☆05-1.告白
私に振ってる番号で本編の123話の風天目線です。なので、All風天目線。
※123話まで本編を読んでいない人は目次のリンクから本編を読んでいただいた方がいいと思います。
「・・・・・・・!!」
真夜は俺とお嬢を見た瞬間後ろを向いた。そのとき一粒の涙が見えた。
「真」
夜と俺が言う前に真夜はこけた。少し拍子抜けするが、真夜は素早く立ち上り走り出した。そのときに魔力の流れを感じたから、多分、強化魔法で足を強化し、痛いのを我慢して立ち上がり、そのまま走ったのだろう。
俺は真夜を無意識のうちに追いかける。走り出したときに「行かないで」と言うお嬢の声が聞こえたが俺は真夜を追う。ここで俺が追わなければ俺の初恋は告白もせずに終わってしまう。フラレルにしても彼女の口からちゃんとフッテほしい。いや、そうじゃない。
(真夜・・・・・・、もう、自惚れてもいいよな・・・・・・・・?)
そう思いながら、俺は携帯を取り出し慧に走ったまま電話をした。いくらお嬢とはいえ、発作が出ている以上ほおっておくわけにもいかない。俺は手が離せないので、慧に頼むことにした。慧に用件だけ言い、相手の返事も聞かずに電話を切った。そして、真夜を追うことに集中する。流石に強化魔法使っているだけあって、追いつかない。だが、追いつかなさそうなわけではない。
時々そうかなぁ、て思うことはあった。でも、俺に気のせいだ、と思っていた。いや、思い込んでいた。しかし、あの涙が、それは嘘だと語ってくれた。さっき、フラレルなら、とかい思っていたが実際は振られるなんて思っていない。手放すもんか。ずっと欲しかったんだから。
あともう1つ、真夜を捕まえなければならない理由がある。それは、体が強化魔法に耐えられなくなるからだ。強化魔法とは便利な魔法だがとても体に負荷がかかる魔法だ。長時間使っていると負荷のせいで体がついていかなくなるのだ。真夜は女の子だし、その中でも小柄な方(そこもかわいいんだよ!)だからもって数分だろう。それで、絶対そのうちこける。絶対だ、絶対。
そして、やっと追いつきそうになったら、案の定、真夜はこけかけた。
「真夜!!」
俺は手を伸ばし床と衝突するのを後ろから抱きしめ防ぐ。
(よし!今日は格好、付いた!!)
あの日のように失敗はせず、ちゃんと支えられた。そのことが自分の背中を押す。それと同時に彼女のにおいをかぎ、彼女の体温を感じる。それを感じられてうれしかった。全てお嬢のせいだが。
「放して!!・・・・・・、放してください・・・・・・、先輩。」
真夜は俺の腕の中でもがきながら言う。そのもがく力は弱々しい。俺は、放す気はない、という意思を込めてさらに強く抱きしめた。そのことで彼女がかなり細身なのが分かる。
どうでもいいというか、つい雰囲気を壊すようなことを考えてしまった。理由は、抱きしめて時に、俺の腕に彼女の胸が当たったからだ。
(おい、余計なこと考えるな。巨乳とまでいかなくてもそこそこあるなぁ、とか考えるなよ・・・・・。)
そう、俗にいう下心というやつだ。言い訳になっていないと思うが、俺がこんな下心を抱くのなんて真夜にだけだからな!他の人には全くそういうことは考えない。それだけ真夜一筋なんだよ。だから、許してください・・・・・・。たぶん彼女への第一声を考えていないかった混乱してたんだ。うん、そういうことにしておこう。
少し落ち着こうと思い、彼女の左肩に顔をうずめる。
肩幅も狭い。こんなに小さい体をしてるのに持っている魔法は大きく強い。頭がいいのにホワホワしてて少し抜けててどんくさい。単純で表情をころころ変える、そんな彼女のそばにずっといたい。この思いが真実だ。
「真夜・・・・・・、好きだよ。」
うずめた顔の角度を少し変えて、彼女の耳元で次の言葉は言う。
「大好きだ・・・・・・・。」
彼女はもがくのをぴたりと止めた。
次話は124、125の風天verです。
明後日3日水曜日の午前7時にup