☆11-1.お友達は大切に・前編
本編一周年記念!
風天・火室・金島がどうやって仲良くなったのか、というお話です。つまり、過去編です。前後編でお送りさせていただきます。
第三者目線
※ナレーション部がいつもは人名が月影ファミリー以外は名字表記ですが、この前後編の過去の部分は下の名前表記でお送りさせていただきます。
1人の男の子が自分の両親に背を向けた。
「ちょっと!りっ君!!」
「うるさい!!こんな家出てってやるー!!」
この男の子の叫びが全ての始まりだった。
「さと君、ここなの?」
1人の男の子が目の前の豪邸に怯えながら言った。
「えぇ、そうですよ実君。私達はこのお屋敷のご子息である、火室睦君を説得しなければならないんですよ。」
と隣にいたもう1人の男の子が答えた。
「セットク・・・・・・・・・・?」
「はい。」
怯えていた男の子が意味を理解できずに首をかしげているのを見て、もう1人の男の子がクククと笑った。
「さと君、面白いの?」
「えぇ!あなたの反応は本当に良いものですよ。」
「ヤッター!」
いや、これは喜ぶところではない。だが、見てるこっちとしてはとても微笑ましい光景である。
「まぁ、あなたは難しいことは考えずに、睦君とお友達になってくださればいいですよ。後は、私がやりますから。」
「お友達ーー!!」
さっきまで怯えていたのが嘘のように、男の子は目をキラキラさせた。そんな男の子の手をもう一人の男の子が手に取り、2人は思わずビビッてしまうくらい豪華なお屋敷へと入っていったのだ。
男の子2人は豪邸の一室に入った。
「お邪魔します。」
「お邪魔しまーす!」
そんな2人を、
「「いらっしゃい。」」
1組の夫婦が向い入れた。
「重様、お久しぶりです。」
「久しぶりだねぇ、慧君。あ、紹介するよ。こちらは私の最愛の妻、れんちゃんだよ。」
「こんにちは。しげちゃんのお嫁さんの華蓮よ~。」
「お初にお目にかかります。私は金島慧と言います。そしてこちらが、・・・・・・・・・実君。」
「か、風天実でしゅ!」
実は恥ずかしがりながら言った。しかも噛んだことによりさらに恥ずかしそうにする。
「まぁ!2人とも綺麗な子ね!」
「うん。うちのりっ君に負けてないね。」
「でも、私達のりっ君が1番よ」
「「ねー。」」
ただの親バカである。子供相手に息子を自慢して如何する。
「じゃあ、2人とも、お願いね♪」
妻の方がそう言うと、
「うん!」
「はい。お任せください。」
実と慧はそう言った。
部屋に残された夫婦。
「りっ君、今度こそは大丈夫そうかしら?」
「きっと大丈夫だよ。慧君だけでは正直心配だったけど、慧君が連れてきた実君、あの子なら何とかなりそうだよ。」
「そうね。りっ君が好きそうな感じだもんね!」
安心した華蓮はお茶を飲みだした。
(慧君も考えたね。将来は良い策士なりそうだ。)
「ぜひ、うちのりっ君と仲良くなってもらいたいものだね。」
(りっ君にも良い刺激になるとだろう。将来が楽しみだ。)
まだ慧が子供である現時点では、1番の策士は重だった。
コンコン
ドアがノックされる音がした。
「おやじ!おふくろ!入ってくるな!!」
「睦様、ご友人方をお連れしました。」
1人の使用人が部屋の中にいる男の子に言った。
「友人!?俺に友達なんていない!!」
「おや、それは酷いですねぇ。」
その友人(?)の1人、慧が堂々と部屋の中に入っていた。
「お前・・・・・・!金島の!!?」
「はい。何度かお会いしてますよね。金島慧です。あなたのお父様にはいつも私の父がお世話になっています。」
「父親同士の付き合いに子供同士は関係ないだろ!!」
「そんなことは無いですよ?私とこの子は親同士の関係からきてますが仲良しですよ。ね、実君。」
入り口で固まっていた実に慧が話を振った。実はコクコクと首を縦に振った。
「それにまぁ、そう怒らないでください。これから仲良くすればいいじゃないですか。」
と慧は笑顔で言った。
「お前、絶対、何か裏があるだろ・・・・・・・・・・!」
「まぁ、それは置いといて」
「置いとけるか!!」
「・・・・・・・実君。おいで。」
入り口で固まっていた実を手招きしながら呼んだ。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・ぁ、う・・・・・・・・・。」
部屋の主である男の子に眼をとばされた実がオドオドしだす。
「実君、ほら、お友達になりたいときは?」
慧が実の肩を叩きながら言った。まるで親と子である。
「風天、実です・・・・・・・・。お友達に・・・・・・・・・・、なってください!!」
実はうつむき赤くなりながら、最後は顔を上げて言った。
「っう・・・・・・・・・!」
「う~~・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・(ニコニコ)。」
その沈黙約180秒(3分)。その沈黙を破ったのは・・・・・・・・・・・、
「・・・・・・・か、帰れーー!!」
このお屋敷のご子息だった。
次の日。
「今日も・・・・・・・・、なの?さと君。」
「はい。今日も頑張ってお友達になりましょうね、火室睦君と。」
「うん!!」
そう、2人の目的はあの豪邸のご子息である、火室睦と友達になることだ。火室睦は風天実・金島慧と同じあと2ヶ月で小学1年生になる6歳児である。デレが殆ど無いツンデレで、素直という言葉からかけ離れた性格である睦には友達がいない。知り合い程度なら慧のように金持ちな人が集まる飲み会、――――中世ヨーロッパの人々がやっていた夜会のようなものに参加している子供達が数人いる。その中でも金島はずば抜けて賢く、6歳児であるにも拘らず事情を説明しても理解ができ、かつ、火室家と金島家は仲の良い取引先であるため身元もはっきりしている。なので睦の父、火室重は金島の父を通して慧にあるお願いをしたのだ。
――――小学生になるのを期に家を出て行こうとしている息子を説得し、止めてほしい。
これがお願いだ。これによりさらに火室家と金島家の仲がさらに深まれば今後、金島家に大きなメリットとなると考えた慧はさっそく行動に移った。説得するためにはそういうこと言える仲にならなければならない。この年代で言うところの、友達、にならなくてはならない。正直、(あと2ヶ月で小学生なのでギリギリだが)幼稚園生らしかぬ発想だ。本人もそれを自覚している。そんな自分が対象者に目的を悟られずに友達になるのは難しい。対象者もまた自分の足元にも及ばないが6歳児らしくない頭をしているのだから。そこで慧は、慧の父親の直属部下の息子であり、対象者と自分と同い年であり、年相応の思考回路を持ち、お互いがこの世に生まれたときからの友人である風天実にこの作戦に参加してもらった。自分とは違って、裏表が全く無く、典型的な良い子にに育った実ならば、あの気難しい睦とも友達になれるのではないかと考えたのだ。で、自分は友達の友達は友達法則で強引に友達枠に収まって、対象者の説得をしようと。まぁ、年相応であるだけあって説得が何なのか分かっていないし、ただ友達になりに火室邸に通っていると実は思っている。案の定、実は「早く友達になって一緒に遊びたい!!」と友達になる気満々だ。なので、あとは睦次第だ。睦が心を開いてくれさえすれば、友達になるという第一段階はクリアーできる。
「睦君とお友達になったら、実君は何がしたいですか?」
慧が実に訊いた。
「えーと・・・・・・・・・・、ボール遊びでしょー、お絵かきでしょー、それから・・・・・・・・かくれんぼ!!」
「実君はかくれんぼが大好きですね。」
「うん!」
「幼稚園でもいつもやっていますよね。」
「だから睦君ともするのー。」
「では、早くお友達になりましょうね。」
「うん!さと君と僕と睦君でしよぅ!」
(この子はこんなにも良い子なのに・・・・・・・・・。)
火室邸に向うまでの車での会話だった。
後編は本日のお昼12時にup。




