教えて! シアさん先生!! その5
「皆さん御機嫌よう。そろそろ姫様に天からのお迎えが来てしまうのではないかと悩んでいます、メイドのバレンシアでございます」
「え? 私死んじゃうの? あ、補佐人のシラユキです。シアさん、どういう事?」
「姫様は私が思うに、本当は天使なのではないかと……。女神様に内緒で下界に遊びに来ているのですよね?」
「その発想は無かった!!」
「その発想しかありません! ま、まさか女神様ご本人なのでは!?」
「その発想も無かったよ!!!」
「早くも第五回となりました、『教えて! シアさん先生!!』のお時間です。もう五回ですか、本当に早いものですね」
「うん。投稿のたびに新しい質問が来ちゃってるからね。嬉しいよねー」
「はい、本当に。では、はりきって参りましょう! さ、姫様」
「はいはーい! 『世界一愛らしいシラユキ様の御召し物は普段誰が選んでるんですか?』だって。これはシアさんだね」
「世界一愛らしいとしっかりと付けている辺り、この方は分かっていらっしゃる様で。はい、毎朝私が選ばせて頂いております。極々偶にですが、エネフェア様やユーフェネリア様、他の王族の方々にお選びして頂く事もありますね。メアリーとフランが選ぶ事はありません、むしろさせません」
「させませんなんだ……。今回は複数来てるから次々いくよー! 『どの様な衣装を着てらっしゃるんですか?』だね」
「これは日によって変わるのですが、残念ながら姫様のお言葉により、選択に幅を持たせる事ができないんですよね……」
「ごめんねシアさん。私の言葉っていうのは、『動きやすい』『着替えやすい』『露出が少ない』だね。後はスカートにするって言うのがあるけど、元々スカート以外は選択肢に入ってないよね」
「ええ。なので、普段室内ではほぼワンピースをお召しになって頂いています。勿論毎日細かな工夫は致しておりますよ? 姫様は金属製のアクセサリをあまり好まれていませんので、スカーフや飾りベルト、布製のアームレット等など。全て私が自作して幅を持たせています。やりがいのあるお仕事ですよ」
「自作とか……、またシアさんの株が上がってしまった気がするよ。これは家の中での場合だね、室内着。外に出るときはまた違うよ。こっちもその日その日で変わるんだけど、ミニスカートにオーバーニーソックスは決定事項みたいだね」
「姫様は跳躍魔法を使われるようになりましたからね、丈の短いスカートになるのも当然というもの。決してパンチラを期待している訳ではありませんよ」
「それを言わなければ思いつきもしなかったのに!! まあ、いいけどね、別にシアさんになら見られても」
「私はむしろ、他の方が見えないように影ながら頑張っているんですよ?」
「そうなの? オーバーニーは露出を少なくするためだね」
「はい、足の保護も兼ねていますね。姫様の生足を観衆に晒す訳には参りませんから!」
「そっちの保護!? 実際は怪我の防止だね。布一枚でも有ると無いとじゃ全然違うからね。私が恥ずかしいからって言うのが一番大きいかもね」
「絶対領域は私が見たいので有りで」
「そっちを隠そうよ!!」
「……あれ?」
「どうされました?」
「ちょっと話しすぎちゃったかな? 質問読むよ。『メイドさんチョイスですか? お姉様やお母様が選ぶ時とかあるんですか?』『メイドさんチョイスだとしたら、やっぱり選ぶメイドさんによって衣装の雰囲気とか変わるんですか?』『是非下着デザインも込みで、特にスカート丈や腕と足の露出部分について詳しく教えてください!』の三個なんだけど、大体答えちゃったね」
「まずメイドさんチョイスですが、私はメイドなのでメイドさんチョイスと言えばそうですね。選ぶメイドによって、というのは今のところありません、姫様のお召し物を選ぶ権利を持つメイドは私のみですからね」
「それなら、シアさんはどう考えて選んでるのか話してみたらいいんじゃないかな?」
「どう考えて……、ですか、難しいですね。まずはメインとなる上下を選びますよね? ワンピースの場合は一枚なのですが。これはその日の姫様のお顔を見て決めています」
「え? 顔? 顔を見て決めれるものなの?」
「すみません、説明し難いですね……。例えば朝、少し気落ちしていらっしゃる様でしたら、華やかな、とは言いすぎでしょうか、明るい色合いを選びます。逆に上機嫌、テンションが高すぎる場合は大人しめ、控え目の色合いで落ち着いて頂こうとしているんです」
「そ、そんな事まで考えてるんだ……。適当でいいんだよ? 適当で」
「適当に、という言葉には、適切な、という意味も含まれています。ですから、これからもこれは変わる事は無いでしょう。上下が決まれば、まずは一度着て頂きます。この時もまた、姫様の反応を見てこのままで行くか、変更するかどうか決めますね。後は少し離れて全体像を確認、寂しいと思われる箇所へ装飾を追加していきます。余り派手過ぎず、しかし簡素にならぬよう心掛けております」
「まだ何か語りそうだからこの辺で一旦区切ろうか、長いよ……。後は下着のデザインとスカート丈、腕と足の露出かー」
「ユーフェネリア様がお選びになる場合はフリフリヒラヒラになる事が多いですね、所謂ロリータファッションでしょうか。大変可愛らしいのですが、動き辛そうです」
「止まらなかった……。でも、これも質問にあったからいいかな。ユー姉様は自分にはあんまり似合わないからって、私の服はそれしか勧めて来ないんだよ。絶対似合うくせに何言ってるんだか……」
「夏場は大変そうですよね。熱中症になられてしまうのではないかと、見ていてハラハラ物でした」
「冷やす魔法も覚えたし、今ならもう大丈夫だけどね。まあ、実は結構好きなんだけどさ、スカート広げるためにパニエとか穿かないといけないから面倒なんだよね……」
「ワイヤーを入れると座れなくなりますしね。その辺りは便利さを取るか、不便なまま美を取るか、ですね」
「うんうん、どっちも程々が一番だね。次は母様? 母様の選ぶ服は……、服なのかなあれ」
「どちらかというと着ぐるみに近いのでは? さすがエネフェア様の一言に限りますね。あそこまで姫様の可愛らしさを最大限に引き出すことができるとは……」
「う、うん……。母様が選んでくれるのは嬉しいんだけどね、着ぐるみはちょっと……。でもネコミミフードは可愛かった!!」
「ええ、本当に……。人死にが出なかったのが不思議でなりません」
「不思議でも何でもないよ!?」
「では最後、下着のデザインと手足の露出について。スカート丈の説明は特に必要ありませんね。ワンピースでは膝下、ミニスカートでは膝上少し短めですね」
「ちょっと短すぎるんじゃないかなーって思うんだけど、シアさんの選んでくれたものだし、文句は言わないよ」
「不満はできたら言ってくださいね。手足の露出は、足に関してはハイかオーバーニーかに変わるだけなので基本は殆どありませんよ。腕の方も同じです、アームウォーマーを着けて頂いていますね。付け外しのできる袖の事で、どこぞの脇巫女を想像してもらえれば分かりやすいかと思われます」
「下着のデザインってどう答えたらいいんだろ? 前にリボンがついてる、とか?」
「姫様はまだブラの必要が全くありませんからショーツのみですね。ああ、姫様はパンティ派ですか? それともショーツ派ですか?」
「うん? どっちかと言うと、パンティ、パンツかな? どうしたの急に?」
「いえいえ、何でもありません。まあ、下着のデザインは答えにくいですよね。あ、Tバックはどうでしょう?」
「どうでしょうって……、下着のラインを出さないようにするためなら普通に有りなんじゃないの?」
「……つまらないです」
「拗ねないでよ! どういう反応を期待してたんだか……」
「ふう……、基本ローライズですよ、紐パンですからね。はい終わりましょう」
「なんて投げやりな!! シアさんもそう?」
「そうですよー。あ、姫様、Oバックはいかがです?」
「Oバックは無いわ!!! シアさんは私に何をさせたいの!?」
「やっと姫様らしい反応を頂けました、満足です」
「わけがわからないよ……」
「あ、まだあった『個人的には脚部絶対領域が発生していると嬉しいで(殴』。殴られてる!?」
「おや? その方とは趣味が合いそうですね。絶対領域部分を舐めてみたいと思いませんか? 私は姫様に限りますが」
「変態!? シアさんが変態に!!」
「変態はちょっとショックです。すみませんでした……」
「ショック受けちゃったよ……。ごめんねシアさん」
「お詫びに舐めさせてあげるから許してね、ですか? ありがとうございます!!」
「言ってないよ!!!」
「冗談です」
「このテンションの上がり下がりについて行けない……!!」
「今回も少し長めになってしまいました。反省反省です」
「シアさんが話を脱線させ過ぎなんだよ……。もっと反省してね」
「では次回の教シアは200文字に抑えましょう」
「極端すぎるよ! まったくもう……」
「ふふふ、申し訳ありません。このコーナーは姫様と二人きりなので、つい嬉しくて」
「な……、恥ずかしいなあ……」
「それでは、今回はこれにて終了とさせて頂きますね。また次回まで、御機嫌よう」
「前回と違ってネタが少なかったかな? まあいいや、ごきげんようー!」