タイタニ王国の周辺状況
タイタニ王国の命運をかけた交渉を王国側は僅か5日間で行わねばユリウスが領地に帰ってしまう。
そうしたら、辺境伯家と争わねばならない
またユリウスが言ったように、
王国の北側のノースタン神聖国
王国の東側のイスマリ王国とハマト王国の軍事同盟
王国の西側のウエスタニア帝国
そして南側は今回のサウス辺境伯家
現在の王国はまさに四面楚歌しかも孤立無援状態
ユリウスが宣言したように巨大2組織に見放された王国は間違いなく波状攻撃に晒されるだろう
1つでも手順が間違えれば取り返しがつかない致命傷になってしまう
何がなんでもサウス領との和解を成立させないと
「さて、今回の騒動で王国はどのような落とし所をご用意してますか?」
いきなり直球で質問してきた
「正直、どうしたらいいかわからない」
ジメッツ王は項垂れながら答える
「あー、泣くのは無しでお願いしますよ。おじさんの涙に需要はありません。いつの時代も、どの世界でもね…」アハハと笑う
「今、賠償金や慰謝料を払うとこれから起こる戦争に確実に負ける。どうか助けてくれ」ジメッツ王が頭を下げる。場にいる全員が驚くがユリウスは止まらない
「あなたの謝罪に銅貨1枚の価値もないですよ、謝って欲しくてこんな事をしてるんじゃ無いですよ」
フゥとため息をつくと
以前の婚約者で勇者パーティーの一員《弓術士》エリザベス第2王女が急に立ち上がり
「ユリウス、今までごめんなさい。私が間違ってました。私はこれから貴方好みの妻になります。どうか王国を私達勇者パーティーと一緒に助けましょう。」
ん~?どうするよ、これ?ツッコミ所が満載で何から言ったらいいか分からないぞ。
俺が固まって返答出来ずにいたら何を勘違いしたのか、更に畳みかけてくる
「愛しのユリウス。私も辛かったのよ。貴方と過ごした日々が忘れられなくて貴方の笑顔に癒やされていたんだって、ようやく気づいたのよ。ようやく辛い現実から私を連れ出してくれたのは優しい貴方だったのよ。どんな魔法よりも温かく優しい光だった貴方を手放してしまうなんて。でも貴方も悪いのよ、私を寂しい思いをさせたんだから…でも今回助けてくれるなら許してあげます。」
息継ぎ無しで言い切ったな王女様は。すげー
胸の前で両手で祈るように握り上目遣いで見てくる
あー、確かに顔も可愛いしその仕草にグッと来る人は日本人でも多かったけどな(俺の統計で)散々に裏切られた相手にされると逆に腹立つな
しかも最初は謝ってる風に装いながら最後は結局はお前の所為だって言いたいんだな
流石は勇者パーティーが誇る《弓術士》狙い撃ちだな
とても反省してる言葉じゃないな
「うんうん、それはいいな。ユリウスとエリザベスが夫婦になれば王国も安泰だな、ワシの後のタイタニ王国を任せられるな。わははっ」王太子殿下は?
もう、帰ろうかな。アホらしくなってきた。
父娘して誤魔化そうとしてるな
しかも周りは
「素晴らしい」「王国の未来は明るいですな」「ユリウス卿には是非ウチの娘を」「これで巨大2組織にも無理が言えますな」「まずはハマト王国辺りから」
「お願いよ、ユリウス。」
さらに涙目になりながらでも泣くのを我慢してますって顔でダメ押しにきているエリザベス王女に
「…たく、しょうがねーなエリザベス王女様は」
ユリウスはゆっくりと立ち上がりエリザベス第2王女の方に歩いて向かう
1歩1歩確実にしっかりとした足取りで
エリザベスの目から視線を逸らさずに歩く
今この会場には少なからず女性がいる。
貴族当主の代行で来ている奥方や会場の世話をしているメイド達などだ、美男美女がお互いを見つめながら距離が縮まっていく
会場中の女性達は今後、歴史に語られるだろう場に息を飲み、後日には演劇の演目になる場面になるであろうシーンに遭遇出来たのだ。この幸運に感謝していた
女性の誰もが顔を上気させ2人の動向を記憶に保存させるべくその挙動を呼吸を全てを見逃すまいと神経を尖らせる
ユリウスはしっかりと目を見てゆっくりとエリザベスに近づいていく
エリザベスも潤んだ蒼目がシャンデリアから降り注ぐ柔らかな光が反射して更にキラキラと輝き
金髪のドリル巻が僅かに揺れる
残り3メートル…
エリザベスの周りの貴族がエリザベスへ向かう道を空ける
残り2メートル…
ジメッツ王がエリザベスの肩を抱きそっと背中を押す
メイド達から「キャーキャー」と声がする
残り1メートル…
期待したエリザベスが身長差がある俺を潤んだ瞳で見上げ「準備万端です」って顔で待っている
残り………ゼロになるわけないじゃん
エリザベス王女様を目の前にして
「えっ、普通に全部イヤです」
って思いっきり否定してやったさ
会場中が「えっ~~~~」ってなってた
エリザベス王女様は勢いよくユリウスに抱きつこうとして腕を伸ばすが空を切り、思いっきりコケてた
コケ方までゴージャスだった
ただ1人勇者ワルツだけが
「エリザベス王女様は俺の妻になるんだー」って叫んでいたが誰にも相手にされて無かった。
その逆境の中、ただの1人で立ち向かい勇敢に闘う姿はまさに勇者様と呼ぶのに相応しい
その勇気に敬意を…
「王女様は俺のだぁー」
最後まで叫んでいる勇者ワルツよ
一言言っておこう《お見事》と。




