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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: ルナリン
第五章 アルブル王国周辺の平定

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救出作戦

 村に結界を張り襲撃を(まぬが)れていたネメシア達はその兵力差から、身動きが出来ないでいた。食料も底を突きつきかけて、いよいよ覚悟を決めなければというところで状況が変わる。

 その日は朝から晴れて少し汗ばむ陽気で熱気が立っていた。突然、空気が震えるような激しい音が響き渡る。


 ドッカ〜ン!! ドドドド、ドッカンドッカン!!!!


 包囲する西デロピ国・デロピ大国軍に北側から遠距離攻撃が……しばらく経つと今度は西側から歩兵隊の攻撃と魔法部隊の魔法が……東側からは辺り一面氷漬けになり西デロピ国・デロピ大国軍は大混乱になる!!!!


 北側からはエリア隊、西側からはサウス辺境伯軍と不知火七番隊と八番隊、東側からはユキミが駆けつけた。

 それを見ていたネメシア達は、


「援軍ですの。皆が助けにきてくれましたですの。今が好機」


「おう、そうだな。お前達、準備はいいか!?」


「「「へい!! アニキ!!」」」


 うわ〜と、ネメシアが嫌な顔をするが本人達は気にしていなかった。




「ネメシアちゃん、あとついでにギリを助けますよ。皆さん、一斉射撃!!」


 エリアも弓矢を構えて魔力を高めていく。

 魔闘技(まとうぎ)神風乱舞(じんぷうらんぶ)】、エリアは以前使った【陣風乱舞(じんぷうらんぶ)】の完全版。起こる竜巻の中に多数の矢だけでなく魔法まで詰まって敵を薙ぎ払う!!




「隊長を助けますよ。脳筋部隊に負けてはいけませんよ!!」


「おう、お前ら。隊長を迎えに行くぞ!! へなちょこ魔導士に負けたら合わせる顔がねーぞ!!」


 七番隊と八番隊、ライバル関係な二つの隊は争うように敵兵を薙ぎ払いながら包囲されてた村を目指していく。



「どきなさい!! 私の前に立つと死にますよ」


 銀髪をなびかせて美少女が一人戦場を行く。

 ユキミ専用双剣『霧氷六花(むひょうりっか)』を手にして氷漬けにされる敵兵が続出する!!



 周りで争う音を聞いたネメシア・ギリと()()()()軍団が混乱する戦場にさらなる混乱を招く。ネメシアは結界を張り続けたので魔力が減っていたが構わず魔法を放ち、ギリはまだケガが治りきっていないとは思わせない活躍をしている。オモシロ軍団も負けずについていく。


 外側からの……しかも三方向からの奇襲と内側からの挟み撃ちでみるみる数を減らしていく西デロピ国・デロピ大国軍。

 一時の優勢から一変、壊滅の危機になっていた。


「もはやここまで……ですね。本当に忌々(いまいま)しい。フローラ姫を手に入れられてたら、この辺りは既に私の物だったのに……」


 そう言い残すと西デロピ国の宰相デューモルは姿を消した……そこには一枚の羊皮紙だけが残っていた!!




 宰相デューモルが消えた西デロピ国は士気は乱れ、降伏する者が増えてくる。

 デロピ大国も逃走を始める者が増えて戦える状態ではなかった。

 それでも抵抗する者がいる!!




 犯罪者が刑期(けいき)の減刑や取り引きをして戦場に来る者がいる。戦闘力はあるが問題行動や危険思想の持ち主で制御出来ない事が多い。


「負けた、負けた!! だから早くオレ様を解放しろって言ったんだよ。グズがぁぁぁ!!!!」


 手錠を外され剣を持たされた瞬間に拘束していた兵士を瞬く間に斬り伏せる。そして、敵味方関係なく襲いかかる!!


「フフフ、アハハ!! やっぱ殺しは最高だぁ。血が沸騰(ふっとう)しそうだ。肉を切り裂く感触で頭の先から爪先まで思わず鳥肌が立っちまう。久々なんで思わずイッちまった!! 本当は女を切り裂くのが最高なんだがなぁ。良い声で『助けて下さい』ってなぁ!!!! 助けた事はないんだけどなぁ〜、ギャハハハ!!」


 この男は『徘徊者(ワンダラー)』と呼ばれた犯罪者で夜中に街を彷徨(さまよ)う斬り裂き魔!!!!

 出会う者全てを斬り伏せた。女性であろうと子供であろうと兵士であっても例外はなかった。

 騎士団が出動して犠牲者を出しながらもようやく拘束できたS級犯罪者。


 その彼はニチャっと、黄色くなった歯をむき出しにして不気味に笑う。

 笑いながらユラユラと不規則な動きをして伸びまくった髪の毛を振り乱し、ヨダレを垂れ流して動く者全てを攻撃していく。


「ギャハハハ、血がピュ〜って!! 倒れていくあの顔がたまんねぇ……おっ、こんな戦場(遊び場)に良い女がいるじゃねーか。しかもなんかナマイキそうでオレ様のタイプだな。ちっとツマミ食いしちまうかぁ」


 目線の先には桃色の髪をツインテールにしたネメシアの姿を捉えていた。


「なんですの!? あの不気味な男は!!」


 全身を血まみれになりながらも目だけはランランとギラつき魔力を垂れ流しながらどんどんと近づいて来る。

 その異様な姿に誰しも動けずついにはネメシアの近くにまで接近を許してしまう。


「うひひひっ、やっぱり良い女じゃねーか。ジックリとカワイがってから殺してやるから。その柔らかそうな肌に刃が刺さるときがたまんねーから。オレ様はもうずうーとガマンしてたんだからよ。頼むからガッカリさせるなやぁ〜」


 とっさの事でネメシアは反応出来ずにいた。自分に振り下ろされた刃がゆっくりとせまって来るのが分かった。目を閉じて思わず、


兄様(あにさま)、助けてぇ!!」と叫んでいた……


「人の女に欲情(よくじょう)してんじゃねーよ、変態ヤロー」


 振り下ろされた刃を受け止めてくれたあの背中は忘れるはずもない。小さな頃から追いかけて来た大好きな背中だった!!

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