再会と再会
サウス辺境伯領…世界でも有数の危険地帯でもある魔の森に隣接した土地で常に魔物の襲撃がある
危険な土地だからこそ人々の結束が強く、領民との距離が非常に近い
「あー、若様だぁ~」「本当だぁ、若様~」「皆に知らせないと」
道端で遊んでいた子供達だ。
タタタっと子供達は走りながら
「皆~若様が帰ってきたよ~」
本当に元気だね
わぁーとそこら中から人が出てきて
「若様~お帰りなさい~」「婚約おめでとうございます」「凄い綺麗な人~」「わあわあー」
もの凄い歓声で道の両端を人々が手を振りながら声をかけてくる
勇者パーティーはビックリしている
王都だと考えられない光景
王族や貴族に話しかけるなどヘタしたら処刑ものだから
「おう、皆ただいま~、やっぱりサウス領はいいなぁ~」
ユリウスは手を振りながら住人に声をかけている
一際大きな屋敷の前まで着き門をくぐると突然、ユリウスに飛びつく影があった
「ユリウスちゃん、会いたかったわ。ママはお手紙だけじゃ寂しいよ、イヤなのよぉ。」
いきなり抱きつき、泣き始める母アリス
「おう、帰って来たのかバカ息子。」
いきなりケンカを売って来たのは現辺境伯家当主グレイ・フォン・サウス。
ユリウスの父親だ
「ああ、帰ったぞ。バカ親父。」
「アハハ、女を盗られて落ち込んでると思ったのにな。つまらん。俺も昔、アリスを国王がチョッカイかけてきたからぶっ飛ばした事があったな。」
「親父はそんなんだから呪いで領地から出られなくなったんだろう?」
「ワハハ、そうだな。でも後悔なんて少しもねーな」
母アリスを抱き寄せる父グレイ
全く変わってないなーと思っていたら……
【アルメリア視点】
日に日にサウス領に近づいていく
訓練で走りながらまだ考えがまとまらない
〖家族に会う〗当然、嬉しい気持ちもあるがそれよりも不安の方が大きい
私の痴態が家族に知られてどうしたらいいのか分からない
怒られるのか、呆れられるのか、蔑まれるのか…歓迎はされないと思う
ザッザッと走る音が、サウス領が近くなるたび、ザザッザザッと重くなっていく
「帰りたい・逃げ出したい」でも…
そんな葛藤を抱えながらもサウス領に着いてしまった
久しぶりのサウス領は懐かしさもあったが何か違う?ううん、私が知ってるより住人が明るいんだ。
私が住んでいたときよりも…ユリウスが農業改革した話しを聞いていたけど、前は食べ物が少なく皆が下を向いていた。これがユリウスの成果なんだよね
だから住人もユリウスを歓迎するんだね
ユリウスの生家に着いた
辺境伯様、奥様がユリウスを歓迎している
私はお二人にも謝らないと…と思っていたら
突然、ガバッと抱きつかれ「アルメリア」と名前が呼ばれた
ひどく懐かしくでも心から安心出来るミルクのような匂いがして勢いよく、でも凄く優しく抱き締めてくれたのは母のカルミアだった、後ろには父ガリバーの姿が見えた
「おっ、お母様……私……」
「アルメリア、無事で安心しましたよ。連絡ないから心配していましたよ。でも、本当にバカな子ね……自分から幸せを捨ててしまうなんて」
抱き締められてるお母様の身体が小刻みに震えている
私は自分の過ちの深さに何度目になるだろうか打ちのめされ、母に会えた喜びと共に感情が溢れてしまい
「グスッ、うわーーん。ごめんなさい。」
泣く気は全然無かった。泣かないと決めていたのに。私はそれだけの事をユリウスにしてしまったのだから。
でも、故郷と母に触れて止まらなくなってしまい、その場で泣き崩れていた
それでも母は優しく肩を撫で続けてくれていた
「アルメリア、よく帰った」
無愛想ながらも奥にある優しさを滲ませ父ガリバーも話しかけてくれた
色々と言いたい事もあっただろうでも、その場では何も言わずただ私が泣き止むのを待ってくれていた
「グスッグスッ、お父様にお母様遅くなりましたがただいま戻りました。長い間、連絡を取らずに申し訳ありませんでした」
「本当に貴方は、何度手紙を送っても返事もないから心配で心配で、若様から話しは聞いてましたから無事なのは知ってはいましたが……」
「すみません。あまりお父様とお母様にお手紙を送れるような状態ではなかったものですから」
「…………そうですね、若様からはアルメリアの事を聞いてましたよ」
「そうですか。私はやはり勘当でしょうか?お父様」
「…………うむ。普通ならな。しかし若様がある日俺の所に来てな……」
〖ガリバーおじさん、カルミアおばさん、すいませんでした。俺ではアルメリアを幸せには出来ませんでした。おじさんの前で誓ったのに約束を守れず、すいませんでした〗
「……ってな、ずっと土下座したまま動いてくれないんだよ。もう分かったと言ってもな……あの時の若様は泣いてはなかったが若様の背中は語っていたよ」
「……グスッ、ユリウス……グスッ」
「若様がアルメリアを勘当はしないでやって欲しいって。だから俺は若様の為しない。けしてお前の為ではない」
「……はい、わかりました。ありがとうございます」
「それで?お前は王太子と結婚したいのか?」
「…………分かりません」
「そうか。ゆっくりと考えて答えを出すといい」
久々の親子の会話はギクシャクして、どこかどんよりとした空気で嬉しさよりも後悔の色が濃い再会になっていた




