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ツルギは秘宝刀!短編です!

作者: 斑鳩 灯涙

 俺の母方の実家は名家だ。

 祖父が一筋…ではなく様々な武道を習い、門下生を鍛えている。家は和風でバカにでかく、水戸○門にでも出るセットですか?と聞きたくなるほど。

 縁側に庭完備。その真ん中に池完備。

 そんな家の孫に、二条院(にじょういん) 冬兎(とうと)は生まれた。いや、生まれてしまった。

「……生きてる意味ってなんだろ」

 その縁側に(はかま)姿でぐったりと倒れている少年が冬兎だ。

 二ヶ月前にいきなり祖父に呼び出され、八王子からこの神戸までを飛ぶように来たのだ。いや、飛ばされたのだ。行かなければ去年の時のように黒服の男とともに仲良く新幹線になりかねん。

 しかし行ったが早々別館の道場に連れて行かされ竹刀で失神させられ。

 そしていつもツンツンな態度の一つ下の従妹が介抱してくれ頬を赤らめさせた途端に同じ部屋で寝ろ宣言と来た。

 死にたいと空に喘ぐ日々がこれから一生続くのかと思うと嫌になってくる。

「とうとさ〜ん!うわわわわ!」

 声と同時にゴンと何かに何かを激しくぶつける音。

 今盛大にドジをかました者こそ、頭を物凄く痛める原因になっている少女――いや、刀。

「いたたぁ〜」と言いながら頭を抑えて涙を溜めてる銀髪、赤眼の若干小学生並みの幼女。名前はツルギ。蔵を掃除していた冬兎が間違えて落としてしまった日本刀から出現(?)した子だ。名前も剣だからツルギ。ヤイバとかよりは幾分女の子っぽい。

 少女が着ている物は…案の定巫女服。アブノーマルプレイにしけ込むのか?

「とうとさん、ご飯ですよ〜」

茉理(まつり)が作ったやつでしょ…?腹壊すから入らない要らない炒らない」

「だぁ〜れの料理が腹壊すですってぇ〜?」

 さっと現れさっと冬兎の悪寒を刺激した人物。一条院(いちじょういん) 茉理(まつり)。先程言った従妹である。鋭く青い眼光に揺れるツインテールの金髪。どちらもハーフの母親譲りである。性格はツンデレである。オソロシヤ、くわばらくわばら。

「さてと!食べるかっ!」

 咄嗟(とっさ)に台所へと逃げ込む。

 腰が何やら重いと思ったらツルギが抱き着いていた。

「なにをしている…?」

「逃げちゃ、だめ、です」

 どうやら全治三日以上掛かる料理を食べなければいけないらしい。朝稽古が終わった後で閻魔様がぎゃはは笑っているかのようだ。

 前、茉理が作った飯を食べた時は本物の悲劇をみたものだ。

 悲劇――便所引き篭もりゲリ○ー。しかもずっと続くループ。

「ツルギは味覚音痴だからいいけどな!? あれは常人には辛いんだよ!悪魔の唐辛子なん――」

 気付くとツルギは腕にしがみ付いている。(うる)んだ瞳を向けて来ている。

「食べないの…ですか?」

「――――しかし人には食える物と食えない物がッ!」

「食べないん…ですか?」

 力んで来る腕の力。

 異変に気付いたのはすぐだ。というか骨がキシキシと鳴っていたら分かる。思い出した。ツルギは万力だ。タンスを片手で持ち上げるほどの。

「い、いだああぁああああいだいいだいだいだいだいだいしにゅぅぅぅううあぁぁぁああッ!!!!!」

 拝啓、天国の親父。今日は朝から痛いです。



「へ、へへへへ…」

 地獄の閻魔様が見えた。可愛い女の子に見えたのはあれだ、幻覚が見えるほどの物だったのだなと。

 怪しげな笑い声を漏らしながら縁側で寝そべっている。ついでに涙を流している。

「腹が…腹がいてぇよぉ…」

 きゅるきゅるきゅ〜と高く鳴り響いている腹の音。腹の虫ではない。痛みだ。(はち)だ。

 胃薬と腹痛薬を通常の二倍は飲んだ筈なのに病状は二倍。

 こんなにも苦しんでいるにも関わらず、ツルギはけろっとしている。『のほほん』とした顔で身悶えている冬兎の頭の方の隣に腰掛けている。

「面白いですね、とうとさん」

「お前は眼科か脳神経科行け…ぐぉぉぉおお死ぬ死ぬ死ぬぅ」

 何度お手洗いに駆け込んだだろう。そしてどれくらい入っていただろう。

「だから食いたくなかったんだ…昼飯カレーだしチョコ入ってたっぽいし作った奴くわねぇし…どこ行った茉理〜」

 もはや呪うように名前を漏らす。

 チョコとカレーは合わせると毒ですと世界中の皆さんに言ってやりたい。あと、作る奴の外見に騙されるなというのも付け加えて置く。

 作った本人は料理を並べて「食べてみなさいよ」と言っただけ。カレーを一口食べた冬兎の体が急激に震えると茉理は逃げた。脱兎だ。最速タイムを叩き出したぜあの子。

「ボクはね、流石にこの扱いは辛いんですよ?はい」

 独り言が虚しく縁側の池に吸い込まれて行く。

「ん〜、いいじゃないですか。わたし、まつりさんの料理、好きですよ」

「味覚音痴にはわかんねぇよこの辛さは。どうなってんだお前の味覚器官…」

 味覚音痴は酸味、甘味、辛味、苦味その他諸々がルーレット方式らしい。辛味が甘味とか。甘過ぎるのがピリ辛だとか。

「それに、ここでとうとさんと話し合っているのも好きですし」

 唐突に言って来たツルギの目は空に向けられている。

「あのさ…気になったんだけど」

「?なんでしょう?」

「お前って…鞘の部分なの?それとも刃の部分?」

 首を傾げながら疑問を口にする。

 するとツルギは微笑んでから言った。

「さぁ、どちらでしょ?」


 これは、真刀から生まれた少女と親族との争い事が絶えない少年の、かなりコメディな話。

いやぁ〜、新のシリーズっすね。

真刀のツルギは勘を絞り尽くして出て来たシリーズです!

やりましたぁ〜!

ツンデレ従妹に天然刀少女!

頑張りますよ〜!

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