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☆01-2.17期生の修学旅行(2)~2日目(1)~

金島目線

 二日目の夜。本日の宿泊先は洋風なホテルであった。基本は2人一部屋なのだがラスの男子が奇数だったため、私は、実と睦で三人部屋となった。親しいものしかいないので昨日のことを切り出してみる。

「実。」

「ん?何?」

実は私が何を言うか検討が付いていなかった多様で、きょとんとしている。

「昨日の夜のことですが」

「!!」

きょとんとさせていた顔を朱に染めてびっくりする、実。表情が急に変わるのが面白い。分かりやすすぎだ。しかも、「その先は言うな!!」と顔に書いてある。

「そのことは私の勘違いではないと思いますが・・・・・・。」

まぁ、引くはずないが。

「だ、・・・・・だから、ま、月影とは、その」

「私は昨日から今まで相手が誰なのかは言ってませんよ?」

いつもどおりからかう。

「っ~~~~~~~!」

実はそのいつものネタにひっかがっり、顔を真っ赤にさせて恥ずかしがる。それがおかしくて笑いがこみ上げてくる。実は学習していないわけではない。それだけ、この話を振るとあわてるのだ。まぁ、こちらとしては面白いことこのうえないが。横で睦が

「っえ!?真夜なのか!?真夜だったのか!?」

と騒いでいる。驚くことないだろう、こんなにも分かりやすいのに。それで分からない睦がおかしい。気づいていないのなんて、月影さん(当事者)だけだと思っていたのに・・・・・・・。さすが、あの子の(自称)兄である。こんなところが似ているとは本人たちも思ってはいなかっただろう。

「だ、だから、違ぅ・・・・・・・・」

最後の「う」が弱々しい。ほら、やはり違くはない。その反応がそうだと言っている。

「・・・・・・・ぁらないんだよ・・・・・・。そういう意味(・・・・・・)の好きなのかどうか。」

「「はぁ?」」

私と睦が声を上げる。思わず私らしくはない声を上げてしまった。

「しょ、正直・・・・、月影のことは好きなんだよ・・・・・・・。大好きなんだ。」

お、今、さらりとすごいことを言った。気づいているのかいないのかは不明だが。

「だ、だけど、この好きが」

あ、気づいてないな。

「慧の言ってる好きなのかどうかが分からないんだよ・・・・・・・・・。」

何を言っているのか?と言いたくなる。今更、何言ってるんだ。分からないとは何だ。あれだけ(実にしては)明様な態度をとっておいて分からないはないだろう。あの子が()ニブで気づいていないからまだしも、普通の感覚か少し鈍いぐらいでも分かるくらい(実にしては)積極的な態度をとっておいて分からないとは、あの子に失礼である。まぁ、失礼だというのあの子が気づいていた場合の話で、あの子は気づいていないのでまだ失礼になっていない。あの子は実以上に、ほぼ全てと言っても過言じゃないくらいに何を考えているのか顔に出やすい人間であるため明白である。

 普段から女子とは自分から関わろうとしない人間が、話しかけるどころか外出に誘った相手。その相手がそういう意味で好きな人のはずないだろう。そこから気づけ。そもそも、それが何なのか考えろ。・・・・・・・いや、考えたところで分かる人間じゃなかった。そう、実にとっては初めて(・・・)なのだから。はぁ・・・・・、しょうがない。親友として助けてあげるか・・・・。その御代として、これからさらに今までの倍以上からかわせてもらう。

「そうですねー・・・・、手を繋ぎたいと思ったことはありますか?」

まずは低レベルなところから。そうしないと恥ずかしがって答えないだろう。

「ある。と、いうか、繋いだ。」

はぁ・・・、その時点でおかしいと思え。他の人にはたかが手を繋ぐぐらいだけど、異性が相手だと自分だったらそうじゃないことぐらい自分で知ってるだろう。・・・・・・・まぁ、いい。次だ。

「では、抱きしめたくなったことは?」

「かわいいな、って思うたびにそう思う。」

おい、何度も言うが気づけ・・・・。

「キスをしたいと思ったことは?」

「思ったかどうかは・・・・・、べ、別として、し、しかけたことは・・・・・、ある。」

実はそのときのことを思い出してしまった用で顔を赤くしながらつっかえつっかえ答える。心より体は素直なようだ。もう、そこでいい加減に気づけ!

 ・・・・・・・て、もしかして・・・・・・、考えないようにしていたと、か・・・・・・・・・?実の性格上やりそう・・・・・・。でも、なぜだ。何故認めようとしない。

「・・・・・・・、何でそこで気が付かないんですか・・・・・・。」

ついに言った。

「・・・・・・・や、やっぱり・・・・・・・、それであってたのか・・・・・・・・。」

当たり前だ。やっぱり、てことは・・・・、やはり気づいていないことにしてたのか。

「そこまで考えたのなら、何で認めなかったのですか?」

「・・・・・・・・、多分・・・・・・、自分が変わっちゃうと思ったんだ。それが・・・・・、なんとなく・・・・、怖かった・・・・。」

子供か!!と言いたかった。

「それに、自分の考えが外れてて、間違ったほうに進んじゃうのが嫌だったんだ・・・・・。」

確かに、そうしてしまう人もいる。だけど、実は自分でちゃんと考えられる人間だ。

――――そうか・・・・・・。実はたぶん、背中を押してもらいたかったのだ。正しいと言ってほしかったのだ。

では、それを誰が言う?

「実・・・・・。」

そう、もちろん。

「大丈夫ですよ。」

親友()だ。

「あなたはちゃんと、あの子に恋をしていますよ。」

睦でも言いのかもしれないが、睦だとうまくいえずに終わるだろう。

「だから、自分の思うように進んでください。」

だから、これが私の役回りだ。

「・・・・・・・・・、ありがとう、慧。」

実るな晴れやかな顔を見て、これでよかったんだと思う。


 親友よ、頑張れ。私はあなたをからかいながら、あなたとあの子が結ばれる日を待つ。そのときは祝福しよう。





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