白狼族 ユキミ
【ユキミ視点】
不知火一番隊隊長ユキミ……総隊長のユリウスが最も信頼を置く副官。
その出身は北にある現在はノースタン神聖国になっている。
そこに色々な獣人族が暮らす森があった。そう、あったのだ。
獣人族達はそれぞれがライバルでありながらも、協力しあいながら生活していた。私の白狼族もその中の一つで戦闘に特化している種族になります。
その戦闘力は確かで周辺の獣人族達のリーダー的な部族だったの!!
私は白狼族の族長の孫娘になり幼少期を過ごす。
野を駆け、山で遊び、狩りをする。こうやって遊びから学んでいく。
しかし、私が九歳になる年に急激に勢力を伸ばしてきた、ノースタン神聖国と戦いになった。獣人族が暮らす豊かな森が目当てだったの。獣人は各部族で、連合を組んで協力してノースタン神聖国に対抗していく。ノースタン神聖国は信仰の力で民衆をまとめ、数と信仰の狂気で圧倒してくる。対して獣人連合は個別の力では上だが数が少ない上に物資は森の恵みに頼っている。
そのノースタン神聖国の宗教は人族以外許さない選民思想で数多くの亜人族を奴隷にしている。
そして国の武力である神聖騎士団は亜人に対して慈悲はない。
徐々に追い詰められていく獣人連合は必死に抵抗していくが数で負け、その数をさらに減らしていく。さらに仲間であるはずの鼠族が裏切り、さらに追い込まれていく。その中で幼い私は、白狼族の為に毎日狩りをして家族達を助けていく。毎日狩りをしていると獲物がなかなか捕れなくなりノースタン神聖国とは逆の方へ、少し遠くに来ていた日だった。
「遅くなったけど今日も獲物は捕れたし、お家に帰ろう!!」
少し薄暗くなり始めた森を背に、私は帰り道を急いだ……
そこで見たものは真っ赤な炎に包まれた生まれ故郷の姿だった。家も畑も全てを飲み込む赤い炎。
今朝までは普通の村だったのに……
そして、その中にはあっちこっちから聞こえる、うめき声!! そして既に動く事がなくなった顔見知り達。私にとって村は全員が家族だった。
その家族が今はモノを言わない抜け殻のようだ。
細心の注意を払いながら村の中心へと近づく……
そこには、ノースタン神聖国の神聖騎士団が笑いながら家族達を……
その横で鼠族も笑っていた……
「嘘!! なんで……そんな酷い事が出来るの!? 私達はいつも通りに暮らしたいだけなのに!!!!」
その余りの光景に物音を立ててしまい、近くにいた騎士に見つかってしまう。
「まだ、生き残りがいたのか!? 薄汚い獣人がぁ!!!!」
見つかった私は騎士に髪の毛を引っ張られ村の中央広場に連れて行かれる。
そこには村の戦士達の亡骸がそこら中に散らばっていた。
その中には村で一番強かった父親の姿が……
「イヤ、イヤァァ!!!! お父さん。お父さん!!!!」
モノを言わなくなった父親にしがみついて泣いていると騎士が私を蹴り飛ばしながら、
「コイツはお前の父親なんだな!? コイツのせいで何人も仲間達が死んだんだぞ。クソっ!!」
私に暴力を振るい続ける騎士……そして、剣を抜き私に向かって振り下ろされると思い目をつぶる。
……いつまでも来ない痛みに薄っすらと目を空けると、私を蹴っていた騎士は、喉から剣を生やしたように貫かれて膝を着く所だった。そして、そこにいたのは母親だった。
「早く逃げなさい。そして、幸せになるのよ。愛しているわ……」
「お母さん、イヤだ!! お母さんと一緒じゃないと……」
仲間をやられた騎士達はお母さんに怒り狂い次々と斬り掛かってくる。
「早く!!!! 行くのよ!!!!」
その叫び声を聞きながら私は全力でこの場から離れた。
そして振り返ると身体のあっちこっちから剣や槍に貫かれた母の姿があった。それでも母の顔は満足そうに少し笑っていた……ような気がした。
泣きながらも母親から言われた『幸せになるのよ』と言う言葉を胸に村から出ようと走っていた。
村のあっちこっちで村人が斬られて横たわっている。なるべく見ないようにしながら移動した。
自宅に着くとそこには白狼族の長である祖父と妻の祖母が……
もう、たくさんだ。早く村を出る為に何も考えられず準備を終えてすぐに森の中に入って身を隠す。
普段から狩りをしている私にとっては庭と同じ!!
だからヤツラの隙が出来るまで何日も森の中にいた。
ヤツラはしばらくすると居なくなり、森から出て村に帰る。
そこには廃村となった故郷があり、住んでいた家族は誰一人いない。全ての家が荒らされ金品は奪われ火をつけられ炭となっていた。
白狼族の墓を作り私はタイタニア王国に逃げる為に行動を開始したが、途中で奴隷狩りに捕まり違法奴隷としてタイタニア王国に流れついた。
そこからはさらなる地獄の日々で、殴る蹴るは当たり前で朝から晩まで重労働、そして私の名前まで奪われた!! 私の心は擦り減りあの野山を駆けて笑っていたのに、笑い方を忘れてしまった。
そうご主人様に会うまでは。
「白い毛並みが綺麗だね。名前はないの!? ……じゃあ、君の名前は『雪見』でどうかな!?」
私はご主人様から名前も、生きるという当たり前の事も、そして人を愛するという素晴らしい事を教えて貰い私の全てがご主人様の為に……
あの時に城塞の中で確かに見えた、あの裏切り者の鼠族達を。
しかもあの時と同じ笑いながら……こちらに『魔導爆雷イフリートのため息』を投げ込む姿が。
思わず動きを止めてしまった私をご主人様が庇い炎に包まれて、アンフェールホールに落ちていく。
それを笑って見ている鼠族。
「ご主人様は無事だと信じています。私はあの時よりの因縁に決着をつけます。鼠族の死に華を咲かせて見せます」




