七月四日「トランシーバー」
「なるほど……それならば……」
博士は私が纏めた資料を読んでブツブツと呟いた後キラキラとした目で
「興味深い! これを証明する手立ては無いが矛盾が無く無理も無い。
落ちてきた隕石の内部から見つかったという未知のエネルギーが気になるね……二人は資料を纏めて置いてください、私は少し考察を!」
と勢いよく壊れかけのパソコンを弄り始めた。
「……卯月班長」
「何?」
「人って豹変するんですね」
「まあ……天才は変人が多いって言うからね」
そう行って資料を纏めようとすると扉が開いて気の抜けた声が聞こえた
「あー、もう意味ねぇし」
「海藤さん、まさかサボってきたわけじゃありませんよね」
頭をボリボリと掻きながら海藤は稲葉の椅子に座る
「違うよ稲葉ちゃん、ちゃんと直したさちゃんと直したけどこっちだけ直ってもなぁ」
「どういう事ですか?」
「向こう、他の基地の通信設備が直って無いみたいでさ……一応民間とかのsos信号があれば受信出来るように改造したけどな」
「それはお疲れさまです」
稲葉が水を入れて海藤に渡す
「サンキュ、こっちはどうっすか、何かわかりました?」
水を一気に飲んだ海藤にハリガネムシと隕石の関係を話した。
「…………わからん」
海藤は考えようともせずに言い放った。
「ちょっとは考えてください」
「俺は先輩とか稲葉ちゃんみたいに頭のデキが良くないんだよ」
「頭は作るものです」
「めんどくさい」
「私が分かるまでじっくりと説明しましょうか……」
「いやー、それもめんどくさ……
ちょっ、やめろ痛い痛い先輩助けて」
髪を引っ張られてる海藤を見て一言
「いい刺激になるんじゃない?」
「そりゃないっすよ……痛い痛い」
数分後、解放された海藤が話を誤魔化すようにポケットから一つの機械を取り出した。
「これ、トランシーバー……基地内での新しい連絡設備です」
「ん? どういうこと?」
「今までで言う指示放送ですよ、隊長や各班長に繋がるはずです。
各班長にはもう渡してあります」
「なるほど、ありがと」
私はトランシーバーをポケットにいれた、その時だった。
トランシーバーから笛のような音がなった。
「着信です、そこのボタンを押して下さい」
ボタンを押すと隊長の声が聞こえてきた。
「あー、あー、マイクテス……よし、全班長に通信中、隊員のメンタルケアも兼ねて簡易健康診断を行う事になった。
各班を前半と後半に分けて明後日より行う、以上」
海藤がトランシーバーを取って違うボタンを押した
「卯月班了解でーす」
海藤が置いたトランシーバーを稲葉が手にもってまじまじと見る
「こちらの声も届くんですか?」
「おう、赤のボタンを押せば受信、青のボタンを押せば送信、隊長の大型版だけは同時に可能だけどな」
どうだ! とばかりに稲葉に対して胸を張る海藤。
「なるほど、そうですか」
海藤簡単に受け流す稲葉
私は班の雰囲気が更に良くなっているのを感じた。




