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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: 月鈴
第一章 全てを奪われたのか?

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タイタニア王国の周辺状況

 タイタニア王国の命運をかけた交渉を王国側は僅か五日間で行わねば、ユリウスが領地に帰ってしまう。


 そうしたら、辺境伯家と争わねばならない……

 またユリウスが言ったように、


 王国の北側のノースタン神聖国

 王国の東側のイスマリ王国とハマト王国の軍事同盟

 王国の西側のウエスタニア帝国

 そして南側は今回のサウス辺境伯家


 現在の王国はまさに、四面楚歌(しめんそか)しかも孤立無援(こりつむえん)状態。


 ユリウスが宣言したように、巨大2組織に見放された王国は間違いなく波状攻撃(はじょうこうげき)(さら)されるだろう。


 一つでも手順が間違えれば取り返しがつかない、致命傷(ちめいしょう)になってしまう。

 何がなんでもサウス領との和解を成立させないと……


「さて、今回の騒動で王国はどのような落とし所をご用意してますか?」


 いきなり直球で質問してきた……


「正直、どうしたらいいかわからない」


 ジメッツ王は項垂れながら答える。


「あー、泣くのは無しでお願いしますよ。()()()()()()に需要はありません!! いつの時代も、どの世界でもね……」アハハと笑う。


「今、賠償金や慰謝料を払うとこれから起こる戦争に確実に負ける。どうか助けてくれ」


ジメッツ王が頭を下げる。場にいる全員が驚くがユリウスは止まらない。


「あなたの謝罪に銅貨一枚の価値もないですよ。謝って欲しくてこんな事をしてるんじゃ無いですよ」


 フゥとため息をつくと……


 以前の婚約者で、勇者パーティーの一員《弓術士》エリザベス第二王女が急に立ち上がり、


「ユリウス、今までごめんなさい。(わたくし)が間違ってました。(わたくし)はこれから貴方好みの妻になります。どうか王国を(わたくし)達勇者パーティーと一緒に助けましょう?」


 ん~!? どうするよ、これ? ツッコミ所が満載(まんさい)で何から言ったらいいか分からないぞ。

 俺が固まって返答出来ずにいたら何を勘違いしたのか、(さら)(たた)みかけてくる……


「愛しのユリウス。(わたくし)も辛かったのよ。貴方と過ごした日々が忘れられなくて貴方の笑顔に癒やされていたんだって、ようやく気づいたのよ。ようやく辛い現実から(わたくし)を連れ出してくれたのは、優しい貴方だったのよ。どんな魔法よりも温かく優しい光だった……貴方を手放してしまうなんて。でも貴方も悪いのよ。(わたくし)を寂しい思いをさせたんだから……でも今回助けてくれるなら許してあげます」


 息継ぎ無しで言い切ったな王女様は。すげー。


 胸の前で両手で祈るように握り、上目遣(うわめづか)いで見てくる。

 あー、確かに顔も可愛いしその仕草にグッと来る人は、日本人でも多かったけどな……(俺の統計で)

 散々に裏切られた相手にされると逆に腹立つな。


 しかも最初は謝ってる風に装いながら、最後は結局はお前の所為(せい)だって言いたいんだな……


 流石は勇者パーティーが誇る《弓術士》狙い撃ちだな。


 とても反省してる言葉じゃないな。



「うんうん、それはいいな。ユリウスとエリザベスが夫婦(めおと)になれば、王国も安泰だな。ワシの後のタイタニ王国を任せられるな。わははっ……」王太子殿下は?


 もう、帰ろうかな……アホらしくなってきた。

 父娘(おやこ)して誤魔化そうとしてるな、しかも周りは


「素晴らしい」「王国の未来は明るいですな」「ユリウス卿には是非ウチの娘を」「これで巨大二組織にも無理が言えますな」「まずはハマト王国辺りから」


「お願いよ、ユリウス。」


 さらに涙目になりながら、でも泣くのを我慢してますって顔で……ダメ押しにきているエリザベス王女に、


「……まったく、しょうがねーなエリザベス王女様は…………」


 ユリウスはゆっくりと立ち上がりエリザベス第2王女の方に歩いて向かう……

 一歩一歩確実にしっかりとした足取りで、エリザベスの目から視線を逸らさずに歩く……


 今この会場には少なからず女性がいる。

 貴族当主の代行で来ている奥方や会場の世話をしているメイド達などだ。

 美男美女がお互いを見つめながら、距離が縮まっていく。

 会場中の女性達は今後、歴史に語られるだろう場に息を飲み、後日には演劇の演目になる場面になるであろうシーンに……遭遇出来たのだ。この幸運に感謝していた。


 女性の誰もが顔を上気させ二人の動向を記憶に保存させるべく、その挙動を呼吸を全てを見逃すまいと神経を(とが)らせる。


 ユリウスはしっかりと目を見て、ゆっくりとエリザベスに近づいていく……

 エリザベスも潤んだ蒼目がシャンデリアから降り注ぐ柔らかな光で反射して、更にキラキラと輝き……

 金髪のドリル巻が僅かに揺れている。


 残り三メートル……


 エリザベスの周りの貴族がエリザベスへ向かう道を空ける。


 残り二メートル……


 ジメッツ王がエリザベスの肩を抱き、そっと背中を押す。

 メイド達から「キャーキャー」と声がする。


 残り一メートル……


 期待したエリザベスが身長差がある俺を潤んだ瞳で見上げ、「準備万端(じゅんびばんたん)です」って顔で待っている。



 残り………ゼロになるわけないじゃん!!



 エリザベス王女様を目の前にして、


「えっ、普通に全部イヤです」


 って思いっきり否定してやったさ。


 会場中が「えっ~~~~!!」ってなってた。


 エリザベス王女様は、勢いよくユリウスに抱きつこうとして腕を伸ばすが空を切り、思いっきりコケてた!!

 コケ方までゴージャスだった……



 ただ一人勇者ワルツだけが、


「エリザベス王女様は俺の妻になるんだー」って叫んでいたが、誰にも相手にされて無かった。


 その逆境の中、ただの一人で立ち向かい勇敢に闘う姿はまさに、勇者様と呼ぶのに相応しい。


 その勇気に敬意を……


「王女様は俺のだぁー!」


 最後まで叫んでいる勇者ワルツよ……


 一言言っておこう《お見事(みごと)》と。



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