八月二十二日「護衛班長」
『三時の方向に小規模群!』
トランシーバーから聞こえた先発隊長の声、私達護衛隊は凛ちゃんが入っている機械を囲むように並ぶ
「積極的に倒す必要は無いからね」
私は皆にそういう
「先輩、ハッキリいいましょうや」
右隣にいた海藤が周りを警戒しながらも明るい声で言う
それに続いて左隣の稲葉が口を開けた
「そうですね、隊長がそんなのでは士気も下がるかと」
まったく
「相手は小規模、先発隊が何とかしてくれる……先発隊を信頼して私達はこの子だけを守りましょう」
「りょーかーい」
「わかりました」
賛同の声があちこちから上がる。
「カッコ良かったですよー、先輩」
海藤……
「やっと隊長らしくなったかと」
稲葉……
「…………」
二人して生意気に……いや、これもハッキリしないとね。
二人とも成長したなぁ……追い越されそう。
『こちら先発隊長、小規模群討伐に成功、何匹か逃げたから警戒を怠らないように』
了解しました、そう言ってトランシーバーを腰になおす。さて、地域防衛自衛隊は何処にいる……
「おっ、おお!」
しばらく歩いているといきなり海藤が声を上げた。
「どうしましたか?」
「反応が出たぜ、ほれ」
海藤が持つ機械の画面を稲葉に向ける
「本当です、急いで連絡を」
「こりゃ珍しい」
海藤が持つスマートフォンくらいの大きさの機械、それは前に海藤が修理した通信機を博士が改造した物
人工的な電波をキャッチしてその発信場所を探す機械だ。
「護衛班長の卯月です、電波探知機が反応しました。場所は……」
海藤から電波探知機を受け取る
「えっ!?」
思わず声を上げてボタンを離してしまった。
各班から疑問の声が上がる。
咳払いをして動揺を抑えてトランシーバーのボタンを押す
「すいません。報告します反応は……」
電波探知機は示していた
西と東の二つの方角を




