身体強化を超える秘技
《グアア~~ア》
突然、大きな声が魔の森に響くと森の木の葉などがビリビリと震える。
それと同時に浅黒い肌に相撲取りよりはプロレスラーに近い体格で通常のオークより一回り大きな異彩を放つオークが複数出てくる。
〖オークジェネラル〗オークの将軍を冠する魔物である。
それよりもオークジェネラル以上の威圧感をだして周りの木を薙ぎ倒し、木を握り潰し、歩く度に地面に足跡がつくほどの真っ黒な巨体。
〖オークキング〗オークの王を名乗るに相応しい風貌で口から伸びるキバも立派でオークジェネラル以上だ。
勇者パーティーは大物の登場に一瞬慌てるがすぐに冷静になり迎撃準備を整える。
「大物の登場だぞ。気を抜くなよ。いつも通りに行くぞ」
魔法を全員で放つがほとんど効いている印象がない。オークジェネラル達が勇者パーティーに突っ込んでいく。何度もオークの巨体を弾いていた王太子が吹っ飛ばされてワルツも剣で迎え撃つが劣勢だ。
そこにエリザベス王女の弓矢やミリアンの魔法も当たるが止まらない。アルメリアも回復魔法を最大に使いながら強化魔法も全開だったが全く歯がたたない
スピードはかろうじて勇者パーティーのほうが勝っているので被害が出ていないが捕まるのも時間の問題だ。
前衛のエラソン王太子と勇者ワルツは膝をつき、後衛のエリザベス王女は矢も魔力も尽きる、ミリアンも最後に大魔法を放ち一体倒すのがやっとだった。今は唯一アルメリアだけが接近戦と光魔法で戦ってはいるが勝負は見えていた。
魔力が尽きてしまったミリアンはかろうじて動く足でアルメリアをカバーするために移動したが一瞬気を逸らしてしまったためオークジェネラルの接近に気がつかなかった。
「ミリアン、ダメ後ろ!」
エリザベス王女から声がかかるが遅く大剣を振り上げられる大きな影が自分の影を覆い振り下ろされるのが見えた。
〖ああ、ここで終わりなのかな。自分ではよくやったかな……ねぇママ、お姉ちゃん褒めてもらえるかな?〗
そう思っていたが人間の本能なのか出た言葉は
「……いや、死にたくないよ。助けてママ、お姉ちゃん」
ガキ~~ンと金属同士が当たる音が後ろから聞こえる。そして振り下ろされた大剣の風圧だろう、すごい勢いで風がミリアンの紫色の髪をなびかせる。そしてフイに自分が泣いている事に気がついた。
恐る恐る後ろを振り返るとそこには、
「よお、大丈夫か?危機一髪ってところだったな。お姫様。」
振り下ろされる大剣を受け止めている青く光る刀を片手で持っているミリアンの元婚約者ユリウスだった。ミリアンはユリウスに対してはよく、美味しい食べ物をくれる人以外は特に何も思った事はないその光景にミリアンは立ち上がるとユリウスが空いているもう片方の手でミリアンの涙を拭って、
「せっかくの美人が台無しだな。まあ、少し待っていろ。すぐに終わらせてやる。アルメリア全員を回復させて下がらせろ」
ユリウスは大剣を受け止めている腕に力を入れて弾き飛ばし瞬きをする間にオークジェネラルの首が切れていた。その首が地面に落ちる前にアルメリアと戦っていたオークジェネラルが縦に一閃され左右に分かれていた。
次々とユリウスに斬られて絶命していくオークジェネラル達に立ちはだかる黒い髪と目の人間にオークキングは徐々に恐怖の色を浮かばせる。
オークジェネラルはユリウスに一太刀どころか気がついたときには地面に横たわっているその光景を勇者パーティーのメンバー全員で見ていた。前回のオルトロスのときはアルメリア以外は気絶していたためユリウスの本来の戦いを見るのは始めてだった。
その圧倒的な戦闘力に時を忘れるかのような感じで見入ってしまった。
ユリウスはオークジェネラルを倒しつつオークキングに注意をしながら全てを倒してから、刀を一振り地面に向かい振るって着いていた血を振り落とすそれが合図のようにユリウスとオークキングが衝突した。
オークキングはユリウス目がけて素早く大剣を振るう事にして近づけないように手数を増やすくらいに必死にユリウスについていくが、
「ダメだね。もっと速くしないと」
オークキングは大剣を振るう度にユリウスに何処かしら斬られていく。今までの中でも圧倒的強者を前に逃げ腰になっていく。
「これから見せる技を貴方達にもやって貰うからよく見ておくんだ」
魔闘技【纏】ユリウスから何かユラユラした炎のようなモノが吹き出してユリウスの身体だけでなくて持っていた刀まで覆う。
ユリウスは近くにあった岩に刀を振るう
岩を簡単に通り過ぎて斜めに切れる、切れた岩が落ちるのを合図にユリウスは先ほどよりも速く残像だけを残してオークキングに接近したが一瞬の間に細切れにしてしまった。
自分達が敵わなかったオークジェネラルよりも強いであろうオークキングをまるで何も無いかのような強さで圧倒したユリウスを勇者パーティーのメンバーは遙か高みを見ていた。
オークキングを瞬殺するユリウスは青く光る刀を自分の肩に担ぐ後ろ姿が女性陣の心臓を鷲摑みにしてポーと、いつまでも見ていた。




