六月十六日「孤立」
私が目を覚ましたのは地下研究室、海藤の言うとおり救護室となっているようで血と消毒液の匂いが充満していた。
「あ、先輩起きました?」
「….…助かった、海藤あの生物はどうなった」
「動きを封じられた後研究室にぶち込まれましたよ」
私は溜息をついて呟く
「状況終了……かな」
海藤が真剣な顔で
「先輩が倒したのは一個体です、あの生物……ヤツらは解剖室から脱走時に分裂したらしいです、いや分裂というより急速に繁殖した感じらしいすけど」
「……上では今もヤツらと戦闘してるの?」
「はい、ヤツらは攻撃方法こそ”突く”ぐらいしかありませんが厄介なのはあの細い体です」
「それは体感した、銃弾がまったく当たらなかった」
「とりあえずお疲れ様です、ゆっくり休んでください」
そう言って海籐が立った瞬間強い揺れが起きた。
「閉じ込められた!」
男性隊員が入り口を指して叫んだ。
揺れによって瓦礫が崩れ落ち地下研究室の入り口を塞いだ。
ざわめき始めた研究室にひときわ大きな、隊長の声が響いた
「各隊長に通達、大型の生物が何処からか出てきやがった!
方針を防備体制から攻撃体制に変更、ただし身の危険を感じたら迷わず徹底しろ! それから……くそっ、壊れやがった」
出入り口が閉じられ通信機能が切断、地下研究室は完全に外部から孤立した。