☆11-2.お友達は大切に・後編
本編一周年記念!
風天・火室・金島がどうやって仲良くなったのか、というお話の後編です。
最後、現在に戻ります。第三者目線。
「こんにちはー!」
「こんにちは。」
「・・・・・・・・・・お前ら、また来たのか!!?」
かれこれ1週間、実と慧は幼稚園の帰りに毎日火室邸に寄って、睦に怒鳴られ追い出されていた。
「さぁ、今日こそは遊んでもらいますよ睦君。今日は土曜日、つまり休日ですから丸1日遊べますよ。」
「・・・・・・ックソ!!」
「遊ぼぅ、遊ぼう!!」
実が睦の手をクイクイっと引張った。
「・・・・・・・・・・ぅるさい。」
「?何して遊」
「うるさい!!」
「ワァ!!」
「実君!!?」
睦が怒鳴りながら実を突き飛ばした。
「どうせ親父達の差し金なんだろう!?」
「!!」
と、それに反応したのは慧だった。何も理解できていない実は突き飛ばされたときに床で身体を打った痛みでポロポロと泣いている。
「俺の親に何を言われたのかは知らないが、もううんざりだ!帰ってくれ!!」
睦がいつも以上に怒り出したことで、
「っうっう」
実が
「ワァーン!!」
と泣きながら部屋を出て行ってしまった。何処に行ったのかは不明だが、屋敷内にいいることは間違いない。だが、泣き声が全く聞こえないくらい遠くに言ってしまったことは確かだ。
「・・・・・・・・・、追いかけないのか?」
まだ部屋に残っている慧に睦が言った。すると慧は、
「えぇ、追いかけません。」
と言った。
「あの子はああ見えてとても強い子なんです。心が落ち着いたら使用人さんにでも道を訊いて帰ってくるはずです。しかも、道中にお菓子を与えられ、それですっかり機嫌を直してニコニコしながら帰ってきます。」
「・・・・・・・・。」
何故ここまで分かるのか。それだけ2人が仲良しなのだろう。
「羨ましいですか?」
「!!?」
慧が少しかがんで睦の顔を覗き込み首をかしげながら言った。
「・・・・・・・・・な、何が、だ・・・・・・・・?」
睦の目が泳ぐ。
「何でも解るくらい仲が良いことが、です。」
「!!」
睦の目がさらに泳ぐ。それを見て慧はかがんでいた体勢を戻し、慧と同じくらいの高さになってクククと笑う。
「なら、そう言えば良いじゃないですか。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・いつもああやって人を突き放してるんですか?」
「・・・・・・・・。」
睦が肯定するようにうつむいた。
「・・・・・・・なるほど。素直じゃない、かつ、私ほどじゃないとはいえ年相応の思考回路をしていない。そのせいで友達ができないあなたのために、ご両親が気を利かせて私達のようなお友達要員を何人も送ってきた。しかも、あなたはそれを理解してるためお友達になる気になれなかった。って、感じですか?」
と慧が言うと、
「!!?何でそこまで!?」
と睦が驚いた。
「ククク・・・・・・、実君とは別の感じですが、それもまた良い反応ですね!」
と面白そうに慧が言った。
「言ったでしょ?私はあなたより年相応に育たなかったんですよ。」
とクククと笑いなが慧が言った。
「だからあなたのご両親の差し金に乗りました。我が家の利益のために、ね。」
と慧が言うと、睦はムスッとした。
「・・・・・・・・・でもそれは私だけです。」
慧は窓の外を見ながら言った。
「家同士のつながりという利益のために来たのは私だけです。けれど、あの子――――実君は違います。」
と言い、睦の目を見るために慧は窓の外を見るのを止め、睦と顔を合わせた。
「あの子は・・・・・・・・・、私と違って、家の柵も無く、年相応で、真っ直ぐでとても素直で・・・・・・・・・・、とても良い子なんです。」
慧は少し悲しそうかつ羨ましそうな顔をしながら言った。睦もそれに似た表情をしていた。
「だから今日も、『今日こそは睦君とかくれんぼするんだー!!』って張り切ってましたよ。」
火室の顔が暗くなる。
「あの子はただ単にあのたと友達になりに来ただけなんです。」
「・・・・・・・・・・。」
「まぁ、しいて言うなら、〝友達が1人増える〟という利益にためだけに来たんです。」
「・・・・・・・・・。」
「まぁ、あなたも知っていたとは思いますけど。」
「!!」
「素直になれなかっただけなんでしょ?」
と言いながら慧は再びクククと笑った。
「友達になって欲しいって言ったら、大喜びしますよ、あの子。」
と慧は言った。
「・・・・・・・・・・・・、今からでも・・・・・・、遅く、ないか?」
睦はゆっくりと言った。
「えぇ。あの子とてもも優しい子ですから。」
慧の言葉を聞いて部屋を出て行った睦を、慧は追いかけた。
ヒック ヒック
泣き声のみが部屋に響き渡る。その泣き声をたどり、一室の戸棚にたどり着いた。睦がその戸棚の扉を開けた。
「ヒック・・・・・・・・・、ヒック・・・・・・・。」
戸棚からは実が出てきた。
「実君。」
「・・・・・・・・・さ、さと君!と睦君!?」
実は睦がいた驚きで泣き止んだ。
「実君が隠れるのが上手なので探すのに時間がかかってしまいましたよ。」
「・・・・・・・へ?」
何のことじゃ、と実が首をかしげた。
「ほら!」
と慧が睦の背中を叩いた。
「・・・・・・・・俺達が見つけたんだ。今度はお前が鬼をやる番だ。」
と睦が言うと、実はしばらくキョトンとした後、やっと話を理解したようで、
「うん!!僕が鬼やるー!」
と言った。
「良かったですね、実君。」
「うん!!」
実は戸棚から出た。
「・・・・・・・・。」
「何?睦君?」
視線を感じた実が睦に言った。
「・・・・・・いや・・・・・・・・、その・・・・・・、入れるんだな、そこに。」
「え?睦君は入れないの?」
と実が言うと、さっきまで実るが入っていた戸棚に睦が試しに入ってみた。・・・・・・・・入れていない。胴体は収まっているものの、手足がはみ出す。
「おや。では私も。」
睦が戸棚から出て、今度は慧が入った。・・・・・・・・・、睦と同じ結果となった。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・、小さい。」
「っう!!」
睦に今まで気にしていたことを言われ実はダメージを受けた。
「・・・・い、いいもん!狭いところには入れるからかくれんぼには有利だもん!それにいつかさと君と睦君より大きくなるんだもん!!」
「・・・・・・、それは楽しみだな。」
と睦は笑いながら言った。これが実ると慧の前で睦が笑ったはじめての瞬間だった。
慧が「それはないのでは?」と睦も思ってたことを言った後、実がほっぺたを膨らましながら数を数え始めて、3人でやる始めてのかくれんぼがスタートしたのであった。
「で、結局、お2人はお兄ちゃんを説得できたんですか?」
真夜が本日のおやつであるドーナッツをハムハムと食べながら言った。本日の生徒会室には何故か雷瀬も遊びに来ていて一緒にお茶を楽しんでいる。
「うーん・・・・・・・、それは・・・・・・・、それがあったからこそ今の状況なんだよ。」
と風天が真夜の口に付いたクリームを拭きながら言った。ドーナッツについていたクリームが食べてる間に口の周りに付いてしまったようだ。
「えー?じゃあ、失敗?」
と土田が言った。
「いえ。結果、敷地から出ることは防ぎましたから、どちらとも言えませんね。」
と金島が答えた。
「え!?敷地まで出て行く気だったんですか!!?」
と「火室先輩には不可能ですよ!」と音になっていない副音声付で水原が言った。だがその副音声を、
「え~、火室先輩には無理だよぉ。高3にもなって一般常識が備わってないんだからぁ~。」
と土田が代弁した。
「おい!土田!!」
水原の副音声が植幸以外で唯一聞こえていなかった火室は土田のみに怒り出した。
「でも、何で火室先輩は家を出て行きたかったのー?」
そんなのはいつものことなので土田はスルーした。
「あぁ、それはな・・・・・・・、」
と口を開いたのは以外にも雷瀬だった。
「ほら、風紀委員長の両親、今でもバカップル状態だろ?」
今現在目の前にいるバカップルに目を向けながら雷瀬は言った。
「それは6歳児の目に入るのはあまり良いことじゃなかったんだよ。はっきりと言うと、不快。」
「でも、それを言ったところであの両親がイチャイチャするのを止めるはずがないから、自分があの両親を視界に入れなくて済むところに行こう、ってこと?」
「そういうことだ。」
土田は正解して「ヤッター!」と喜んだ。
「あ、雷瀬!何で俺の家庭の事情を知ってるんだ!!?」
「えぇ!!?そ、それは、ラブマジではネタですから!ただそれだけです!他意はありません!!」
「ちょ、ライライ!?何でばらしちゃうの!!?」
「え!?何かまずかったか?月影。」
「まずいよ!まずすぎ!!だって」
真夜が視線を感じて後ろを振り向くと、背後には
「・・・・・・おい、真夜。」
火室がいた。
「「ヒィッ!!」」
火室が本気で怒っている。思わず関係のない雷瀬までビビルほど怖かった。
「って、ことは、お前もとっくんのとーに知ってった、ってことだよな・・・・・・・・・!」
「えーと、そ、それはそのー・・・・・・・。・・・・・・・うん。」
真夜は逃げることを諦めた。
「で、でも、ほら!ふ、不可抗力、みたいな?だし!!お兄ちゃん、そんなの怒らないでよぉー!!」
その後、真夜と真夜の前に火室に怒らせていた土田が火室に怒鳴り散らされ、土田が水原の副音声についてばらし3人で怒鳴られたのだった。




