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お前の全てを奪ってやったぜ。と言われたがほとんど無傷な俺はどうすればいいの?悲しむマネをすれば満足してくれるのか?  作者: ルナリン
第四章 勇者パーティー強化

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五番隊隊長ダンテ

【ダンテ捕虜民サイド】


 私は不知火(しらぬい)の五番隊を預かります、ダンテと申します。

 五番隊とは執事とメイドで構成される隊でございます。我々は主様(ユリウス様)の命令で捕虜民をお住まいに届けてなおかつ、移住される方のお世話を(たまわ)っております。

 そして、今は見事に貴族家の騎士団達に囲まれている次第(しだい)でございます。


「なあ、ダンテの旦那。殺ってもいいよな?大将からも危険は排除しろって言われてるし、ウチの部下も気が長い方じゃないんでな」


「お待ち下さい、ダダンさん。主様より無駄な犠牲は出さないように言われていますので」


 そう言うとダンテは騎士団の隊長らしき人のもとに歩いていき、


「隊長様とお見受け致します。私はダンテと申します。ヨツバ総合商会の副統括を任されておりますが、どのようなご用件でしょうか?」


 ダンテは綺麗な礼をして兵士の隊長に聞いた。


「そうか、ご苦労。住民達が帰って来たと聞いてな。さあ、こちらに来て貰おうか」


「おや?何故でしょうか?こちらの皆様はサウス領へ移住されるお方ばかり。どなたか間違いでは?」


「そんな訳あるか。お前と、そっちのお前も、あとはアイツも。ウチの領民ではないか。」


「今までは……ですね。もう、違うのですよ。貴族の皆様が捕虜民の釈放(しゃくほう)にお金を払わなかった。だから、我らの主様がこの者達を領民にと勧誘され承諾されました。今は引っ越す為に一時的に帰ってきた、だけでございます、それでは失礼します」


「いやいや、許すわけあるか。いいからこっちに来い」


 威張(えば)るだけ威張(えば)って歩き出すが誰も着いていかない。


「プッ」「クスクス」「何あれ、ダサい」「感じ悪い」


 しばらく歩き誰も着いていかないのを気がつかない隊長様


「き~~さ~~ま~~ら」かなり遠くから叫んで走ってくる


「もう、気は済みましたか?では、我々は失礼します」


「もう、いい。全員……抜刀。捕らえよ」


 突如、ダンテから濃密な魔力が溢れる。


「刃物を抜きましたね。彼等はあなた方の言い分では領民なのでは?本来なら守る立場の人間が刃物を向けるのですか?」


「クッ、かかれ」剣先を捕虜民に向かい振り下ろし突撃の合図を出す


「仕方ない人ですね、ダダンさんお待たせしました。後はお願いします」


「ガハハ、よく分からんがやっていいんだ な。ヤロー共お待ちかねのご馳走(ケンカ)だぞ。よく味わえよ」


 ダダンが鈍色(にびいろ)の棍棒を天高く(かか)げて吠える


「「「ヒャ~ハ」」」


 顔面凶器な組員……いや、隊員が兵士に突っ込んでいく。その横でダンテが若者の助命嘆願(じょめいたんがん)していた中年男性ピーターやインテリっぽい青年リチャードを含めた捕虜民に話しかけていた。


「これが王国の現状です。貴族はあなた方を逃がしたくないんですよ。飼い殺しにしていつまでも税金を払わせて、戦いがあれば自由に使う。この貴族達の傲慢(ごうまん)を我らは許さない。それが長年、辺境を苦しめてきました。彼等にはそのツケをこれからも、我がサウス領に払わなければいけないんですよ」


 話しをしている向こう側で兵士達の地獄が広がっていた鬼族のダダンが案内する地獄巡りが……

 その状況を見ていた捕虜民達は貴族の騎士団達の情けない姿と、サウス領の違いを()の当たりにして辺境伯領への移住を固く誓うのだった。


「ガハハッ、もう終わりなのか?そんな弱さで俺達に突っかかるなよ。」


 棍棒を振り回しながら楽しそうに笑う鬼族に周りの騎士団員は後ずさりして逃げ出していく。


「待て~!逃げるな。当主様に何て言えばいいんだ。コラ!!待たんか……くっ、仕方ない。今日は見逃してや…………る」


 言葉を言い終わる前に、自身の首元に冷たい感触に気が付く。後ろには先程まで話していたダンテが、その白髪(しらが)からは壮年(そうねん)を思わせるが、いつ動き出したのか見る事が出来なかった。


「よく、お聞きなさい。我々は主様の領民になる方々を護衛を(たまわ)っております。それは王国とサウス領で交わされた条約です。邪魔する者は王族だろうと、貴族だろうと、命を奪うように指示されております。貴方の貴族(飼い主)に次に邪魔をするようなら、その命を貰いに行くとお伝え頂けますか?」


「くっ、誰がキサマらなんかの……」


 喉元に当てられたナイフが薄く皮を裂き血が数滴流れる。


「おやおや、隊長さんは勘違いなされていますよ。私は()()()しているのではなく、()()してるのですよ。それに伝えてもらうのは別に貴方でなくてもいいのですよ」


「わ、私にこんな事をしてタダで済むと思うな。失礼する」


 悪役の決まり文句を吐きながら騎士団達は我先に、逃げていく。


「ヤレヤレ。本当に話しの分からない人でしたね。ダダンさん、恐らくはこれからもあのような者達が言いががりを付けてくるでしょう。こちらは王国との条約を盾に、交渉していきますが今回みたいなことも多くあると思います。荒事はお任せしますよ」


「おうよ。ケンカならいつでもいいぜ。なるべく強いのがいればいいがな。ガハハ」


 こうして時々、王国貴族に邪魔されながらも各地を回り順調に移民者や貧民層を取り込みながら住人候補を引き連れていく。

 彼等は王国からは、いらないと言われる者達ばかりで逆に邪魔者を排除(はいじょ)出来たと喜んでいた貴族もいた。

 領民が居なくなるとどうなるのか、まだ分かっていなかった。これはユリウスが仕掛けた、王国に対しての罠だとも知らずに……

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