登場人物
〇オマル・イブン・カターブ
イスラム教国第2代カリフ。当時のイスラム世界におけるリーダ―として、イラク、シリア、エジプト、ペルシア西南部を制服し、勢力拡大に寄与した。ウマルと表記することもある。なおカリフとは、神の使徒ムハンマドの代理人、後継者という意味で、イスラム世界における宗教的指導者であるが、当時はむしろ政治的指導者の色合いが濃かった。また預言者ムハンマドから始まったアラブの征服運動は、当初国という思考を持っていなかったためイスラム教国という名前は正確ではないが、本小説内ではわかりやすくとそう表記した。図書によっては、アラブ帝国またはムスリム帝国と表記することもある。イスラムとは宗教の名。ムスリムとはイスラム教徒のこと。
〇ハーリド・イブヌル・ワリード
イスラム軍の武将のひとり。開祖ムハンマドから「アッラーの剣」と呼ばれるほどの猛将。世界最大の強国ビザンツ帝国をヤルムークで破り、エルサレムを放棄させた。また、同エリアの中心都市のひとつダマスカスをも陥落させる。ハーリドなくして、イスラム世界の拡大はあり得なかった。エルサレム制圧においては、武力による攻略をオマルに主張するが、聞き入れられず、陥落後軍役から退く。
〇ソフロニオス
エルサレム総主教。ビザンツ帝国軍がイスラム軍に敗れてから、エルサレムの運命の鍵を握る人物になる。イスラム軍侵攻を前に、抗戦か開城かで揺れ動くが、キリスト教徒(信徒)を守るため、無血開城を決意する。自己の生命を賭すが、オマルに赦される。