43.作戦会議
なっちゃんと話し合ってから、丸二日が経過した。その間、僕は吹雪の声を聴いていない。・・・避けられた回数を数えるのはやめよう。
「重症だねぇ・・・」
「顔は見せるんだけどね。すぐどっか行っちゃうんだよ」
移動教室のときなど、時々吹雪らしい影が見えるのだ。そのくせ、僕が振り向くと眼を逸らしてどこかへ消えてしまう。
「吹雪ちゃんて、もしかして結構根に持つタイプだったり?」
「御覧の通りだよ・・・どうしたらいいと思う?」
情けない話だけど、吹雪に避けられて無意識にダメージを受けていたらしい。気づけばHR終わりになっちゃんを引き留めて、放課後の教室で話を聞いてもらっていた。
「なんか意外だなぁ。吹雪ちゃんていつも気を張ってる優等生ってイメージだったからさ。子供っぽい一面が見れてなんだか微笑ましいや」
「当事者からしたら全く笑えないよ」
今まで、吹雪がああやって拗ねるのは忠とケンカした時くらいだった。つまり、僕はいつも2人の間に入ってなだめる役だったわけで。
「自分に向けられると結構つらいもんだね。忠はあれだけ怒られてよく耐えられるなぁ・・・」
「忠君にはよくあぁなるんだ・・・」
「昔からね。よくケンカしては拗ねてるけど、なんだかんだ仲はいいんだ」
そうでなければ、高校生になってまで学年も性別も違う吹雪との付き合いが続くわけがない。この関係は、ちょっと自慢できるものだと思う。
「よかったね」
「え?」
前の席に腰かけていたなっちゃんは差し込む夕日を優しく返す目で微笑んだ。
「今まで忠君にしか見せてなかった一面を、若にも見せたってことでしょ?」
「あ、・・・そうか、そういう考え方もあるんだね」
「それにほら、拗ねてるってことは甘えてるのかも。気を許してるからこそ、みたいな」
戸惑うばかりだった胸中は、気持ちの余裕を感じるほどに落ち着いていた。心に素直にしみ込んでくるような気がするのは、なっちゃんの言葉だからだろうか。ふと、肩の力が抜けた。
「ありがとう。ちょっとは気が楽になったよ」
「よかった。・・・それじゃ、作戦会議にもどろっか」
上げて落とす。この時ばかりは、なっちゃんの穏やかな微笑みが悪魔の笑みに見えた。
なっちゃんの言う通り、これは僕の捉え方の問題であり、現状は何も変わっていない。このままでは、明日も吹雪は僕を避けるだろう。
夕日の輝きから一転、力なく机に突っ伏した僕の目の前は真っ暗だった。
お読みいただきありがとうございます
後2回でこの章は終わる予定ですので、お付き合いいただけると幸いです(ーvー*)




