八月十五日「天才少女との邂逅」
石持博士の説明から数日後、私達救護班いつものように探索に向かっていた。
「今日は大収穫っすね」
海藤が嬉しそうに笑う
「はい、食料倉庫がまだ残っていてそれも長持ちする非常食なんて」
幸運だね、と私が付け加える。
しばらく歩いていると前の方にいた警護班の一人が声を上げた
「九時の方向にハリガネムシの大群を発見! 中心に人影が見えます!」
その声が終わると同時に私と稲葉を含めた救護班と警護班の一部が右に走り出し、海藤を含めた残りの警護班が左に走り出す。
これは治安維持隊の二人を救護した時に出来、今では固定化されている陣形だ。
「稲葉! 突っ切るよ!」
「はい!」
他の救護班が道を切り開き、救護班の中では比較的足の速い私と稲葉が救護対象者の元に走り出す。
「三班は食料警護にあたれ!」
対象者は一人……ハリガネムシの数は多いけど問題無い!
「お願いします!」
私の合図と共に警護班が道を切り開く、しかしあと一歩足りない
「稲葉救出! こいつらは私がやる!」
「わかりました!」
私は走るのをやめてサバイバルナイフを取り出した。こんなザコ……簡単だ!
「救護対象に接触しまし……えっ!?」
トランシーバーから稲葉の驚いた声が聞こえた。
周りにいた最後のハリガネムシを切り裂いて腰からトランシーバーを引き抜く
「どうしたの稲葉、緊急事態?」
「いえ大丈夫です、少し驚いただけで」
救護対象を抱えて戻ってきた稲葉、私もその救護対象を見て驚いた。
「その子って!?」
「凛!」
基地に帰ると石持博士が凛ちゃん、今回の救護対象者を抱きしめた。
ポニーテールに白衣、確かにこの前救護した地域防衛自衛隊の少女だ。
彼女の名前は石持 凛、石持博士の娘さんだったのだ。
「凛……」
石持博士は娘、凛ちゃんを抱きしめながらため息をついた。
一方の凛ちゃんは反応を示さない。
意思は無く体は何とか活動を示している。
心臓を動かすので精一杯。
救護班の診断によれば植物状態に近いものらしい。
ただし原因は不明、普通では死んでいるような怪我も負っていた。
そんな状態でも、彼女の心臓は動いていた。




