宇野さん
「小此木ちゃん♪」
「おや、宇野さん。どうなされました?」
宇野 弥生さんは大阪出身の黒髪ショートの大変可愛く明るい女の子です。一般学科にトップで入学した学才からはあまり想像がつかないほど活発で男勝りなお方です。
「いやいや、別に特に用がある訳でもないんやけどな。小此木ちゃん叡智学科やろ?クラスに2人しかおらんし仲良くしてくれたら嬉しいなぁて思ってさ。」
「なるほど。もちろん大歓迎ですよ。不束者ですが仲良くしてやってください。」
「いや結婚するわけちゃうし!まぁそんなことより、折角やから小此木ちゃんのこと色々聞いてこか。なんか私に聞きたいことあったら全然聞いてきていいし。」
「わかりました。出来得る限りのことにはお答えします。」
「そんな固くならんでええで?まぁそやなぁ…。じゃあとりあえず、好きなテレビなに?」
「ふむ。いきなりマニアックな質問ですね…。まぁ強いて言えばVIERA TH-24D305でしょうか。」
「誰が初手で好きなテレビの種類聞くねん!番組や。番組の話や。」
「あぁ、なるほど。そういう意図の質問でしたか。失礼しました。でも残念ながら私テレビ番組は全く見ないのです。」
「番組見んのにテレビの名前だけなんでそんな詳しいねん…。」
「強いて言うなら天皇賞でしょうか。」
「あれ年2回しかやらんで?!テレビ見ないってレベルちゃうよそれ?」
「なんと。そうなんですか。」
「ほんで見るのが天皇賞て…」
「父が競馬をやっているんです。」
「やっぱ小此木ちゃんてちょっと変わってるよな…。じゃ、次の質問。」
「はい。」
「趣味は?」
「絵です。」
「お、即答やん。」
「なんせ極学科にはデッサンで実技試験を受けましたからね。その結果叡智学科に入ったわけですが。」
「絵もうまくて頭もええってことやな。最高やん。んで?試験ではどんな絵描いたん?」
「実技試験では絵を選択すると伝えたらテーマを与えられたんです。『混沌』というテーマでした。」
「なんか難しそうやな」
「はい。実際とても悩みました。それで疲れてしまい少しうたた寝をしてしまったのです。その夢の内容が正しく混沌だったのでそれを描きました。」
「どんな内容やったん?」
「豚の体内にある遊園地でカバディをやったんです。それを絵にしました。大腸のあたりに遊園地を描き、そこで楽しげにカバディをやっている人々を描きました。」
「そこまでいくと狂気を感じるわ…。まぁそれで見事合格を決めたんやからな。豚さん様様やな。」
「はい。その通りです。ところで宇野さんはどのような趣味をお持ちですか?」
「あー何やろな。マンガは結構読むかなぁ…家にもいっぱいあるし。」
「マンガですか。たいへん良いですね。」
「そうかな?小此木ちゃんはなんのマンガが好きなん?」
「実は私マンガもほとんど読まないのですが…初めて読んだあるマンガがとても面白くそれからマンガには大変な関心を抱いているのです。」
「ほう。で、それはなんのマンガ?」
「グラップラー刃〇です。」
「いや確かに面白いけどさ…初めてでそこ行くか?」
「まだ途中までしか読んでいないのでとても続きが気になるのです。」
「刃牙やったら家に全巻あんで?今度持って来たるわ」
「なんと、それは大変嬉しい申し出です。是非お願いします。」
「おっけーおっけー、持ってくるわ。じゃ、もう授業始まるからこの辺で。楽しかったわ、また話そな小此木ちゃん♪」
学科が違うと授業の内容も異なるので、大抵生徒は教室を移動しなければならないのです。
「はい。私も楽しい時を過ごせました。またお話しましょう。」
私の返事を聞くと宇野さんは満足そうに笑い教室を後にしました。