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七月一日「石持博士」

 臨時卯月班が結成されて約二週間、出入り口を塞いでいた瓦礫は処理され、各班は市民の救助を始めた。


 救助された市民は一時避難という形で基地内の機能している部屋に振り分けられる。


 基地内の例の生物は一週間かけて一掃され、一応基地内は安全な場所とされた。

 部屋の関係から依然殆どの隊員は地下研究所に寝泊まりしている。


 そんなある日、救助された市民の中に特別な人物がいたとの噂が流れていた。

「大臣とかそんな感じですかね」

 海藤が欠伸しながら気だるそうに話す

「その可能性も充分考えられると思います」

 稲葉は今だ硬いままだがもうキャラとして受け入れられていてある意味打ち解けたようだ。

「じゃあ意味ねーなー、期待できねー」

「どういう事ですか?」

「いやさ、大臣とかいても今の状況には役に立たねぇってことよ、ましてやプライドの高いお偉いさんだったら面倒だし」

「それはそうですけど……」


 資料を探りながら研究所で二人の話を聞いていると隊長と臨時副隊長が入って来て辺りを見渡して集合をかけた。


「噂はもう広がっているだろうが、この度私達に協力してくださる研究者の方を連れて来た」

  隊長の後ろには眼鏡をかけた弱々しそうな男性が居た。

「石持 豊です……」

  海藤が明らかにがっかりした顔をして横に居た稲葉に話しかける

「女じゃないとか萎えるな」

「そのまま枯れればいいんです」

「ひでぇ……」


 海藤を軽くあしらった稲葉が私の方に寄ってきた

「研究者の方って今まで沢山いましたよね……何でこの方だけ」

「生物学者とかじゃないかな」

  隊員がざわつき始めたのをしばらく見て隊長が口を開く。

「この人はあの生物に詳しいお方だ……お願いします」

  副隊長が石持さんにマイクを渡した。

「では……皆さんの前に現れた生物の話を致します、まず最初にあの生物は寄生虫、ハリガネムシです」

  全体がざわつく、副隊長がざわつきを止める中石持さんの話は続いた。


 一通りの話が終わると海藤が手を挙げた

「結局その人は何の研究者なんですか」

  石持さんが置いていたマイクを持ってハッキリと口を開く

「私はその医療用遺伝子強化ハリガネムシ研究員の一人です」

「て事はこの状況を打破できるって事っすか!?」

 石持さんは首を横に振る

「私達が作り出したのは医療用であって彼処まで攻撃的な物ではありません。

  ハリガネムシは外に出た後なんらかの影響を受けて強い本能があらわれているものと思われます」


 隊長が手を叩いた

「とりあえず石持博士は研究員として迎え入れる……報告は以上、総員引き続き救出に当たる事。

  あと卯月班は俺の所に来い……では解散!」


 他の班が解散する中私達は前にいる隊長の元に向かった。

「来たか、お前ら卯月班の基本任務を民間の救出から石持博士の警護及び研究の支援に変更する」

「何故私達の班なのでしょう」

「お前らそれぞれが今回の任務に適している。

 卯月は統率と観察力、稲葉は知識と狙撃、海藤は身体と判断力」

  隊長は咳払いをして続ける

「研究の支援にはハリガネムシの細かい違いが重要となる、その点は卯月と稲葉が適任だ」

  海藤が不服そうな顔をする

「俺はオマケっすか」

「海藤、お前は実際にハリガネムシと対峙した時に重要となる」

「なるほど、了解っす」


「てなわけで卯月班は今より基本任務を変更とする」

  私達は一斉に敬礼する

「了解!!」

「よろしくお願いします」

  石持博士が頭を下げた、隊長が解剖室を指差して

「ハリガネムシの研究は基本的にそこで行われる、稲葉は博士と共に研究を」

「了解致しました」

 稲葉が頭を下げて博士と共に部屋に入る。


「海藤、お前は通信関係が得意だったな」

「はい」

「なら海藤は他の基地との通信機能補修に当たれ」

「了解っす」

 海藤は軽く頭を下げて通信室に歩いて行った。


「卯月、お前は過去に確認されたハリガネムシの映像や多発水死体事件の資料を纏めた後稲葉と合流」

「了解!」

  私は敬礼をして資料室に向かった。

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