異世界行きのトラック運転手
私は大型トラックの運転手だ。平凡な雇われの叔父さんだが、この仕事は平凡ではない。
いやむしろ、私はこの仕事を辞めたいと思っている。
「はぁぁぁぁぁ」
深く深く溜め息を吐き、私は前を向いて運転をする。
どうして平凡な仕事じゃ無いのかと言うと、私は神に雇われ人間界で異世界に転生、転送させる仕事でトラックの運転手をしているのだ。
楽な仕事じゃない、人を轢く感覚は夢見が悪い。
スプラッター映画の様な血が噴き出るわけでは無い、跳ねた瞬間、直ぐに転送が始まり天界に送られるので殺してる訳では無いのだ
ただ、遺族には死んでしまったと情報が流れているらしい。
今の時刻は深夜の2時、今日の仕事は家出をした少女を信号無視で女の子が飛び出しそのまま天界に送る仕事だ。
女の子名前は山田香里、17歳の高校生 両親とは仲が悪くいつも喧嘩をしているそうだ
この子は異世界に送られ ヒーラーとして名を上げ素敵な王子様と結婚するらしい...
私はトラックの時計を見て、時間だと頭の中で考えトラックを走らせる。時速40キロ、前には青の信号の交差点
私は目を瞑りそのままトラックを走らせる、ダン‼︎と強い音が鳴り 気がつくと仕事は終わっていた。
「・・・・・」
なにも言葉が出ない 今日も嫌な気分だ
こんな仕事、もう辞めたい・・・でも こんな仕事、私以外に誰がやるのだろう? 人の痛みも分からないロボットがやるよりかは良いのだろうか?
私は悩みながら、古臭い倉庫がある駐車にトラックを止め社長に会いに行った。
「お疲れ様後藤さん、今日も大変だったでしょこんな時間に?、天界の人達もうるさくてさ」
「わかってますわかってます」
「ハイ、今日の文ね」
私は社長から厚い封筒を受け取った
「あ‼︎そうだ‼︎、今日はもう一件仕事が入ってるんだ‼︎、朝の7時からなんだけど大丈夫そ?」
「え‼︎」
私は時計を見た 今の時刻は深夜の2時半
朝の7時からと言うことは、私の寝る時間も無いと言う事だ
「後藤さんしかこの仕事やる人居なくてさ、お願いだよ、もう一件頑張って来てよ」
社長は平謝りしながらヘラヘラと私にそう言う、分かりますと言い終わる前に社長は良かったーと大声を出した
私は資料を受け取り控室でタバコを吸った
資料を見ると、平井直也小学5年生の子供の名前と写真が写っていた。
こんな子供まで異世界に送くるのか天界の人達は...
私は深くタバコを吸い 思いっきり煙を吐いた