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亜・日常小噺  作者: イナツキ
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1話



初めまして皆様、ごきげんいかがでしょうか。

なに、「機嫌を聞く前にまずお前は誰なんだ」と?

これは失礼。ごもっともなご意見でございます。人にものを尋ねるのに己の名を名乗らぬなどという無礼者は斬って捨てるべし。

切り捨てられるその無礼者の名をば、小此木おこのぎあかねと申します。これからのお話の主人公となる者の名、憶えておいて損はございません。


はてさて、この物語は私の高校入学に始まり、そこでのキテレツな出来事によって紡がれるものでございます。なればまずは、純情無垢な世間を知らぬ、可愛らしい娘っ子であった私が高校という新たな舞台に上り大人への階段を1歩踏みしめたまさにその日のことから話していくのが道理というものでしょう。




少しだけ昔々のこと。

宝良たから 琴望きんもちという大変な大富豪がおりました。この方は世界でも五指に入るほどの凄まじいお金持ちでして、その金使いもこれまた凄まじいものでした。

曰く、50以上の豪邸を持ち、1000以上の使用人を抱え、移動は全て自家用機、景観を損ねると言って近隣のマンションを買収、即日爆破、勝手に島を作り政府と大論争の末金を使い強引に認めさせ、パンツは純金(とても履き心地が悪そうですが)という人物なのです。

しかしながら、大がつく富豪にはやはりそれなりに教養もあると見えて、この宝良殿は自分のお金で学校を建てる教育者の1面も持っておられるのでした。

その学校の名が、今日から私が入学することとなる「私立琴望学園高等学校」なのであります。

自慢ではありませんが、この琴望学園は国内でも超が付く名門校でして、全国から様々な分野の鬼才、天才達を集めているのです。


学園の総帥、宝良 琴望殿はとてもユニークなお方で、入学の条件はたったひとつ。

それは「自分の才能を大いに示す」ことです。この条件さえ満たせば来るもの拒まず、誰であろうと何であろうと入学OKな上、入学してしまえば授業料などその他の費用は一切無償なのです。

何であろうと、と言うのは、別に人間でなくても構わないという意味であります。

その例の一つとして、琴望学園2年5組にはチンパンジーのジョルジョ君が在籍していらっしゃるらしいのです。

チンパンジーのジョルジョ君は何とIQが220もあるらしく、ジョルジョ君を研究していた大学が知能テストとして超難関 琴望学園の入試を受けさせてみたところ見事合格、そのまま入学してしまったとのことです。

ジョルジョ君の学力もさる事ながら、入学を認める学園の度量の大きさにも感服です。


そうなるともうみんな大騒ぎ。なんせ入ってしまえば全てが無償、学校としての箔も申し分無しで誰でも入れるとのことですから、皆こぞって合格を狙いました。

かく言う私もその1人でして、そして見事合格を決めた次第にございます。

学園の情報を下記に少しだけ記しておきます。



ーーーーー





琴望学園


一般学科、極学科、叡智学科の3つの学科からなる。

クラスはそれぞれの学科からランダムに構成される。そのため授業時になると各学科の授業の内容により教室を移動する。


一般学科は文字通りの学科。入試では筆記試験のみ。


極学科では筆記問題と共に実技試験が行われる。実技の内容は受験者が各自で決定することが出来る。

世間では一芸に秀でた者が受験する学科という認識である。その認識通り筆記試験での得点はあまり重視されない。


叡智学科は極学科の受験生の中で筆記試験の得点が全受験者の中でも上位の者が割り振られる。

つまり入試の際は「叡智学科」という学科を選択して受験することは出来ず、極学科を受験したものが成績に応じて叡智学科になる、ということになる。






ーーーーー



ちなみに私は叡智学科での合格となりました。クラス分けは入学式の前に校門付近に掲示されているのを見よとのことです。

果たしてどのような人々がおられるのでしょうか。今から不安と期待とで胸は高鳴ります。

それでは、そろそろ入学式に向うことに致しましょう。


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