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蜃気楼の街 モガナート①

七本槍の道化衆

★「008」ナギト(17)♂ 武器片手剣 魔法剣士資質 Eランク

  スキル:(開眼)マナ寄せ、マナ返し 回転マナ返し

〇「009」ライガ(46)♂ 武器槍 槍突騎士資質 王下Bランク

  スキル:突撃の槍、亜空間魔法(収納激小)他

〇「010」マルマル(51)♂ 鉱山守資質、

  武器音叉、ハンマー スキル 鉱石サーチ、鉱石割り、鏡合せ

〇「011」ストナ(20)♀ 聖騎士資質 武器大剣 

  スキル:聖流剣 聖回復 亜空間魔法(特大)他

○「015」オーウィズ王子(16)探求者資質

  スキル:探求



炎勇旅団

○ユーム(38)♀ 隊長 Aランク アーチャー資質

 雨矢 千本矢 心臓の矢 瞬速矢

○ウスイ(33)♀ 副隊長 Bランク 剣士資質

 なぎ払い 多段切り 疾風切り

○フミヅキ(23)♂  Bランク 魔法使い(火)資質 

 (ハズキとは兄弟)

○ハズキ (22)♀ Cランク 魔法使い(風)資質 

○ブンケル (29)♂ Dランク 書士資質 スキル:検索

○ボールス (17)♂  Eランク  演算士資質

    スキル:空間把握、亜空間収納、空間浮遊

 ボルケーノ首都、炎英新都からクラスタル首都イーダーオーツまでを縦断する道がある。南北街道と言われている。魚の上ヒレから下ビレまで続く最長の街道である。

 この街道は中央高地エントレイルス地方の主要の街、砂漠のオアシス「ノルデーナ」から炎英新都までの南半分には別の名前が付けられている。通称「マルクロード」。

 5年に一度、大量のマルクがノルデーナから炎英離都へ運ばれて世界へと輸出される。

 マルクとはシルクに細かなマナが織り込まれており、軽い魔防材の役割を果たす為、貴族の衣装に使われている。

 このマルクはどの様に出来るのか?

 未だに詳細は謎となっている不思議な絹の反物。ただ、出処だけは分かっている。

 

 中央高地エントレイルスは東西巨大な山脈に囲まれた陸の孤島とも言われている土地。南西部は巨大な砂漠。北東部は山。元々標高が高い上に人の住める様な土地も無く、ドワーフ族の一部と遊牧民が住む土地である。

 主要な街も南北街道の南にオアシスの街ノルデーナと北の木陰の街ソーンシールの2つしかない。

 この陸の孤島エントレイルスには古から栄えた王国伝説がある。ドワーフ一族が建てて巨大な王国。魔王対戦以前には滅びていたとされる。その生き残りが今もなお住んでいると言われる街がある、それが蜃気楼の街モガナートである。この街からマルクが世に出てくる。

 5年一度砂漠の中央(昔王国があったとされる場所)に突如として現れ、数ヶ月後、再び突如として消える不思議な街。

 通常の時間流れが違うとも言われ、5年毎に長を含めて全ての住人が入れ替わると言われている。

 モガナートにシルクを渡し、5年後にマルクとなって戻ってくる。1枚のマルクの反物を作るのに100年以上の年月を掛けてマナを入れ込む必要があると言われている。その事を考えてもこの地上から消えている5年間に100年以上が経過している可能性がある。

 マルクを作る過程を調べようと何人者学者がモガナートへ入って行ったが、誰も戻ること無く、その研究成果すら戻って来たことが無い。

 人呼んで砂漠の監獄。


 その砂漠の監獄に門外不出の鉱石がある。それが硬芯鋼と柔芯鋼である。

 そんな話は誰も知らなかった。古代の叡智である火のマナ獣が言うのだからそこにあるのだろうが、そんな大事な物を僕達は入手出来るのだろうか?しかも、モガナートに入る事が許されているのは炎英王の一親族のみ。彼らが全ての利権を握っている。

 だた一人、オーヴィズ王子だけが旅を喜んでいる様だった。しかし、彼はどうするのだろうか?鉱石をどうやって手に入れようとしているのか?

 全く読めない旅が再び開始された。



 拳を強く握る。拳を振るうのでは無く、腰を入れる……。重心は頭のから真っ直ぐに地面刺さる様……。足で動くのではなく、重心を移動させる……。

「はい!」

「いち、に、さん、し、ご…………。」

 僕はボールズと一緒に稽古へと参加していた。

「はい、そこ、ナギト、余計な事を考えない。心を無にしろとは言わない、けど、身体の動きに集中!」

「は、はい、師匠。」



 炎英離都を離れてオアシスの街ノルデーナを目指して、3日目の野営地である。

 僕が炎勇旅団のユームに弟子入りして2日目の訓練であった。


 1日目の野営地での出来事。

「よう、ナギト、お前も参加しないか?」

 突然野営準備をしていた僕にユームが話し掛けてきた。

「何にですか?」

「空手のトレーニングだ。」

「空手?僕が目指しているのは剣士です。」

「出た。剣士、戦士、アーチャー、魔法使い。だから、空手のトレーニングはやりません、宣言。」

「そ、そんな事言ってません。たた、剣士として強くなりたいんです。」

 ユームが薪用の木の棒を僕に渡した。

「なら、その剣士の実力見せてくれないか?もちろん、君の不思議な目のスキルを使っても構わない。」


 僕はユームと試合をする事になった。ルールはお互いに剣(棒切)で戦う。僕はどんなスキルでも何度でも使っても可。ユームは瞬速矢と言うスキルを一度だけ使用可と言う内容だ。勝敗は攻撃を身体に受けるか、棒を壊されるか、落としたら負け。冒険者が訓練でやる模擬戦内容と同じだ。

 ユームの狙いは一目瞭然、瞬速矢と言うスキルで斬撃を飛ばして僕に当てる気だろう。ユームはアーチャー資質のスキルを格闘スタイルに合わせて戦う異種攻撃型。

 王下聖騎8番隊の副隊長のセンリも狩人資質で短刀を使っていた。

 狩人やアーチャー資質で他の飛び道具を使う人は稀にいるが、格闘タイプは多分彼女が最初だろう。と言うより今でも炎勇旅団以外でそんな人達は聞いた事も無い。

 その中でも飛び抜けた異種攻撃型の使い手が隊長のユーム。死闘となると勝ち目は無いだろう。しかし、今回は試合。しかも、向こうはスキルの固定の一度限り。こっちはスキル無制限。(但し、有効なスキルは無いので、あくまで使えるのはマナ寄せ開眼位だろう。)

 勝てない試合ではない。

 ただ。

 周りは野次を飛ばす気満々で、ライガは酒の肴にしようと既に飲み始めている。ストナとマルマルからは既に野次が飛んできている。(聞き流しているけど。)炎勇旅団のメンバーはいつもの野営の準備を黙々と始めている。戦う前に勝負はついているような素振りでこちらはこちらで悲しい。

 ただ、やる以上は負けない。



 

 試合が始まった。

 ユームの剣(棒)の構えは思った以上に隙が無い。迂闊に攻めるのはヤバい気がする。

 気をつけるのはスキル。

「マナ寄せ開眼」

 マルマルの「鉱石サーチ」のスキルを僕の開眼にマナ寄せした技だ。相手のマナの動きが読める。スキルを使う場合、必ずマナが動く、それの動きを読む事でマナ攻撃を避ける事が出来る。

 ユームの身体の重心が動く、何が仕掛けて来る。マナの動きは無い。通常攻撃だろう。多分様子見、でも油断は出来ない。

「来る!」


 一瞬記憶が飛んだ。

 ただ、単純に吹き飛ばされた。数メートル、十数メートル後ろに吹き飛ばれた。気付けば棒も折られていた。

 彼女は僕のところまで近寄り、手を差し伸ばした。

「何が敗因だと思う?」

「完璧な実力の差。」

 それしか言えなかった。スキルもマナの力も使った様には見えなかった。そうなると、単純な彼女の走力に僕の目がついて行かなかった。開眼でも捉えきれなかった。

 言われて見ると、ライガの本気攻撃は僕もマナを追って見ていた。見えていると勘違いしていた。だから、マナが動かないと開眼の力は通用しない。完璧では無いんだ。盲点だった。

「弟子入りするか?」

 そのユームの誘いに二つ返事で了承した。


 

 ユーム師匠曰く、ライガは全てにおいて最強だが、教えるのが下手。見て学べ姿勢だけど、当の本人が数次元上にいるので一般人には見て学べるところが無い。

 まさにその通りだと思った。

 ライガの強さに近づく為には……、研究した結果、基礎となるのが体術であると行き着いた。その基礎を僕に教えてくれる事になったのだ。

 剣技とは違う身体の動きに何か面白さは感じた。




 ライガは食事を始める前に立ち上がった。

「明日にはオアシスの街に着く。その後、東の砂漠を横断する。まともに寝られるのは今日だけと思ってゆっくり休むように。」

 そう言って食事が配られた。

「隣良いか?」

 ボールスが隣に座ってきた。

「ユーム師匠の訓練はきついな。」

「当たり前だ、俺の尊敬の人だからな。」

「ボールス、スキルは増えたか?」

 ボールスは指を3本立てた。

「同じだな。演算士資質だったよな。一つ増えたのか。」

「ああ、スキルは 空間把握、亜空間収納、空間浮遊の3つだ。」

「何?空間浮遊ってすごくないか?」

「すごくは無い。お前が思っているスキルでは無い。不特定の物体を数秒浮かすスキルだ。」

「すごいだろ。レア中のレア、劇レアだろ。すごいよ。それ。」

 ボールスは両手を上げた。

「空間浮遊」

 するとマナが空中に浮かび上がる様な感覚があった。

 その時、僕の右横にある小さな小石が浮かび上がった。

「すげー、空間浮遊。」

 僕はその浮遊に感動した。

「いや、ただ小石が上がっただけだから。」

「これ飛べる様にならないか?」

「無理、無理。小さな小石くらいしか浮遊できない。そもそも不特定で、こっちで選べない。」

 僕は「マルマル」を呼んできた。そして、……。

「マナ寄せ開眼。もう一度空間浮遊を使ってくれ。」

 マナが空間に発散した。そして、小さな小石に集まった。

 そこが上がる。

 僕は浮かぶ石の上に飛び乗った。小石と足の裏が空中で接した。その勢いで飛び上がった。

「おーー。」

 周りから感嘆の声援が上がった。


 その後、なぜかスキル検証会が開かれ、ゆっくり休めと言った本人達が一番盛り上がっていた。

 その夜、ボールスの空間浮遊は不特定から特定へとスキルアップした。いや、させられたと言った方が正しいかもしれない……。


 その翌日、僕達は昼前にオアシスの街ノルデーナに到着した。

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