぞ」


「……そうだな」


「気をつけていけよ、どこで敵が張ってるか分からんぞ」


「こんな所で死んでる場合じゃねえからな」


「武運を祈る」


「ありがたく」


「隊長、仕掛けるとおっしゃいますが、ご自身の武具は?」


先程のレンセンが質問する。


「最低限は着込んである、残りは馬だ」


グレンは上着をめくると、頑丈そうな鎖帷子と、ギャンベゾンと呼ばれる衝撃吸収用の布鎧が見えた。


「それだけ着込んで、よくそんな身軽に動けますね」


「お前らとは鍛え方が違うのよ」


グレン隊隊員たちは、それぞれの役目を果たすために、それぞれの方向に走り出す。



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