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梅雨の夜のはじまり。

梅雨の夜のはじまり。

 

「魔法使い」この世に存在しない、僕の大好きなもの。幼いころから憧れた夢の一つ。

これはそんなありえるはずの無い奇跡を体験し、僕の知った世界の真実。


 突然降り出した豪雨に降られながら、たまに雨宿りをしながら、僕は小走りで家に向かって歩いていた。

梅雨の時期だが、さすがに八時前となると暗い。

あたりは十数メートル先が見えない状態。すでにスニーカーが冠水しているので水たまりは気にしていない。マンホールのみを気にしながらひたすらに公園の中を進む。

その時だった。突然右の茂みの奥から変な音が聞こえてきた。

「グチャグチャ・・・・バキッ」変に鈍い音に耳を澄ませた。

「ギャアー」突然の叫び声が耳に響いた。

とても早く帰りたい気分だったが音と声に気がいく。間違いなく何かがあったであろう方へ、草の間に入っていく。

草木を掻き分けていくうちにまた、違う音が聞こえてきた。

ハリウッド映画で聞いたことのあるようなビームの音に近い気がした。

向こうで光った!

急いで光源の方に向かう。

真っ暗でよく見えなかったが、倒れている女の人と黒い影を見つける。

「おい、あんた大丈夫か⁉︎」音からして無事そうでないことはわかっていたが、一応無事かを確かめた。

「へ⁉︎ダメ、此処から離れて‼︎」離れるよう警告される。そんなことよりも振り向きざまに見た女の横顔は見覚えがあった。

同じ高校の同級生の女の子だった。確か、名前は、近衛?だったかな。

こんな子が明らかに危険な目にあっていて、無視できる僕ではなかった。

「近衛さん!」声をかけた瞬間、黒い影が揺れ、真っ赤で燃えるような目。が現れる。

口のようなところから漏れ出す息のようなものは冷気を連想させる。その息のようなものを浴びた草木が次の瞬間に黒い影に踏まれ、パキーン、と割れたのだ。

 僕が一歩、また一歩と後ずさる度に、それに釣られるかのように黒い影もついてくる。

 しめた!この調子なら彼女から引き離せるかもしれない。そんな考えが頭をよぎる。

 しかし、このときの僕の考えが甘かったというのはすぐ後の僕が実感するものだった。

 「グルゥゥーー」影の不気味なうなり声は気分を悪くさせるだけでなく、頭が痛くなったきた。必死に気持ちを保ちながら木や草をたてにしながら逃げる。

 足場の悪さと、視界の暗さで思うように進みにくい。動転している頭を考えるのではなく逃げることに割く。

 何とか走り続けて公園の森を抜けて、入り口にまで出てきた。

よし!ここまでくれば!

 このときの僕はなぜかやつが住宅地の中にまで入ってこないと何故か高をくくっていた。後ろを見たさいにかなり遠くにいたせいだろうか。

漫画やアニメの怪物は人の目に留まることを嫌い住宅地に出てくることは基本ないのだ。そんなことを、そんな創造のやさしい世界の予想とは裏腹に奴は僕を追って森を出て、入り口の広場にまでやってきた。

 !!何んだと!!

 森から出るにつれてやつの体は黒い影から、腐敗したような見た目の狼男の様な姿になってきた。身の丈二メートルほど、顎の回りの筋肉は腐った様に朽ちて、目は血走っていた。激しく尖った鉤爪の両手は血で塗れていた。こんなやついったいどうすれば!?

 これじゃあ彼女からこいつを引き離しても・・・

 次の瞬間、奴は大きく地を蹴り、僕を上空から見下ろしていた。

驚異的な跳躍力、重そうな胴体に自由落下の勢いで落ちてくる。その異常性に改めて感じた恐怖は僕を支配する寸前で、必死に抗い、落下してくるやつから逃れようと走る。

 この様子では住宅街まで奴は追ってくるだろう、そうなっては被害は彼女と僕だけではすまなくなる。ほかの人がいた手前格好をつけたが、笑えないピンチに全身の毛が逆立ち、体が震えだす。これまで何とか逃げることに集中していたが奴と向き合ったことで恐怖した。

 何の役にも立たないとわかりつつも僕は鞄の中からペーパーカッターを取り出した。刃を出しても精々十センチそこら、こんなもの、意味が無いこと、分かっている。でも、

こうでもしないと本当に心が折れてしまいそうだった。

「チクショー!!」たまらなく叫んだ。

「いったい何なんだよ!」答えのない、よく分からない問いをする。

誰かに助けて誰かに助けて欲しかったのか、はたまた首を突っ込んだことを後悔しているのか。

 また奴が地を蹴った。

 刹那の間に眼前に迫り来る鉤爪。

 二度目はない。そんな事を思ってしまった。



 目をつぶってしまった。

 僕の最期、なのだろうか、よく分からないが痛みは無く、変な安心感。

 カンッ、高い音があたりに広がる。 

 何なのか分からず、ぼくは恐る恐る、目を開いた。


 目に映っていたのは、暗く少し不気味な公園の入り口ではなく、気味の悪い化け物でもなく、マントを羽織り、杖を持ち、光の魔方陣の上に立つ凛々しい「魔法使い」だった。


 声を失った。そんな気にすらなっていた。彼女の出現に僕は怪物に襲われていたとき以上の衝撃に見舞われた。突然変異の怪物よりも、自分の命の危機よりも、僕の心は魔法というものを見つけた、という時のほうが揺られた。恐ろしさで思さなかった涙を幸福感に見回られた際に流した。

 「大丈夫!?千尋君。」振り返った魔法使いは先ほど僕が助けた、いや助けようとしていた僕の同級生、近衛さんだった。

魔法使いものをずっと書いてみたくて、初めて投稿にまでいたりました。

これから、がんばって書いていきたいと思っています。

よろしくお願いします。


LuCe

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