六月十六日「No.03 ラダー」
しばらくハリガネムシの指示にしたがい走り続けた。いつの間にか少女も素直についてくるようになった。
あの生物がいない場所にきた所で少女が息を切らしながら口を開いた。
「あなた……何処からくるか……分かってるの……?」
俺は呼吸を整えて。
「ああ、分かるというより教えて貰ってる」
「教えて……広範囲レーダーで位置情報を教えて貰ってるの?」
「いや、たぶんハリガネムシに」
「ハリガネ……ムシですって!? あなた、寄生されてるの!? じゃあなんで自分の意思が」
ずらずらと言葉を並べながら少女は俺に詰めよってくる。
「えっと、わからんが体に別条は無い、ハリガネムシの声が聞こえるだけだ」
「なんでハリガネムシと分かったの」
「声が教えてくれた」
「ハリガネムシが?」
俺は首を縦にふる。
少女は真剣な眼差しで更に詰めよりながら
「個体識別番号かネームは、特徴とどの型かも出来れば教えて!」
「へ? 個体識別番号? ネーム?」
「そのハリガネムシに聞いてみて!」
「なんだよ、反応するかな」
例の声が聞こえる。
{03・ラダー}
「……03ラダーだと」
「ラダー……なるほどね」
「何がだよ」
「安心して、その子に人間に対する敵対心は無いわ」
「そうか……で、何でそんな事わかるんだよ」
少女は前にきていたポニーテールを後ろに払う
「私はあのハリガネムシ達を作った研究者の娘だから」




