〇13-1.お兄ちゃんのお手伝い・前編
そういえば、レギュラーメンバーの中で火室だけ本人目線の話が無いなぁ、でも、本編に火室目線の話を書く予定なんて今のところ(今後は分からない)ないし・・・・・・・・・、っと言うことで書いたお話。火室のお話は番外編ではとても多いんですけどね。
火室目線。時期は、真夜と風天が付き合い始めた後のいつか。前編・中編・後編・オマケの4話構成の前編です。
またこの『お兄ちゃんのお手伝い』では、前編・中編・後編・オマケ、全ての話に別のweb拍手が付いていますのでご覧ください。いつもどおり、拍手を2回送ると読める使用となっております。話によっては、本編よりも長いものもあるくらい私なりに頑張って書いたものです。
俺はいつもどおり、兄として真夜に菓子を与えるために、昼休みに真夜のHR教室まで行った。教室のドアから教室を覗くと、真夜は水原といつも一緒にいる女(本名は分からないが渾名がゆかりんなのだけは知ってる)と一緒いた。もう、弁当は食べ終わったようで、楽しそうに話している。俺が来ていることには全く気が付いていない。正直、寂しいが、真夜本人には絶対に言わない。からかわれるのが落ちである。
教室にいた1人の女子生徒と目が合った。俺と目が合うとその女子生徒は目を輝かせ、真夜の元へと走って行き、真夜の肩を叩いて真夜に何か言いながら俺を指差した。女子生徒は如何やら、真夜に俺が来たことを知らせてくれたようだ。真夜は「マジか。ありがとう。」と女子に言った後、席を立ち、俺の元へと歩いてきた。
「お兄ちゃん、来たなら呼んでくれれば良いのに。」
「目立つだろ。」
と言うか、お前が目立つの嫌がるくせに。こっちの気遣いが分からない妹だ。
「いや、呼ぶ呼ばない以前に、お兄ちゃんが教室に来た時点で目立ってるからその気使いは不要、というか無駄です。」
おい、言い方。その言い方はやめろ。何でこいつはいっつも俺にこんなんなんだ。こういうところは姉に似てると思う。
「だったら、来る前にメールでもすれば良いじゃないですか。そうしたら待ってますよ。」
「いや、お前を待たせるなんて危険すぎる!」
「私、わりとトラブルメーカーですけど、廊下に立ってるだけでトラブル起こすほど酷くありません!廊下に立ってるだけでトラブル起こしそうなのはお兄ちゃんの方じゃないですか!」
「いや、お前の方だ!」
「お兄ちゃん!」
「真夜!」
「絶対お兄ちゃんだもん!!」
「いや!絶対真夜だ!!」
真夜が頬を膨らませて怒っている。
「いや、どっちもかなりのトラブルメーカー。」
水原が教室の中からこっちに聞こえるように言った。
((うっ!))
それは真夜も俺も否定できない事実だ。
「トラブルメーカー兄妹なんだねぇー。」
「そうなんだよ。」
「う~。ゆかりんまで~~!」
と真夜が言うと、2人は教室の中から笑顔がをだけを返しえきた。
「こいつら・・・・・・・・!」
事実なだけにかなりイラッときた。
「あぁ、お兄ちゃん。瞬君には怒って良いですけど、ゆかりんには駄目ですからね。ゆかんりんあれで悪意0なので。」
「あれでか!?」
「ゆかりん的には事実を言っただけなんですよー。ゆかりんは毒舌なんです。狙ってなんか無いんです。あれが素なんです。」
「おい・・・・・・・・。」
「それはもう、5フレーズに1フレーズは毒を吐かないと死んじゃうレベルなんです!」
「その確立で毒が思いつくのが凄いな!」
「ゆかりんですから!」
「おい・・・・・・・・。」
それで済む話なのか・・・・?
「いやぁ~、流石My friendゆかりん。キャラが濃いどころか濃厚ですよねー。」
「そういう問題じゃないだろ。お前に普通の性格した友達はいないのか!?」
「それ、自分が普通じゃないっていうの認めちゃってますよ?まぁ、実際、普通の性格からかけ離れすぎてますけど。」
「うっ!」
「だって、キャラが濃くないと周りがキャラが濃いので、その子が埋もれちゃってかわいそうじゃないですか。別に私の趣味とかじゃなくって必然的にキャラが濃くないと生き残れないんですよ。って・・・・・・・・、いつ何を間違えて私の周りってそうなったんだろう・・・・・・・・・?」
それは、小学生のとき水原を友達にしたのがお前の過ちだ。真夜の近くにいるってことは必然的に、水原とも関わらなくてはならなくなる。水原の悪意に対抗できるのなんてかなり神経が図太くなくてはならない。神経の図太いやつは普通の性格をしてないのが一般的だ。まぁ、実みたいにド天然で本能的にかわすという方法お無くは無いが、あの天然レベルに到達してる人間もまた、あまりいないだろう。そういう点でも実は真夜にぴったりだと思う。
いくら考えても正解に辿り着かない真夜の口に中に、俺は持ってきた菓子を放り込んだ。
「フモッ!」
真夜は口に異物を感じて変な反応をしたが。モグモグし、徐々に幸せそうな顔に変わっていった。こんな安い菓子で妹の幸せが買えるもんなら安いどころかお釣りが来るくらいだ。
「もっといるか?」
と俺が言うと、コクコクと頷いたので、再び菓子を真夜の口に放り込んだ。真夜は口の中のものをまたモグモグと味わいだす。口の中に菓子が無くなったようなので、また菓子を口に放り込もうとしたら、
「お兄ちゃんに相談があります。」
と真夜が真顔で言い出した。
「相談?」
俺に?真夜が?相談だと?いつも俺のことを小バカにしてる真夜が!?
「そう、相談です。」
「俺に?お前が??」
こんな珍しいことがあるんだろうか?
「はい。お兄ちゃんにしかこんなこと相談できません。」
衝撃だ。「お兄ちゃんにしかこんなこと相談できません。」だと!?何だ?真夜如何した?変な物でも拾い食いしたのか!?だとしてもこれは・・・・・・・・。
(兄としてのらないわけないだろ!!)
「そ、そうか!なら、しょうがないな!兄であるこの俺が相談にのってやろう!!」
「・・・・・・・・・。」
何故だ。何で遠い目をしてるんだ真夜は。
「・・・・・・・、嬉しそうですね、お兄ちゃん。」
あぁ。そりゃもちろん。
「酷い・・・・・・・!最低です!!」
「な、何でだ!?」
何故だ。何故、責められているんだ俺は。親切に相談にのってやろうとしてるのに、何故だ!?
「人が悩んでいるのがそんなに嬉しいなんて・・・・・・・・・、酷いです!」
そっちにか!そう取るか!?普通取らないだろ!
「そんなはずあるか!!慧じゃあるまい!」
慧ならそれはもう、嬉しそうにするだろう。それこそさらに悩むようなこと言ってな!・・・・・・ほ、ほら。あれじゃないぞ。自分がやられたことがあって、しばらく立ち直れなかったことがあるとかじゃないからな!絶対違うからな!・・・・・・・・て、誰に言い訳してるんだ?俺は。
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
真夜はジーっと俺を見る。いや、俺を上目使いで見てもしょうがないぞ真夜。やるなら実にやってやれ。確実に喜ぶぞ。とは言っても、近い距離で目を合わせようとすると身長差が30cm前後ある俺と真夜だと、真夜が上目遣いをするか、上を向くか、背伸びを・・・・・・・しても届かない。それか俺が屈むか下を向くかだ。今回の場合、真夜からなので真夜が上目遣いをするか、上を向くかなのだが、首が疲れるからだろう。上目遣いをする方を選んだらしい。真夜のことだ、計算であることなんて絶対にない。だとしても、俺達以外の男にやるなよそれ。絶対勘違いされるぞ。いくら、お前の身長が平均より低めだとしても、身長が低いから計算じゃない、なんて考える男殆どいないからな。
「・・・・・・ぇます。」
「は?」
何言ったんだ?聞こえる声でしゃべれ。
「知ってますよ、そんなこと。」
真夜はニコリと笑いながら言った。
「は・・・・・・・?」
「だから、知ってますよ、分かってますって、お兄ちゃんが私が悩んでることに喜んでたんじゃないって。」
(な・・・・・・・・・、)
「お兄ちゃんは、私が相談相手にお兄ちゃんを選んだことに喜んでいたんですよね。大丈夫です。ちゃんと伝わってますよ。だって、私、お兄ちゃんの妹ですよ。こんな、お兄ちゃんにしては分かりやすい反応を示したことも分からないのに、お兄ちゃんの妹なんてやれるはず無いじゃないですか。」
真夜はクスクスと笑いながら言った。て、おい。なら今のは・・・・・・・・?
「冗談です。いやぁ、真面目に切り出しすげたなーっと、我ながら思ったのでここは1つ笑いでも取ろうかと思いまして。」
「な、何だと・・・・・・!!?」
「まぁ、そんな怒らないでくださいよお兄ちゃん。悪いことしちゃったかなぁ、とは思ってはいますので。お兄ちゃんが私の予想を遥かに超えるくらい動揺してましたから。本当にごめんなさい。」
真夜はぺこりと頭を下げた。
「いつものペースに戻したかっただけなんです。ほら、私達ってシリアスに話すような兄妹ではないでしょ?むしろ、コミカルな兄妹ですよね!」
「あぁ。」
まぁ、確かに。怒りたくなったのも事実だが、いつもの真夜だと安心したのも事実だ。
「で、相談内容なんですけど・・・・・・・・・・。」
「あぁ、何だ?」
「お兄ちゃん、」
「お、おう。」
真夜の目に力が篭る。
「どうやったら、」
な、何だ!?相談内容は!?
「実」
み、実・・・・・?実絡みか!それはそれは真夜にとっても俺にとっても深刻だろう。
「先輩に、明日」
あ、明日!?それはまた急だな!
「お弁当を」
べ、弁当?実と弁当?
「持ってこさせないようにするには如何したら良いと思いますか!?」
「知るかぁ!!」
そんなこと知るか!
「はぁ!?何だ!?そのくだらない内容は!!?」
「く、くだらないなんて・・・・・・!酷いです!こっちはチョー真剣に悩んでいるというのに・・・・・・!!」
「そんなことで真剣に悩めるなんて、ある意味凄いぞ!」
今までのくだりだ無駄だと感じるくらいくだらない。こっちらは、さぞや深刻な問題なのだろう、と思っていただけになおさらくだらなく感じる。
「そうですか!凄いならもっと褒めてくれても良いんですよ!」
「おい。ボケみたいなもんかました後にさらにボケをかますな。」
「ボケみたいなもんなんてかましてませんよ。ボケは今のだけです。いったい今の以外にボケ要素が何処にあったのやら。」
「おい。お前の言うボケ要素の直前に思いっきり有っただろ。」
「・・・・・・・・・?あぁ。本題に入る前のくだりですか!それは確かに!」
「戻りすぎだ!確かにそこもだが、俺は直前だと言ったぞ!直前の意味分かってるのか!?」
「お兄ちゃん、4,5分前のことなんて直前ですよ。人生長いんですから。あ!もしかして早死にする予定があるんですか!?」
「それはお前だろ!!そりゃ、人生全体から見ら直前のようなもんだが、その感覚で捉えるような流れがどこにあった!!?」
「やだなー。ボケ要素、ですよー。」
「お前は何処までボケれば気が済むんだ!?」
「お兄ちゃんにだけは言われたくないよ、それ!」
「今の今までボケをかましまくってたやつが言えないだろ!」
「フッ!お兄ちゃん、私は計画的にボケをかましてるんです。お兄ちゃんと違って思考回路自体がボケなわけではない!」
「俺の思考回路の何処がボケだと!?」
「う~ん・・・・・・、だいたい一生懸命考えたことはボケだと思いますよ?」
「お前、かなり俺を貶してる、という自覚あっての発言か・・・・・?」
「でも事実だよ?」
真夜は「悪気ありませーん」という表情でコテンと首をかしげた。
「否定なしか!」
「いや、言ったときはそんな気ではなかったんですよ。でも、お兄ちゃんに言われて、そうかも~って思って。」
「そこで納得して開き直るな。」
「テヘ☆(棒)」
「・・・・・・・・?何だそれは?」
『てへ、ほし、かっこぼう』?何だ?それは??
「あ、本気で疑問?分かった。お兄ちゃんにはこのネタう使わないようにするね。」
「ネタ?」
「あぁ、気にしないで。これ、ツッコミがこないと意味ないから。」
「??」
時々妹が分からないこうとを言う。こういうときは追究して答えてもらっても、やっぱり分からないので俺は追及するのを止めた。
「で、何で明日、実に弁当を持ってくさせたくないんだ?」
諦めた俺は本題に話を戻した。
「それは『手作りお弁当で恋人の胃袋を掴め!大作戦』をするためです!」
「・・・・・・・・・・。」
なんだ。そんな理由かよ。
「それなら簡単だろ。『弁当作るから、持ってくるな』と実に言えば良いだろ。」
「言えないですよ!」
「?何でだ??」
「押し付けがましいじゃないですか!」
いや、そんなことは絶対にない。実なら真夜が作った弁当を食わせてもらえるなんてなったら大喜びするに決まってる。
「でも、如何して明日なんだ?」
ずいぶんと急話だ。
「明日、お母さんが朝早くから出かけるので朝ご飯とお弁当作れないんですよ。で、瞬君が朝ご飯、私がお弁当を作ることになったんです。これはちょうど良いと、思ったんです。1つ作ろうが2作ろうが3つ作ろうが作ることには変わりないので、実先輩のも作ろうかなって。」
「つまり・・・・・、ついで、だな。」
「いえ。ついでなのは私と瞬君の分です。メインは『手作りお弁当で恋人の胃袋を掴め!大作戦』です。」
水原がその発言聞いたら泣くぞ。ま、いつものことか。
「作る作らない以前に、わざわざそんなことしなくても実の胃袋はお前にガッチリ掴まれてると思うが・・・・・・。」
胃袋だけじゃないけどな!あと、ガッチリどころかわしづかみだ。しかも、実本人も真夜になら掴まれたいぐらいに思ってるし。
「そんなこと無いですよ!」
何故そう思うんだ?
「有る!」
「無い!」
「いや、有る!」
「無い!・・・・・・もし万が一有ったとしても良いんですよ。イチャイチャしたいだけだから!イチャイチャできるようなシチュエーションを作るためだから!!」
「結局そこだろ!!」
「うん、そう。それそれ。」
「当たり前みたいに言うな!」
常々思っていたんだが、一体なんだったんだ!?くっつく前までのウジウジジレジレは如何した!?あれか!?あれは幻だったのか!?俺、・・・・・・・俺達の見間違いか!?
「みたい、と言うか当たり前なんですよ。お兄ちゃん。」
「だったら、押し付けがましいと思われるとか考えないで、持って来るなと言えば良いだろ!?」
「無理。不可能。」
駄目だ。俺には妹の可能・不可能の基準がさっぱり分からない。理解できない。
「お兄ちゃんは乙女心というのが分からないから言えるんですよ。流石は、デリカシーの無い男、略してデリカシー無し男!」
真夜がそう言ったとき昼やす終了のチャイムが鳴った。イラッときたが、俺は言い返さずに真夜に背を向け自分の教室に帰った。




