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トリスの日記帳。番外編  作者: 春生まれの秋。
11/13

言えなかった言葉

ふと、思い立ったので。

後悔の言葉は、もう、直接伝える事が出来ない。

私は、直接彼らを知らないし、彼らも、私を知らないから。


匿名性の高い、けれど、人生で、この上なく幸せをくれた、今は無き、私の楽園。

消滅したその世界で、私は、最後まで、彼に彼の作品への感想を伝えられなかった。

聞かれていたのに。

時間が無いことも、分かっていたのに。


沢山の、「のに」が、私を苛んで、今も、心を締め付けている。

だから。


ただの、自己満足なんだけど。

言えなかった、彼の素晴らしい作品群への感想を書こうと思う。



「少年の、少女への片想いは、痛いくらい、伝わっていたよ。答えられないのが、申し訳ないくらいに。」




ほんとはね。

私にだって、貴方の私へ向ける「特別」を、感じてはいたんだよ。

でも、私は不器用で。愛しい人以外、見つめるなんて、できなかったんだ。

貴方の気持ちが、嬉しくなかったなんて事、絶対に無いよ。

寧ろ、私は自分に自信が無いから、余計に、格好いい異性には気後れしちゃってたんだ。

貴方は、とても魅力的な方だから。

貴方みたいに、凄い事、私には出来そうに無いから。

これを読んでくれているのか、全くわからないけど。


自分が恥ずかしくて仕方ない「私」は、貴方に話しかけるのも、難しくて。素直に言葉が出なくて。ちゃんと、『凄く良く表現出来てて、出来すぎていて、逆に私の心にザクザク刺さるよ』って、言えなかったの。

作風も、世界観も、声の響きも。

貴方は、とても、私の好みを突いてくるから。

最近では、文章でまで。


実はね。雑誌も、チェックしてるよ。


貴方が、あの世界から得たものを、貴方なりに昇華して、表現して、残そうとしてくれているから。

文章の端々から漏れ出てる、あの日の『少年』を、私は確かに感じてるんだ。


あの頃は、素直に、貴方のファンだって事も。信者じゃないけど、自分からあんまり音楽を聴かない私が、忌避感なく受け入れられるよって事も、伝えられなくて。


伝えられたら、もっと貴方の心に暖かさを残せたのかな?


初めて耳にした頃の心の荒みが、年々穏やかになって。人格が深みを増して、外的魅力だけじゃない、人間としての魅力が、益々磨かれていくのを、いつも眩しく、感じてるんだ。



凄く凄く、活躍している貴方に。

前よりもっと、伝えにくくなってしまったけれど。




自惚れじゃないといいな。貴方に大切に想われていた事。


気のせいじゃないといいな。


自信は無いけど。


心の機微って、とても難しくて。


中々、気づけなくて、ごめんね。




ずっとずっと、応援してるよ。

騒いだりなんか、しないけど。


懐かしさで、つい、貴方の作品群を手にしてしまう事、許して欲しいな。

そんなに、沢山は、持たないけど、ちょっとだけ。






ああ。

今になっても、やっぱり、苦しいよ。

面と向かって、伝えられなかった事。



貴方と友達で居られたあの場所、あの日日。

本当に、楽しかったんだよ。


あの日の君に。


ありがとう。


作品が分かる人は、まだいい。

活躍が分かる人も。


でも、今を精一杯生きている、名前を知らない貴方達を探す事は、とても難しいから。


多分、私は、ポツリポツリ、これからも呟くのだろうね。


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