大らかで打算的 5
高速を降りるまでに3つのサービスエリアに立ち寄った。
千香良は子供の頃に来て以来、10数年ぶり。
家が商売をしている都合、家族旅行はままならないのだ。
フードコートの何軒かと土産物売り場は24時間。
千香良は弓と自動販売機のカフェオーレで一服。
男連中は夜中でもお構いなしでラーメンにサラダパンと立ち寄る度に腹に入れている。
オフローダーに乗車した女子2人は熟睡していたらしく、最後に立ち寄ったサービスエリアまで降りてこなかった。
そして最後のサービスエリアからインターを降りる間に夜が開けた。
車窓から見える景色が街灯りから朝靄の民家に代っていく。
千香良は感動的だと思った。
そして、インターを降りて1時間。
途中、コンビニに朝食を買うことにした。
「もう、降りるも面倒」
運転席の北村がぼやく。
結局、北村が1人で運転してきた。
「私、買ってきます。使い走りは現場で慣れていますから」
「サンキュー、流石、千香ちゃん。おにぎり、にコロッケパンだろ……そんでサンドイッチと菓子パンも……取り敢えず種類を色々、適当に……」
千香良の申出に北村が乗ってくる。
「真くんは?」
「俺も降りるわ」
千香良は何やら嫌な予感がする。
少し表情が堅い。
運転席の北村は眠気覚ましに会話は必須とばかりに、三上を相手に絶え間なく話をしていた。
そして千香良は隣に座る弓と……
しかし、三上は弓との会話に聞き耳を立て、盗み聞き。
内容がお気に召さなかったようで、何度も振り返えられた。
『建設現場の男の人ってやっぱり、エロい?』
弓の思いがけない一言から始まった会話は建設現場の男がメイン。
当然、真っ先に龍太の名前を出した。
三上の悋気も承知の上だ。
けれども聞かれたら正直な感想を答えるのが筋だろう。
千香良は普通に話をしていただけだ。
「弓も千香ちゃんもマッチョが好きか……」
おにぎりの棚の前で三上が呟く。
手には『極みの鮭おにぎり』
賞味期限を確認している。
千香良は右手に持ってカゴを左手に持ち代えて、三上の左に並ぶ。
三上の方が随分と背も高い。
「私はガテン系の男っぽいのは駄目だよ……私はインテリ君が好きなのです」
千香良は三上の横ではっきりと口にする。
そして強引に三上と腕を組んだ。
拗ねた恋人の機嫌を直す。
恋愛の醍醐味だ。
楽しむための恋は大らかで打算的。
千香良には切実な恋はまだ、まだ早い。
三上は呆気にとられながらも赤面。
感無量といったところか。
そして、ようやく砂浜の海水浴場。
それなのに千香良を初め、走行中に起きていたメンバーはパラソルの下で熟睡。
体が砂に埋められているに誰も気が付いていない。
陽も高く上がり、眩しい。
元気な奴等は持ってきたビニールボートで海と戯れていた。
しかしながら、炎天下に長居はきつい。
予定を変更して、近くの温泉施設に行ことにした。
寝ているメンバーが起きたら近くの温泉施設に行く。
潮風にベタ付いた体を流すのに丁度良い。
そして、キャンプ場は直ぐそこ。
今宵の星は満天だろう。




