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ハリガネパンデミック  作者: ナガカタサンゴウ
⚫︎十三番の解答
55/56

八月二十二日「天才少女とNo3」

「凛!」

 その名前を聞いて立ち上がる。体が軋もうと関係無い。

「修二さん、凛は!」

「さっきも言ったが植物状態に等しい、期待はするな」

 どんな状態であろうと凛は生きているのだ。

「ついてこい」


 凛がいるという部屋に案内された

「この奥にいる」

 修二さんが数回ノック。部屋から男の人の声で返事が聞こえた

「はいはーい」

「修二だ……拓人を連れてきた」

「入って大丈夫っすよー」

 修二さんについて入るとそこにいたのは四人。

 女性二人は俺が始めてNo.1パワーに襲われた時に助けて貰った二人だ。

 一人は重大な怪我なのかベッドに固定されている。

 もう一人、返事を返した男が水を飲んで近づいてきた。

「あんたが拓人くん?」

「はい」

 男の人は俺をジロジロと見て

「……ふうん、一部がハリガネムシになった姿とか想像してたけど違うのな」

「海藤さん!」

 重大な怪我をしていない方の女の人が海藤さんを止める。

「ごめんなさい、私は稲葉……紹介は後でいいわね」

 と、稲葉さんはこの部屋にいた最後の一人に目を向ける。


 石持 凛。彼女については説明するまでもない。

「凛!」

 思わず彼女を引き寄せて抱きしめる。聞いていた通り植物状態みたいな感じで、力なく空を見つめているだけだ。

 抱きしめた華奢な体は壊れてしまいそうで、なんとなく冷たいように感じる。

 しかし……彼女は生きている。

「凛、何処にいたんだよ」

「路上でハリガネムシに囲まれてたぜ」

 海藤さんがこれまでの経緯を話してくれた。

「ありがとうございます……」

「いいってことよ。で、凛ちゃんはどうするっすか」

 海藤さんの質問に修二さんが答える。

「そうだな……この状態だし、守れる所にいて貰わねばならんな」

 守れる所。その言葉を聞いて俺は声をあげる。

「俺が! ……俺が今度こそ、凛を守りたいです」

「守るったってなぁ、ハッキリ言ってラダーのサポート無しじゃあお前は鍛えられてない一般人だぞ」

「ラダーがいればいいんですよね」

 俺の発言に修二さんが目を丸くする。

「まさかお前……」

 俺は修二さんの目を見て言う

「はい。もう一度、ラダーを身体の中に入れます」

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