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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役転生してくれと言われた

作者: heavygear

捻らずストリート




「お主の来世は悪役じゃ! 世界を救う主人公の良き踏み台になるのじゃっ!」


「ぇー」


 死後すぐに俺は神様からトンデモナイ言葉を授かった。


「ええから頑張れ」


「あれー」


 そして、反論の余地すら与えられずに落とし穴へGO。

 落とし穴の先は、母の胎内でした。

 オギャーと転生した俺の生家は、とある騎士家系の離れ。

 今母は当主のお妾さんだったとさ。




「妾の子の癖に生意気だ」

「お前みたいなグズが騎士になれるものか」

「家に置いてやるだけありがたいと思え」


 と、周囲から言われまくりの日々。

 普通の子供の精神状態なら心が折れていただろうと思う。

 しかし、俺の心は簡単に折れなかった。

 俺の前世は、毎日お小言を貰う窓際ダメ社員だったのだ。

 多少の悪口や意地悪に負けるものか。


 と言う訳で、俺は妾腹の身でありながらも騎士になるべく努力するのであった。


 目標は『主人公と切磋琢磨する踏み台ライバルポジション』である。


 苛めを苦に悪党に堕ちて正義の味方にズンバラリンは絶対避けたい俺であった。




 あっという間に15歳。

 努力が実って、準騎士になった。

 母大喜びで、腹違いの兄弟と父苦虫噛み潰し。

 毎日言葉と暴力で鍛えてくれた生家の皆さんありがとうである。


「剣匠の元で修行を積むように」


 離れに住む母と二人ささやかにお祝いしていたら、父が来訪してそう言った。


「頑張るんだよー」

「はーい」


 翌朝、母に見送られながら剣匠の元へ出立。

 主人公との会合は近い。




「うらー」

「おりゃー」

「どりゃー」


 我が国で最強の2つ名を持つ剣匠の元で修行始めて早2年。

 周囲は汗臭い体育会系ばかりです。

 主人公とは未だ会合してません。

 と言うか、俺主人公がどんな人物か神様に教わってないんだな、これが。

 兎に角ズンバラリンされないよう必死に己を鍛える事にしました。

 何時か出会うでしょう、きっと。




「西の峠に山賊が住み着いた。退治せよ」

「港町に逃げ込んだ暗殺者を捕らえよ」

「裏切り者の大臣を討て」

「東の山脈に竜が現れた。退治せよ」


 修行しつつ主人公を待っていると、父が次々と俺に仕事を持ってきた。

 妾腹の俺への嫌がらせだ。

 俺の失敗を望む者が多いらしいと、同門の先輩から聞く。

 このままでは、主人公に出会う前に俺の立場が悪くなってしまうじゃないか。


 頑張った。

 俺、超頑張った。


 山賊達を罠に掛け、暗殺者は囮を使いおびき寄せ、大臣の隠れ家へ乗り込みズンバラリンし、竜は寝ている所を暗殺。

 頑張った。

 俺、超頑張った。

 竜退治の時は、死を覚悟したよ。




 次々に来る無理難題に立ち向かっていたら、国王様から正式に騎士として認められるようになった。

 生家の兄弟よりも上の位である近衛騎士になれるとは夢にも思わなかったけど。

 苦労ばかりかけた母は号泣して大喜びだったので、俺の努力も満更ではないらしい。


 しかし、何時になったら俺の前に主人公が立ちはだかるのだろうかと不安になる。

 考えても答えが出ないので、無様に負けないよう切磋琢磨して待つ事にした。




 気が付いたら25歳。

 第三王女と結婚して二児のパパである。

 子供可愛い。

 超可愛い。

 奥さんも超可愛い。

 よーし、パパ頑張っちゃうぞぉう。




「あなた、神殿から聖騎士授与の報せが届きましたわよ」

「パパしゅごーい」

「あぶー」


 家族に見送られながら神殿へと向う。


「神よ。王国最強の若き騎士に祝福を」


 偉い大司教様から祝福の儀式を受ける。

 国王他、国の重鎮に見守られながらの聖騎士授与だ。

 パパ頑張ったよ。


 努力が実ってホッとしていたら、俺を見る鋭い視線を2つ感じた。

 1つは、ひょろりとした細身の青年。

 もう1つは、名家の若様。

 この2人、俺の次に聖騎士授与を受ける者達だ。

 2人共にタイプの違う美形。


 ようやく主人公のお出ましらしい。

 気合が入るというものだ。


 しかし、どちらが俺を倒す主人公だろう?


 何時挑まれても良いよう、政務をしながら修行を続ける事にする。




「うりゃー」

「てりゃー」

「どっせーい」


「うわー」

「くっ」


 聖騎士になってからというもの、俺に挑戦してくる者が多く訪れた。

 主人公っぽい2人も来た。

 当然全部返り討ちにしてやったがな。

 主人公っぽい2人は、まだ十代で伸び代が俺以上にあると感じた。

 きっと、近い将来俺はこの2人に負けるだろう。

 家族は俺が負ける事を良しと思わないだろうけど、俺はそれで良いと思う。


 だって、俺の目標は『主人公と切磋琢磨する踏み台ライバルポジション』である。


 ここは、人里離れれば竜や魔物が闊歩する危険な世界。

 世界を救う能力は俺にはない。

 その大仕事は主人公君達に任せようじゃないか。


 転生前に神様は仰った。


『世界を救う主人公の良き踏み台になるのじゃっ!』


 と。


 主人公っぽい若い2人と切磋琢磨する俺であった。


 2人と知り合って半年後、魔王復活の報が全世界に届けられた……。










「「「勇者様バンザーイッ」」」


 魔王復活の報から3年が過ぎ、魔王は倒され、今日は戦勝パレードである。

 民衆達の歓声を受け、俺達は故郷へ凱旋を果たした。


「「どうしてこうなった」」


 俺とひょろりとした細身の青年は同時に呟いた。

 なるほど、こちらが主人公だったか。


「どうしたのだ二人共?」


 名家の若様から質問される。


「いや。お2人の剣術指南の予定が、何故俺まで魔王討伐に当たったのかなぁっと」


 俺は答えた。

 剣術指南役だったのだ、俺は!

 それがどういう訳か、何時の間にか魔王討伐隊に選抜されていたのだ。

 そして、どういう訳か、魔王を斬り倒してしまう俺……。


「あ、いや、なんでも……ない」


 ひょろっとした主人公は、納得いかねぇって表情で口を濁す。

 なるほど、君も俺と同じ転生者ですね。

 思い返せば旅の中、未来予知といってよい程、魔王の動きを読んでいたなあ。

 おかげで、サクサクと戦いを進められて助かった記憶がある。


 あれ?


 こいつ、俺に一度も勝ってないぞ。

 何時俺を踏み台にするんだ?


「何時でも挑んで来い」

「勿論」

「あ、あぁ」


 お祝い事を終え、俺は2人に声を掛けた。

 若様はキラキラした目で承諾。

 主人公は歯切れの悪い対応でこの場を別れる事となる。


 っ!?


 もしや、第二第三の魔王が存在するのかっ!?


 よーし、子供達の未来のため、パパもっと頑張っちゃうぞぉう。




 結局、その後も主人公が俺に絡む事はなかった。


 そして……。







「……なんか、ゴメン」

「謝んな」


 死後の世界で俺は主人公に謝った。

 どうも鍛えすぎた所為で、俺が主人公よりも強くなり、物語が変わったらしい。


「血塗れの聖騎士アクヤ・クーの聖なる冒険……プッ。プハーハッハッハッ! イーヒッヒッヒッ!」


 俺達を転生させた神様は、本を片手に腹を抱えて大爆笑していた。


 あっ、自己紹介してなかった。


 俺の名前は、アクヤ・クーです。


うーん。直球過ぎたかと反省。

だが、後悔はないっ!

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