裏切りの接吻
討伐を達成する度に勇者パーティーの名声は上がりしかし民衆の支持は下がっていったが当の勇者パーティーは気にもしていない
荷物持ちであるユリウスにも民衆は冷たくなる
「ハァ、アイツらは問題しか起こせないのか?」魔物は討伐したが畑はグチャグチャ
これでは収穫なんか出来ないな
民衆は魔物討伐だけを求めている訳ではないのが分からないのだろう
【エラソン王太子視点】
最初からユリウスは気に入らなかった
田舎者のクセにどこか洗練されていて私から見てもヤツは優秀だ
婚約者達も私好みだ
そこでユリウスには前にジメッツ王から教えられた辺境伯に対する呪いを10歳の職業の判定時にコッソリとかけてやった
その後に学園入学でヤツはいたがあまり呪いの効果がない?のか始めの試験ではヤツに主席を盗られる失態をしてしまった
私のパーフェクトを始めから阻止した愚か者に更に呪いを追加した
父上からはあまりやるなと注意されてはいるが大丈夫だろう
呪いの重ねがけが良かったのかユリウスはその後、学園ではそこそこまで落ちて実技は散々で思わず口がニヤけてしまう
「私に土を付けた事を後悔するがいい。」
ユリウスが調子を落として行くのを楽しく見ているだけでは…
婚約者達にもユリウスを裏切りさせるかな
ミリアンは何とかなるだろう
アルメリアかぁ、確かユリウスの幼なじみの女だな
仕掛けてみるかな
「ザンゲル子爵令嬢、少しよろしいか?」
突然、私に話しかけられ驚いてるな。
だが反応は悪くない
「同じ勇者パーティーとして回復魔法に詳しいザンゲル子爵令嬢に聞きたいのだが?」
「あっ、はい。回復魔法の事ですか?私で分かることならいいのですが」
「そうか、それでは………成る程な教えてくれて感謝する、では」
「はい、お役に立てて光栄です。殿下。」
「うむ、ザンゲル子爵令嬢これからは同じ勇者パーティーの一員として、プライベートではアルメリアと名前で呼ばせては貰えないだろうか?」
「私の名前ですか?そうですね、同じパーティーなら…大丈夫ですよね…、分かりました。殿下。」
「ありがとう。私の事もエラソンと呼んでくれ」
「そんな…ではエラソン様と、それでよろしいでしょうか?」
ふむふむ、悪くない。
容姿は私好みだ、頭も悪くはない、回復魔法は素晴らしい、自分の身の程をわきまえた行動が出来てるな
「よし、私の女に加えてやるかな」
それからは事ある毎に話しかけてこの女を探る。
そして、私の経験からこの女はユリウスとの婚約に対して不満が溜まってるな
父上からもアルメリアを堕として辺境伯の情報を探れと言われてたな
ならば話しながら誘導するかな
「……成る程な、アルメリアは頑張っているのだな。ユリウスも気づかってやるべきだったな。婚約者であるアルメリアを安心させてやるのも婚約者の勤めだと思うがな。」
「さすがエラソン様です。ありがとうございます。また私の話しを聞いて貰いすいません。ユリウスもエラソン様を見習って欲しいですよ」
「イヤ、良いのだ。ユリウスも頑張っておるのだ、まぁ女性に対しては紳士でなければ国はまとめられん」
フフフっ、アルメリアかぁ。
順調に誘導されてるな、何かダメ押しになるような…アレを使うかな
「これより、学年対抗剣術大会を始めます。第1試合ユリウス・フォン・サウス対エラソン・デ・タイタニア 前に」
そう、少し対戦を仕込ませて貰った
この剣術大会は婚約者達に応援して貰い自分の婚約者の強さを周りに認めさせるという面をもつ(貴族の見栄というやつだ)
つまりは弱い婚約者は全校生徒から笑われ、強い婚約者は周りから尊敬される
だから、皆必死に特訓して剣術大会を迎える
そして、ユリウスは追加で呪いを重ねがけしてまともに戦えないようにしてから、無様な姿を晒して幻滅している所を慰めて頂いてしまうかな
「それでは…はじめ」
開始と同時に動くが動きが遅すぎて少し剣で相手をしてやったが力も弱い。
さっさと決めてやるからな【ザ・カーズ】
すぐに効果があり遅い剣を弾いた反動で腹を殴る
ユリウスは腹をおさえて吐いている
「それまで、勝者エラソン・デ・タイタニア」
「さすが殿下だ」「呆気ないな」「何あれカッコ悪い」「無様な」「婚約者達カワイソ~」「アハハハ」「同じ勇者パーティーでも雲泥の差だな」
なかなか上出来だな
アルメリアの方を見ると周りからバカにされて恥ずかしいのか下を向いて耐えているが我慢出来なくなったのか会場より走り去った
よしよし、上手くいってるな
アルメリアを追いかけて最後の仕上げだ
ちょうど人の寄りつかない所でアルメリアは泣いていた。そこに
「ゴメン。アルメリア。私も相手はユリウスだったので彼にも見せ場を作ろうとしたのだが…結果、君を泣かせてしまった」
「いいえ、エラソン様は悪くありません」
グスグスっ、涙を拭きながら
「エラソン様、勝利おめでとうございます。格好良かったですよ。殿下の婚約者の方々が羨ましいですね。」
精一杯微笑んでみせるアルメリアに
「健気だな、そして君は美しい。その涙を私の為に流して貰えたら嬉しかったのだかな」
指でアルメリアの涙を拭ってやる
「あっ、ありがとうございます。エラソン様、お戯れを…」
「戯れではないさ、今はその悲しい涙をどうしたら止められるのか分からない、ただの男だよ。だから、君の悲しい顔を見ないように…」
ガバッとアルメリアを抱きしめた。
「これで私は見えないから泣くがいい」
ふぇーんとアルメリアはエラソンにしがみ付き泣くがエラソンは顔を見ないように髪を撫でて泣き止むまで待った
そして、どちらとも無く見つめ合いお互いに接吻をした
物陰には腹を押さえた人影がありしばらくすると消えていた…




