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ハリガネパンデミック  作者: ナガカタサンゴウ
⚫︎原始の狂乱者
34/56

七月二十八日「濃縮爆弾」

 謎の巨大ハリガネムシ討伐を境に地域防衛自衛隊はハリガネムシの捜索範囲を大きく広げた。


 この前と同じような巨大ハリガネムシも数体確認され、ハリガネムシ達が日に日に進化して行く様を見せつけられた。



 俺の傷はすっかり治り、ハリガネムシ討伐にハリガネムシ引き寄せ役として少しだが参加している。



 凛も殆ど回復しており、豊富になったハリガネムシのサンプルなどを研究し、紀坂さんと共にハリガネムシに対抗出来る物を開発しているようだ。



 そんなこんなで巨大ハリガネムシの討伐から数週間たったある日、ハリガネムシ討伐部隊に付いて行く為に用意をしていた俺に凛が話しかけてきた。


「拓人さん、今回は私もいくわ」

「……はあ?」

「新しく開発した武器を試すのよ」

「なら紀坂さんに同行してもらう」

「二手に分かれるの、修二さんにも許可は取ってあるわ」


 俺は溜息をついた

「俺の後ろにいろ、絶対に前に出るな」

 凛は俺の言葉に笑顔で頷いた。







 今回の目的は食料の補給だ。

 前回探索に向かった部隊が壊れかけの食料倉庫を見つけた為、そこに食料を取りにいく。


「皆どいて!」

 道中遭遇したハリガネムシの群れをあらかた倒した時に凛が部隊に呼びかけた。

「どうした、凛」

「武器を試すわ」

 全員がどいたのを見て俺は左手を前に出してハリガネムシを呼んだ。

「いくわよ」

 凛はウエストポーチからゴルフボールくらいの玉を三つほど取り出した。

「何だそれ」

「濃縮爆薬」

 凛は物騒な言葉を口にしてハリガネムシの群れにそれを投げた。


 それは地面についた瞬間更に縮まり、爆発した。

 ハリガネムシがバラバラになって飛んでいく。

「圧縮された物の反発はでかい……ゴムのようにね」

 ゴムの理論が爆弾に使えるのかどうかはわからないが……まあそこは凛と紀坂さんの力なのだろう。


 まったく、科学はわけがわからない。


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