説得と勧誘
「そこでキミ達は、ウチのサウス領の住人にならないかい?魔の森を開拓するんで住人を募集してるんです」
突然の勧誘に全員が戸惑う
「すぐには答えが出ないと思うけどキミ達はここから出られるとしたらどうするの?自分達の家に帰るって人が多いかな?でもな家に帰ったとして王国はこれから色々な国と戦争になるよ。今回は捕まって次は?生きて帰れそうか?」
ざわざわして、色々な所から「戦争なんか起きない」「嘘だろ~」「俺たちはどうしたら~」等、声が上がる
「信じられないかも知れないが事実だ。そして、またキミ達は貴族達の都合でまた戦争に行くのかい。家族はどうする?愛する人は?考えて欲しい。誰が得をする?キミ達は何を得られる?地位、名誉、多少のお金。それの為なら命を捨てられる?」
先ほどよりもざわざわして周りの人と話し合う人達に、さらに
「家族達は何なら満足してくれそう?貴族達の戦争なんかよりもキミ達の安全や健康なんかを願っているんじゃないのか?しかも、捕まっても自分達はお金を払ってサッサといなくなる。キミ達を置き去りにしてね。あくまで貴族達にとってキミ達は使い捨ての領民なんだよ。そんなこと許せるかい?」
先ほどとは打って変わり場は静寂に包まれる
誰かが鼻をすする音がやけに響く
「……許せない。俺たちだって必死に生きているんだ」
先ほど若者の助命を願い出ていた中年男性が声を出した、それを引き金に
「そうだ、そうだ」「俺たちは貴族のオモチャじゃないぞ」「俺は家族の為なら……」「どうせなら嫡男様に……」
誰もが怒り、嘆き、そして絶望していた
このまま帰っても自分達は生きていけるのか分からない。
その後の家族はどうなるのか?貴族達は何も保障はしてくれない。今回と同じように見捨てられる。皆が分かっていた
「そんな貴族達の為にまだ自由で簡単に使われる領民でいたいのか。それとも、ウチの領民になってここで暮らしてみるか。選ぶのはキミ達次第だ」
「平民の他領への移住は、王国では審査が厳しかったはずですが?」
こっちのちょとインテリっぽい青年が聞いてきた。
「普通ならな。でも今回だけは国王から了解を貰っているから大丈夫だ。しかも王国内なら移動の許可もある。だから安心してキミ達が考えて選択して欲しい。それとウチの領民になっても良いて人は、当面の面倒は辺境伯家で援助するよ。ただ、魔の森が近いからね。魔物と戦う訓練はして貰うよ。もちろん、俺たちが手助けはするし安全に配慮する」
「家族達はどうなるのですか? 一緒に暮らしたい場合は?」
「こちらから護衛を出すから連れて来て大丈夫だ。ついでに知り合いやご近所さん何かも誘っていいよ。」
「俺はここに移る」「家族も一緒なら」「もう、貴族に使われるのは」「援助もあるなら」
「しかもね……今回のキミ達の援助と移動等の費用は全てが貴族達から巻き上げ……貰った身代金から出すよ。考えてみて貴族達は自分達のお金をかけて領民が自領から離れる手助けをしてしまった。これ程、痛快で爽快な復讐はなかなか、ないよ。今回だけは貴族達ではなくキミ達自身で決められる数少ないチャンスだからね」
これでこちらに転ばないなら仕方ない。他の方でやるしかないが余程の事が無ければウチを選んでくれるだろう
「ダンテとダダン、ちょといいかい?捕虜達の護衛を頼みたいんだけど、いいかい?」
「もちろんでございます。我が主」「大将の頼みならいいぞ」
「じゃあ、頼むよ。ダンテには五番隊の戦闘メイドを率いてサウス領に移住してくれる人のケアもね。ダダンは戦闘があればやっちゃって。戦闘するかは、ダンテが判断してね。移住者の安全第一ね、ダダンは4番隊メンバーと一緒に護衛を頼む。邪魔するヤツは貴族だろうとぶっ飛ばして大丈夫だ」
「心得ました。」
ダンテは綺麗なお辞儀をしてその場を去る
「ガハハ、強いヤツがいればいいな。」
地面を揺らしながらダダンがその場から離れる
王国は徐々に自分達が追い詰められて行くのが分かるかな。サウス領に攻め込んだ時点でお前達は自分で泥沼にハマっていったんだ
領民は確かに一人一人は力がないかも知れない。
でも、彼等がいるから貴族としての振る舞いが出来ている。逆に彼等がいなければ貴族ではいられない
今まで住人を大事にしてきたかあるいは逆かは全ては住人達の判断に委ねられた
これが俺が王国に仕掛けた罠で追放劇での和解案で提示したのも魔の森を開拓する為に仕掛けていた
今まで王国にサウス領周辺は搾取されてきたから人口もかなり減っていたからね、しっかりと回収しないとね
その回収費用も王国さんから貰ったし計画は順調だ。
そして、アルブル王国の戦場に向かう者達を激励しなければ。
いち早くフローラ姫は自国に帰り準備をする為にお別れになる
自分の国だから仕方ないけどね
「ユリウス様、また離れてしまうのは寂しく思います。ですからワガママを言わせて下さい。是非、私を強く抱き締めて欲しいの。少しでも悲しさが無くなりますように」
綺麗な翠色の髪をゆっくり撫でて前髪を指でかき分けた後に頬を撫で
「無理はしないように。またすぐにお会いできますよ」
そっと抱き寄せる。女性特有の甘い香りが鼻をくすぐりその柔らかな肌を少し強く抱き締めた
その様子は一秒でも長くお互いの温もりを忘れないように……




