異世界転生の現実 その139.5
本編140話で書かれていた夢の話です。
パパッと書き上げるために会話分のみにしてみました。
いろいろ注意……かも?
「起きなさい。起きなさい……、私の可愛いシラユキや……」
「何その勇者の母親的な起こし方!? ……あれ?」
「ふふふ。相変わらずのツッコミの冴え、嬉しいわ」
「そこは会えて嬉しいとか言うところだと思うんだけど……。ええと、お久しぶり、かな?」
「あなたにとってはそうかもね。でも、私は最低でも一日に一回はシラユキの様子を覗いてるから、そうでもないわね」
「あ、やっぱり覗いてるんだ? 嬉しいような、ちょっと複雑な気分……。うーん? これは、夢?」
「ええ、そうよ。今日はちょっとシラユキにお願いがあってね。シラユキが寝てる間だけ、ちょっと意識をこちらに引っ張ってきちゃったの。体が目覚めれば自然と元に戻るからそこは安心していいわよ? 意識不明で大騒ぎ、とかにはなったりしないからね」
「うん、分かった。それにしても……、何このくつろぎ空間は! 炬燵にみかん、座椅子に座布団に、冷蔵庫とテレビまであるよ……。50型くらい? それ。大きいね……」
「やっぱりこれくらいないとねー。面白いわね、シラユキが元いた世界って、特に炬燵は素晴らしい発明だと思うわ。でもこれは、人を駄目にする諸刃の刃。注意して使わないと、ね」
「人じゃないからいいんじゃないのかな? ああ……、前来た時はもっと西洋風と言うか、外国のお城の一室って感じだったのに……。二十年の月日は残酷だった……」
「あれ? 気に入らない? 私としてはこじんまりとして纏まった空間は落ち着けていいと思うのだけれどね。シラユキの部屋だって似たような物じゃない? 広すぎて落ち着かないーって狭い部屋にしてもらってたでしょ? 確か」
「そう、だっけ? いつの頃だろ……? それでも充分広いんだよねー。ふふ、確かにこれは落ち着いていいかもね。あ、これってやっぱり、目が覚めたら忘れちゃうの?」
「うん? あ、そうね……。あー、ちょっとメンドクサイわね……。私個人としては覚えてて欲しいけど……、シラユキは忘れたい?」
「ある意味忘れたいよ……。でも、忘れちゃうのは寂しいかな。そっちの都合が悪くなければそのままでいいよ?」
「それじゃそのままね、うん。あ、炬燵に入りましょうか。っと、さ、シラユキはここに来なさい。ほらほら早く、熱気が逃げちゃうでしょ?」
「ああ、足の間に……、足を広げて座らないで!! イメージが! イメージが崩れちゃう!! その姿で炬燵は似合わない!!」
「はいはい。どうせここには私とシラユキしかいないんだからいいのよ。ふふ、本当に可愛い子……。返したくなくなっちゃう……」
「え? ちょっ! ひ、人攫いー!!」
「きゃっ! もう、暴れないの! ……あんっ。こーら、ドサクサに紛れて胸を揉まない。冗談……、では無いんだけど、そんな事しないから大丈夫よ……」
「むう……、母様クラス……」
「んっ、感じちゃうからそれくらいにして? シラユキって本当におっぱいが好きなのね……、ふふふ。吸う? 丁度乳首もた」
「吸わないよっ! どこへ行っても赤ん坊扱いだよね私って……」
「丁度今、体の方もフラニーハナルスヒアメアロの吸ってるわよ? 可愛いわあ……。……見てみる?」
「見ないよ!! よくフランさんの本名覚えてるね。……ホントに吸ってるんだ私って……。信じてなかった訳じゃないけど……、真実を突きつけられたくは無かった……!!」
「あ、お菓子はちょっと今切れちゃってるんだったわ、ごめんね? 今度また盗って来なきゃね……。あの子の作るのって美味しいのよねー」
「精神体? なのに食べれるの? お腹も空いてないし、いいよ。落ち着いたし、そろそろお願いを聞こっか? 私にできる事なのかな……」
「シラユキにしかできない、と言うよりも……、さすがにこれはシラユキしか知らないからね」
「私しか知らない? なんだろう?」
「ええとね……、あら? どこにやったかしら……。あ、あった、あったわ。ほら、これなんだけど……」
「うん? うん!? な……、え?」
「船を貰って、その後転職できる神殿までは進めたのよ。その神殿の北で本を拾って、でも一個しかないから転職に使うのは勿体無くて袋に入れてるんだけどね? その後なのよ。小さな島国の洞窟に入ったら、首が五本しかないのに八股の大蛇とか言う、どこからどう見ても蛇に見えないモンスターが待ってて、全滅しちゃってね。泣く泣く他に行ける所を探したら、今度は田舎者は入れてくれないって言う意地悪な門番がいたり……」
「まさかのⅢ!? あー、これって確かⅠからⅢまでがセットになってるやつだね。え? ⅠとⅡはクリアしたの?」
「うん、Ⅰはね。Ⅱは……、長い洞窟を抜けた先で青い炎みたいなモンスターに……。そこで心が折れたわ……」
「うん……、うん……!! 嫌な……事件だったね……。分かる、分かるよ!! えーっと、船をとった後はね……」
「そんな感じかな。まずはカギを取らないとねー。あの日本っぽい所のボスはまだちょっと強いかもね、後回しにしてまずは行ける所を全部回ってみるといいよ」
「なるほど、まずは最後の鍵、ね。姿を消すアイテムで門番を素通りするのね。ふむふむ……、メモしておこうかしら」
「ふふふ。でも、こういうのって自分でクリアするからこそ面白いんだと私は思うなー」
「うう、やっぱりそう? でも、あの青いモンスターのせいで私の心はもう……」
「あはは。まだⅨまでもあるんだから先は長いよ? でも、難しいのはⅡくらいかな? 太陽の紋章を探すよりは簡単だと」
「Ⅸ? そろそろⅩが出るんじゃなかったかしら……」
「で、出たらまた呼んでください……!! お願いします!!!」
「ふふふ、はいはい。シラユキはこのシリーズ大好きなのね……」
「あ、そうそう。家の中で読書ばかりしてちゃだめよ? たまには外で遊びなさい。お勉強もしなくちゃね」
「うわあ、お母さんみたいだ……。読書も一応お勉強じゃないかな? うん、なるべく外で遊ぶようにもするね」
「ふふふ、いい子いい子。私もあなたのお母さんのつもりなのよ? 背を伸ばしてとか、胸を大きくしてー、とか、そういうお願いは聞いてあげられないけど、白雪草に向かって会いたい、って一言だけでも言ってくれたら即会いに行っちゃうくらいあなたのこと、とても大切に思ってるわ」
「あ、ありがとう、ふふふ。でも、それは色々と問題がありそうだからやめておくね……、って言うか、もう二度と会えないんじゃなかったの?」
「最初はそのつもりだったんだけどね、会いたくなったら会いに行けば、会いに行けないなら呼んじゃえばいいか、って結論が出たの。あの時は寂しさに耐えられなくて泣いたわ……。ごめんね、長雨降らせちゃって」
「あの雨涙だったの!? す、スケールが大きいお話なのに全然凄く感じないのは何でだろう……。あの雨のおかげで助かった地域もあったみたいだし、悪い事じゃないと思うよ。むしろよかったんじゃないかな? さすがだねー。やっぱり凄いね、うん」
「シラユキもね、会いたくなったらいつでも呼びなさい。まあ、覚えてたらなんだけどね? これは夢だし、部分部分しか覚えて無いと思うから。覚えてて欲しいわ……」
「やっぱりある程度は忘れちゃうんだね……、ちょっと寂しいな……」
「あらあら甘えちゃって、可愛いんだから……、ぁんっ……、む、胸に頬擦りしないで……。私、胸弱いのよね。ねえ、やっぱり吸う?」
「す、吸わないからね! もう! ……でもちょっとくらい、って思っちゃった。なんでだろ、素直に甘えちゃえるなー」
「ん、っと、はいどうぞ」
「うわ! 出しちゃ駄目!! ってやっぱりノーブラ!?」
「ふう……、最高のひと時だったわ……。軽くイキそうに」
「恥ずかしいこと言わないで!! ううう、嬉しくも恥ずかしいひと時だったわ……。この記憶は消してね? お願い。まだ、その、エッチな声が耳に残って……」
「ふふふ、ちゃんと消してあげるから安心なさい。…………やっぱり返したくなくなっちゃったわ」
「ええ!? また呼んでくれれば遊びに来……、あ、もしかして」
「そう、もう時間よ。最後に何か、あるかしら?」
「う、うん、ええーっと……、お礼はこの前言ったよね……。ううーん? えっと、大好き」
「はうっ!! もう返さない!! ずっとここで一緒に暮らしましょ!?」
「うわぅ! だーめ!! 私が死んじゃったらそうしよう? あ、殺さないでね?」
「え? いいの? 約束よ? あ、そろそろ消えちゃうわね。それじゃ、シラユキ。ふふふ、また、ね?」
「うん!! また、だね? ふふふ」
「お別れのキスでもしましょうか?」
「うん、いいよ? って、唇? ううう、恥ずかしいな……。んー、んっ? んんん!? んーーー!!? にゅ、ニュルッて来た!! し、舌!?」
「ごちそうさま。うふふふ」
シラユキがどこを忘れ、どれだけ覚えているかは、謎のままに。