表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハリガネパンデミック  作者: ナガカタサンゴウ
⚫︎原始の狂乱者
43/56

八月八日「原始の狂乱者」

「ここだな」

「ええ、跡から見ても間違いないわ」

 周りにうじゃうじゃといたハリガネムシを蹴散らしながら跡を追って行くと洞窟に辿り着いた。

「……行くか」

 洞窟の前にいるのは俺と凛を含めて八人、他にもついてきた者がいたが途中負傷した者とそれを救助する者として戻って行った。


 洞窟の中にハリガネムシは殆どいなかった。

「……ブレイカーだけなのか」

「そうかもしれないわね、緊急事態に逃げ込んだ所のようだし」


 そんな会話をしながら洞窟の奥、行き止まりに辿り着いた。

 学校の体育館くらいの広さであったその最後の天然の部屋、そこにブレイカーはいなかった。いや、違う

「恐らく地中にいるわ……気をつけて」

「……一気に入るか」

 全員が足並みを揃えてその天然部屋に入った

[キ・ケン!]

「皆、危ない!」

 ラダーの声に反応して凛を引き寄せながら一歩下がる。

 周りから悲鳴が上がり俺と凛以外は一人を残して全員ブレイカーの触手に貫かれた。

「ブレイカー……この!」

 残った一人の男が触手と共に地中からでたラダーの本体に向かって走り出した。

「待って! 連携を」

 凛が呼び止めるが男は聞かない。

「仲間の仇!」

 男が走りながら着ていた上着を脱ぎ捨てる。

「なっ!?」

 防弾チョッキがあるはずのそこには幾つもの爆弾がついていた。

「やめて!」

 凛が叫んでも男は止まらない

「果てろ……ブレイカー!」

 ブレイカーの本体に近づいた男は幾つもの触手に貫かれた、と同時に


 凄まじい音と爆風、そして弾き飛ばされたブレイカーの触手が飛び散った。


「…………」

 爆風から凛を庇いながらブレイカーの方を見る

 嘘だろ、そんな声が俺から漏れた


 ブレイカーは生きていた。

 触手は半分程途中で焼き切れ本体も所々焼け焦げている。


 しかしブレイカーは生きていた。

 ボロボロながらも自分に立ち向かう人間に抵抗する力を残して生きていた。

「今なら….…」

 今なら倒せる、ラダーの力があればボロボロのブレイカーの軌道なんて特攻をかければ容易いだろう。


 しかし、しかしだ

 俺は思わず抱きしめてしまっている凛を見る。

 俺は凛を護りたい。


 凛と共にブレイカーの本体まで走るか。駄目だ、脳のセーブを解いた俺のスピードに凛はついてこれないだろう。


「……あ」

 そうだ、一旦凛を避難させればいいのだ。

 そんな都合のいい発想は一瞬で消えた

「拓人さん!」

 ブレイカーがボロボロの触手を賢明に使って逃げようとしていたのだ。

「拓人さん、行って! 核……本体を突けば今なら倒せる!」

「いや……」

 凛が自分から抱きついてきた

「私は大丈夫だから……今倒さないとブレイカーは今より人類の脅威になる」

 だからお願い、と凛は俺の胸に顔をうずめる。

「…………」

 俺が迷っていると凛が顔を上げて言った。

「私は……大丈夫」










 Is the time of selection of secret……



  α.or.β?

ここがマルチエンドへのルート選択となります。

次回からはルートαをお届けします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ