Another Story (プロローグ 2/2P)
プロローグ(2/2ページ)
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また誰かと会うとややこしいので、トイレに入ってみた。鍵も掛けたから取り敢えずは安全地帯だろう。
で、考えてみる。
(これって[異世界転移]?)
(でもさっきのメイド服着たお婆さん、私を知り合いみたいに呼んでたよね?何だっけ………あ、確か『サラーラ様』だったかな。様?様呼びはひとまず置いといて、私を見て普通に話し掛けるんだから、私を一方的に知ってる人、もしくは【私】と【サラーラ】が入れ替わった………とか?)
ふと室内にあるアンティークな手洗い場にセットである鏡を見てみた。見た事の無い姿が写っている。
「……………………………………」
(これは………取り敢えず[成り代わり]ではないみたい)
すっかり2次元仕様になった髪を触れば触り心地は変わらなくて、なんだか安心した。
(えーと、死んだり生まれたりをした訳じゃないから[転生]でもないし、やっぱり[入れ替わり]が濃厚かな?)
(異世界小説とか2次元に関する知識があって本当に良かった。あんまり慌てずにいられる。まぁ……[入れ替わり]なんだったら【サラーラ様】に理由があるんだろうし[異世界]に来たからって『帰る方法が~』とか探さなくて良い感じ?まぁ【サラーラ様】の目的が達成したらそのうち戻れるでしょ。それまではこの不思議体験を楽しんでも良いかもしれない)
そうと決めたら次に考えるのは『ここはどこ?』『私は誰?』『今はいつ?』だ。
(現実ではないにしろ、まずここが異世界とか2次元とは限らない。タイムスリップかもしれないし、外国風の建物でも日本じゃないとは断言出来ない。普通に神隠し的なヤツかもしれないし、年代や国境を越えた不思議事件は実際にあるみたいだし。現代から遠くない可能性もあるよね)
(まぁ、髪や目が現実ではなかなかお目にかかれない様な色してるから2次元率高いんだけどね)
(あとは今分かるのは服装くらいか。白基調のふわっとした膝竹のワンピース………いやドレス?これもかなり着心地や細工何かが『一級品です』な感じだから多分………いや確実に【サラーラ様】はお金持ちのお嬢様なんだろう。メイドさんもいたし)
(取り敢えず衣住食に困らないなら良いんだ。何がって、[異世界転移]とかの場合は大抵衣住食の確保が大変なんだから。誰かが都合良く拾ってくれたり、助けてくれたり、生活に役立つスキルや能力持ち───なんて王道も楽しそうだけど)
(さて、考えは大体纏まったからいざ不思議への一歩を踏み出そうか)
そうして私は扉を開けた。
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