六月二十日「地域防衛自衛隊」
「……おめぇら、今までどうやって生きてきた」
凛は体力を消耗していたので俺が口を開く
「俺はあいつらの位置がある程度わかるんです、それで逃げていました」
「あの生物の位置がわかるのか?」
俺は凛から聞いたラダーの事を話した。
「……なるほど、まあここまで生きてこれたのが証明だろうな」
俺は思っていた一番の疑問をぶつける
「その……皆さんは」
「自衛隊だ、地域防衛自衛隊、ようするにあのハリガネムシに抵抗する集まりだ……そういう意味ではお前のその力も使わして貰う、まずは治療に専念しな、その力を頼るのはそれからだ」
俺達は元は病院だという男達の寝ぐらに着いた。
「おい、負傷者だ」
修二さんは迎えに来た二人の女性に俺達を預けて近くにいた男性に
「あいつらの正体はわかったか」
「全くもってわかりません、細長い生物でサンプルも数個体手にいれましたが……」
足を抑えながらも凛が身を乗り出した
「サンプルを手に入れたの!?」
男性がたじろぎながら
「そ、そうですけど…」
「見せて!」
修二さんが凛を睨んで
「何に興味を持ってんだ、あんなおぞましい物をよ」
「私はあのハリガネムシを作った研究者の娘よ! それなりに精通してるわ」
修二さんが顔をしかめて
「ハリガネムシ……あの生物はハリガネムシだってのか」
「そうよ、遺伝子強化ハリガネムシ……詳しく言うと」
修二さんが凛を止めた
「まずは治療と休息だ、また明日にでも聞かせてもらう……その上でサンプルを見せるか判断する」
「わかったわ」
凛はそう言って女性が持ってきたボロボロの車椅子におとなしく座った。