○六月十日 「水死体」
「うぇー」
「何で来たんだよお前」
「だってー」
私たちは被害者の解剖現場に来ていた、私はこの手の物が苦手だ。
「無理しないほうがいいですよ、先輩」
「うるさい、大丈夫よ」
私は起き上がり解剖現場を見て……
「うう……」
うずくまった。
「海籐、こいつを連れて行け」
「うぃーっす」
「大丈夫、だいじょう……」
「駄目じゃないっすか、行きますよ」
私は海籐に連れられて部屋を出た。
しばらくして志奏さんが出てきた、横になっている私を見て
「大丈夫か、三人目でアウトとはな」
「だってー、全部腰とかから変なのでてるんですもん」
「変なもの?」
「言わせないでください」
内臓とかである
「腰とかから? 全部か?」
「はい……一人目は腰、次は背中、最後は腹から少しだけ出てました」
「少しだけ?」
「はい……小さい穴でもあいているんじゃないですか」
私は枕に顔をうずめて
「なんで思い出させるんですかー」
「卯月……」
志奏さんが真剣な声を出した。
「小さなことでもそれが重要かもしれん、明日確かめるぞ」
「えー」
私は泣きそうになりながら見上げた
「……そんなにいやか」
「もう一切見たくありません」
「でも重要な事かもしれん」
「……わかりましたー、だから今は思い出させないでください」
私はまた顔をうずめた。




