表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/37

蜃気楼の街 モガナート③

 蜃気楼の街、モガナート。その城門は静かに閉まっている。



 そして、その前に炎英王軍が通行を禁止させるかの様に通路をせき止めていた。

 モガナートの城壁は近くから見ると立派な巨石が使われている。マルマルの記憶からも見た事のない石らしい。硬芯鋼や柔芯鋼の鉱石の可能性もあると興奮状態で話していた。

 ただ、僕達はその城壁に近づく事なく……。

 

「退去を命じる。」

 軍隊長がオーウィズに言い放った。

 予想通りの展開だ。


 僕達は丸腰で炎英王軍の中に入って行って、即座に捕まった。(だろうね。)そして、軍隊長のところに連れてこられ、経緯を話すやいなや「退去」命令が出たのであった。(普通そうでしょう)


 しかし、オーウィズも簡単には引き下がらない。(バカなのか、策士なのか分からないわよ。)

(隣でストナが何かあるたびに僕へ一言入れてくる。)

 「軍隊長殿、私達はマルクを盗みに来たのではない。ただ中に入りたいだけだ。」

「断る。もし、入りたいのなら、炎英王の許可書を持って来い。ただ、あと数日でモガナートも消えるから無駄だがな。」

「それなら、中に入るとまでは言わない、城門まで行かせてくれ。」

「断る。それに、もう間に合わないだろう。」

「間に合わない?どういう意味ですか?」

「モガナートは現れて、数日間だけ城門が開く、そして、その後、門が閉じてから開いた事はない。諦めろ。5年後に許可書を持って来い。その時は通してやる。」

「我々には時間が無いんだ。頼むから城門までで良いから通してくれ。」

「無理だ。こちらからコンタクトは取れない。城門近くにいると、空間移転に巻き込まれる。実際に5年前に2名が調査中に移転が起こり……。」

 そう言うと、軍隊長は胴を切った様な手振り素振りを見せた。脅し?

 王子と軍隊長の言い合いが暫く続いていた。確かにここで引けば5年後、ライガの息子は助からないだろう。でも、城門まで行く許可を得てもどうやって門の中に入るのか?

「いくら欲しい?」

 出た。金で解決。お金持ちの論理。(出た金の剣)

「……。」

 お、軍隊長が黙った。以外に効くのか?(最強ね。金の力は。)確かに、こういう時は王家の人間が付いていると心強い。

 


 その時だった。突然、巨大な地響きが鳴り渡り、砂が踊りだした。

「な、なんだ?」

「まさか?」

 軍隊長が慌ててテントから外に出た。

 僕達も後について行く。その巨大な音は城門が開いている音だった。僕達はただその城門が開くの見上げていた。

「壮大だ。機械仕掛け?」

「多分。門の動きがぎこちない。機械式に良くある。この構造は……。」

 マルマルが楽しそうに力説したが、あまり頭に入って来なかった。

 城門が開き切ると、地響きが止まった。

「完全に開いた。」

 軍隊長が部隊を召集し、城門に対して隊を組んだ。部隊全体いや、ここにいる人全員に緊張感が走った。

「何が起こってる?」

 ストナも、ライガも首を傾げているだけだった。



 城門から2人のドワーフが出てきた。ゆっくりとこちらに向かってきた。

 軍隊長と副隊長が2人を出迎える為に近づいて行った。

「この瞬間に中へ入り込むか!」

「やめなさい。射殺されるわよ。」

 僕達は衛兵に拘束された状態でこの出来事を眺めるしか出来なかった。

 ドワーフと軍隊長が何かを話終えると、僕達の方へ近づいてきた。ドワーフの1人はマルマルに似た感じの男性ドワーフ。もう1人は女性だった。初めて女性のドワーフ見た。2人のドワーフは何か気品に満ちていた。マルマルが野生的なドワーフだったから、ドワーフが全員マルマルの様なイメージでいたが、僕達に比べると背丈が少し小さく少し骨太的なところはあるが、それ以外に違いがない様な風貌だった。

 男性のドワーフは戦士資質なのか、背中に身体より大きな斧を背負っていた。イメージ通り戦士のドワーフであるが、女性は貴婦人の衣装だった。


 2人は僕達に近寄り、膝をかがめた。

「我が王がお待ちです。」

 何があった?(知らない。)


 

 城門をくぐるとそこは緑広がる草原だった。いや、森だった。

 蜃気楼の街モガナートは城門の外から見て、想像していた風景と全く異なっていた。そこには様々な家々が隙間なく建てられ、その街並みがみは大通り沿いに続き、大通りは丘の上の城へ向かっていると勝手に思っていた。

 実際は、広い草原の中に森?林が点々と存在している。そして、その巨大な草原がそのまま丘の上、城まで続いていた。

「すごーい。何ここ?」

 ストナのテンションが跳ね上がっている様だ。

「すみません。時間がありませんので、私達に後について来てください。」

 城までそんなに徒歩数十分くらい。と思っていたが、実際に半日以上歩くはめになった。


「ここどうなっているの?何?この距離感?なんであの距離が半日以上掛かるの?」

「ここモガナートは時空の果てに追いやられてから、空間自体が曲がっております。気を付けてください。私達から離れると戻れなくなります。ちなみに後、1日半でこの街は再び時空の彼方に消えます。急ぎます。」

 そう言ってドワーフ達は城の中へと僕達を導き入れた。


 城の中も不思議な空間だった。見た事もない。素材で壁も床も天井もインテリアも出来ている様だった。だけど、どこかで見た記憶があった。なんだろう?思い出せない。僕は城の中を見ながら、記憶の片鱗をかき集めていた。

 その時、壁を触っているマルマルが目に付いた。

 マルマル!

 そうだ。マルマルの部屋だ。僕は相槌を打ってしまった。

「ナギトどうしたの?」

 ストナが僕の行動を疑問に思って聞いてきた。

「ここ、どこかで見覚えがあったんだよ。」

「何?それデジャビュってやつ。」

「違うよ。ここの色々なインテリアや壁が似ているんだよ。」

「何に?」

「マルマルの部屋だよ。」

 僕の声にマルマルが反応した。

「よく覚えていたな。わしもそう思う。」

「マルマルのあの家はどうやって作ったの?」

「わしにも分からない。気がつくと住んでいた。」

「え?」

 僕が回答の意味を聞こうとした時、2人のドワーフが僕達に声を掛けてきた。

「皆様、到着いたしました。ここに我々の王がおられます。どうぞ。」

 そう言うと、大きな扉が開いた。そして扉の間から王座が見えた。そこには……。

 


「なんで?」

 王座にいたのは炎狐だった。

「クゥールだったのか?」

 炎狐は僕の近くまできて、深々と頭を下げた。

「ナギト様、初めまして、私は炎狐のフィーブと申します。クゥールとは同気なる者です。」

「どうき?」

「人間で言うと双子と同じです。」

「どうして……」

 フィーブは僕の言葉を止めた。

「皆様、時間がありません。詳しい話は出来ませんが、ここに硬芯鋼と柔芯鋼を10個ずつ用意しました。これを持って早急に城門より外に出てください。後、半日でこの国は世界から姿を消します。急いでください。」

 城門まで半日歩いた事を考えると、ここから出るのにも半日掛かる。確かにギリギリだ。僕は炎狐が用意してくれた鉱石の袋を受け取った。

 その時、マルマルが僕に袋を手渡してきた。

「これは?」

「餞別だ。わしが蓄えた全ての鉱石をお前さんにやる。」

 ?

 そう言うとマルマルは炎狐の方を向いた。

「フィーブ殿、いやフィーブ王よ。わしをここに住まわせて欲しい。」

「マルマル、何を……。」

「わしは世界を回った。しかし、わしが追い求めた物はどこにも無いと思っていた。しかし、ここに入った時それを見つけた。すまない、わしはここで七本槍を抜ける。」

「マルマル」

 マルマルは炎狐の方へ歩いて行った。

「分かりました。許可しましょう。しかし、ここは空間の歪みがあり、あちらの世界で5年がこちらでは500年経ちます。貴方でも再び彼らと会う事はないでしょう。よろしいですか?」

「構わない。」


 炎狐は再び王座まで駆け上がった。

「時間がありません。皆さんを一気に城門外まで弾き飛ばします。手荒な非礼を先にお詫びします。ナギト様、ご武運を。」

 そう言うと炎狐は遠吠えを上げた。

 その瞬間、僕達の身体は吹き飛ばされた。

 強い風、暴風によって吹き飛ばれた様な感覚へと襲われた。

 


 気が付くと、砂漠の中で座っていた。

「夢?」

 僕は皆を見た。

 マルマルだけがいなかった。

 僕達はマルマルの名前を呼び続けたが、砂漠の中に声だけが消えていった。

 ふと気づくと、僕は無意識に袋をひとつ手に持っていた。それはマルマルが持っていたあの鉱石を入れていた袋だった。

 マルマル、なんでだよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ