七月四日「科学の逆襲」
「紀坂さん! 修二さん!」
二人は巨大ハリガネムシを前にしていた。
巨大ハリガネムシの周りには通常サイズのハリガネムシが数匹、そして倒れたまま動かない人が数人いた。
「……きたか、小さいのを頼む」
紀坂さんが俺を見て指示を出した。
「凛を頼みます」
待機していた救護班に呼びかける、不服そうな、そして心配そうな顔をした凛だったが大人しく救護班の人について行った。
「助かる」
呟いてからチェーンソーを構えて近くにいたハリガネムシを切り裂いた。
一通りのハリガネムシを退治してふと巨大ハリガネムシの方を見る。
巨大ハリガネムシは修二さん達によって食い止められていた。
後ろの方で何故か腕を触っていた紀坂さんが大声を出した。
「修二! 準備完了だ!」
「よし、総員退避!」
修二さん達が引き下がり巨大ハリガネムシの身が自由になる。
巨大ハリガネムシは自ら前出てきた紀坂さんをターゲットに選んだようだ。
一方狙われた紀坂さんは落ち着いてハリガネムシの前に堂々と立っている。
ハリガネムシが近づいてくると紀坂さんは腕まくりした。
「えっ!」
声を上げたのは凛だ、確かに無理も無い。
腕まくりして露わになった紀坂さんの左手は機械だった。
人工の腕……なのだろうがまた違う、人工だという事を一切隠さずに無駄な物を排除した感じだ。
「人間様の科学を思いしれ!」
紀坂さんがハリガネムシの方に左手を突き出した、ハリガネムシはそれに向かって突進してくる。
紀坂さんは一ミリたりとも動かない、左手を突き出してただハリガネムシだけを見ていた。
ハリガネムシは紀坂さんの左手に当たった瞬間に破裂した。
徐々に膨らむわけでもなく、あの巨体は破裂した。
呆然としている俺達と何やら考えている凛をよそに紀坂さんはかかったハリガネムシの破片を払いながら
「人間がいつまでもやられてると思うなよ」
憎しみのこもった声で呟いた。
「自体は収束した、救護班治療開始!」
修二さんの号令が俺達に勝利の実感をもたらした。
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